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Jを目指せ! by 木次成夫

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246回 JFL展望その3 長野パルセイロ
by 木次成夫

JFLは今季から、各クラブにホーム開催試合のビデオ撮影を義務付け、所属18クラブ関係者だけが閲覧できるシステムを作ったそうです。撮影位置、方法、データ納入などの規定を作り、各節の翌火曜日から(例えば3月13日の前期第1節は、15日から)閲覧できるようにするとか。

「試合の映像を記録として残すという狙いもあります」(JFL関係者)。

昨季までは予算やスタッフ数の事情で十分なスカウティングをすることができなかったクラブも、対戦相手を分析できるようになるわけです。混戦模様に拍車を掛けるかもしれません。

●3月6日 壮行試合
長野パルセイロ 3-1 藤枝MYFC

会場はパルセイロがホームとして使用している南長野運動公園球技場。3月上旬とは思えないほど温暖。その上、入場料無料。にもかかわらず観客数は685人(公式発表)。予想外の少なさに驚きました。

≪得点経過≫
19分:1-0(パルセイロ得点:宇野沢祐次=PK)
24分:1-1(MYFC得点:石田祐樹)
41分:2-1(パルセイロ得点:富所悠)
80分:3-1(パルセイロ得点:平石竜真)

≪前半メンバー≫
GK:加藤慎也(30歳=今季加入、前・甲府)
右SB:寺田洋介(23歳=今季加入、前・YSCC)
CB:谷口浩平(26歳=今季加入、前MIOびわこ草津)
CB:大島嵩弘(22歳、前・柏)
左SB:有永一生(22歳=今季加入、前・関東学院大学)
右MF:佐藤大典(28歳、前・草津)
ボランチ:大橋良隆(27歳、前NECトーキン、元・仙台)
ボランチ:向慎一(25歳=今季加入、前・東京V)
左MF:藤井貴(24歳=今季加入、前アンソメット岩手・八幡平、元・磐田)
FW:宇野沢祐次(27歳、前JSC、元・柏など)
FW:富所悠(20歳=今季加入、前・東京V)

≪後半メンバー≫
GK:諏訪雄大(24歳、前JSC、元・新潟)→堀之内義博(22 歳=今季加入、前・同志社大学)
右SB:野澤健一(27歳、前・佐川印刷)
CB:籾谷真弘(29歳、前・草津)
CB:小川裕史(25歳=今季加入、前アルテ高崎)
左SB:麻生瞬(25歳、前JSC)
右MF:土橋宏由樹(33歳、前・松本山雅、元・甲府など)
ボランチ:浦島貴大(22歳=今季加入、前MIOびわこ草津)
ボランチ:塚本翔平(27歳、前・中京大学)
左MF:栗原明洋(25歳、前・新潟)
FW:冨岡大吾(25歳=今季加入、前・横河武蔵野)
FW:平石竜真(23歳、前・近畿大学)

今季のパルセイロは選手総勢25人。うち新加入選手11人。この試合は、負傷中のSB高野耕平(25歳、前・東京学芸大学)とFW藤田信(26歳、前フォルヴォローザ石川・白山)を除く23人が出場しました。

≪前半総評≫
新加入選手が多かったことも影響したのでしょうが、コンビネーションの悪さが目立ちました。不用意なパスミスが多く、藤枝MYFC(昨季、東海1部1位)が“寄せ”のスピードで勝るシーンも散見。チームとしてのリズムを作れないため、1人1人の動きが単調になり、結果としてスムーズにボールが移動しなくなる――。悪循環の見本のような流れ。豪快なシュートで才能の片鱗を披露した富所にしても、パスを受ける際の動きと、宇野沢との連携がイマイチでした。

≪後半総評≫
土橋の重要性を再認識する内容でした。消えている時間帯があるものの、ゲームメイクセンスは未だ際立っています。浦島がドリブル突破から絶妙のタイミングでパスを出して、平石がシュートを決めるまでの流れも上々。冨岡も持ち味の柔軟な動きで前線を活性化。とはいえ、パルセイロは後半開始時に全員交代させたのに対して、MYFCは32分に1人、試合終了間際に1人代えただけ。つまり、相手の疲労も影響したわけですが――。

試合後、薩川了洋監督は「昨季のメンバーと新加入選手の融合が十分にできていない」という趣旨の感想を述べました。前後半を見比べた限り、土橋と栗原以外は前半のメンバーがスタメン有力候補。序盤戦を宇野沢らの「個の力」を活かしたサッカー(どちらかというと、パルセイロらしくないサッカー)で粘りつつ、チーム熟成を進めれば、薩川監督が目標に掲げる「4位以内」も、ありえると思います。

●3月6日
長野パルセイロ「キックオフパーティ」

会費は高校生以上=3000円(小中学生=1500円、未就学児=無料)。会場は長野駅から徒歩数分の『長野バスターミナル会館』。開演は18時30分。来賓を除く客数は130人程度。「昨年末の昇格パーティよりも、はるかに少なかったので、驚きました」(とある選手)。

≪スタジアム整備へのアピール≫
パーティでは、長野市長の鷲沢正一氏と参議院議員の若林健太(自由民主党)氏らがチームへの期待を語った他、Jリーグ基準のスタジアム整備に向けた支援の重要性をアピール。すでに、クラブの支援団体やサポーターらが署名活動を開始しており、去る5日(土曜日)には選手も活動に参加しました。

北信にJリーグを開催できる競技場を!
みんなの力でAC長野パルセイロを「J」へ!
(署名用紙から抜粋)

パルセイロがホームに使用している南長野運動公園総合球技場はJリーグ基準よりも、はるかに劣っています。夜間照明設備はあるものの、観客収容数は約6000人(公式HP)。屋根がないため、運営関係者や取材者用にテントを張っても、雨が斜めに降るとズブ濡れ。現在、メインスタンド中央上部に試合運営で使う屋内施設を建設中ですが、スタンド席などの整備は未定。そもそも、Jリーグ基準を満たすために、既存の施設を改修するのか、他の場所に新築するかなどの案は提示されていません。

とはいえ、まずは目先の試合の観客を増やすことが重要ではないでしょうか? パルセイロに限ったことではありませんが、「満員でチケットを買えなかったファンから不満続出」という状況にならない限り、サッカーの興味がない人たちは、スタジアム整備のための多額の税金投入に納得しないでしょう。

また、市長も参議院議員もパルセイロの『サッカーの質』に関しては言及しませんでした。せめて、付け焼刃であっても、「オレンジ色と言えばオランダ。パルセイロも華麗に魅せる美学を追求して欲しい」くらいのことは言ってほしかったです。

[写真]3月6日、壮行試合のハーフタイム。メインスタンド中央上部は改装中
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