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Jを目指せ! by 木次成夫

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258回 東北1部3節 福島ユナイテッド対グルージャ盛岡
by 木次成夫

過去2シーズン、福島ユナイテッド(以下、福島Uと略)は勝ち点でグルージャ盛岡に並びながらも、得失点差で2位に甘んじました。リーグ戦での直接対決は、09年が2分、10年は1勝1敗。そして……

●5月29日
東北1部3節
福島ユナイテッド 4-0 グルージャ盛岡

試合会場は、宮城県柴田郡柴田町の仙台大学グラウンド。最寄りのJR船岡駅までは、例えば、JR福島駅から各駅停車で約50分。雨天(小雨)ということも影響してか、観客数は275人(公式発表)。昨季、福島ホームのグルージャ戦にはクラブ史上最多の3171人が集ったゆえに、今季の県外開催は残念です。福島市内で開催されているスポーツ競技大会もあるのですが……。

[得点経過]
2分 1-0(得点:ボランチ清水純、25歳=加入3年目、前バンディオンセ加古川)
*金基洙が右サイドからクロス→ヘディング

16分 2-0(得点:FW小林康剛、30歳=加入2年目、前・岡山)
*MF金功青が左サイドからクロス→ヘディング

55分 3-0(得点:CB金廣閔、25歳=今季加入、前・岡山)
*FK→ヘディング

63分 4-0(得点:FW久野純弥、22歳=加入2年目、前・甲府)
*左サイド、MF平岡佑太がパス→ドリブル・シュート

[試合総括]
2節終了時点で福島Uは2連勝。対するグルージャは1節の塩釜FCヴィーゼ戦は4-0で勝ったものの、2節のNECト-キン戦は1-1の引き分け。つまり、グルージャは「福島Uに敗れれば、自力優勝の可能性がゼロになる」状況でした。

結果は福島Uが“意外なほど”圧勝。運動量や身体のキレ、チームとしての連動性など、『すべての面で』と評しても過言ではないほど、福島Uが勝っていました。

≪グルージャ敗北の要因≫
主力の負傷(あるいはコンディション不良)により、ベストの布陣で臨めなかったことがグルージャの敗因のひとつです。昨季のレギュラーCB大原卓丈(24歳、徳島から期限付き移籍)はサブ(後半途中に交代出場)で、もう1人のCB大瀧直也(26歳、前MIOびわこ草津)は2節のNECト-キン戦で負傷。そのため、本来はSBの市村瞬(24歳、前ニューウェーブ北九州=ギラヴァンツ北九州)をCBに、本来は攻撃的MFの東山裕太(26歳、前・静岡FC)が左SBに起用。いわば『苦肉の策』ですが、そこを福島Uに狙われてしまいました。「それにしても、脆すぎる」とは思いましたが……。

攻撃的MF上山愛史(27歳、前コバルトーレ女川)が復調段階(後半交代出場)ということも痛かったです。交代出場後、持ち味の巧さを随所に披露したゆえ、より感じました。
また、開幕後に加入が発表されたボランチ小野雄平(25歳、昨季途中、岡山から福島Uに期限付き移籍。シーズン終了後、岡山の戦力外に)は初のスタメン出場を果たしたものの、フィジカル・コンディション、周囲とのコンビネーション共にイマイチでした。発展途上とも言えますが……。

≪3節終了時点の順位≫
首位:福島U(勝ち点9)
2位:NECトーキン(同7)
3位:グルージャ(同4)

振り返ると、昨季の7節で福島Uがホームでグルージャに勝った後も、両チームの勝ち点差は5でした。しかし、その後、福島Uはコバルトーレ女川(2部降格)に“まさかの”引き分け。そして、最終節でグルージャに敗北――。果たして、今季は?

≪MOM清水純の再チャレンジ≫
マン・オブ・ザ・マッチ(MOM)には清水純(写真左)が選出されました。過去2度、地域決勝(全国地域リーグ決勝大会)で涙を飲んだ経験があるからでしょうか、心身両面で逞しさを感じます。

まずは08年、バンディオンセ加古川の主力DFとして出場。ホンダロック、沖縄かりゆしFC、長野パルセイロと“地獄の組”になり、ホンダロックと『勝ち点差1』の2位(一次ラウンド敗退)。その後、バンディはクラブ経営難が表面化し、清水はチームメイトのMF片原潤(25歳)と共に福島Uへ移籍しました。

そして昨季は、カマタマーレ讃岐、長野パルセイロに次ぐ3位で一次ラウンド敗退。決勝ラウンド進出の可能性が無くなった状況で迎えた3戦目、さいたまSC戦が印象に残っています。福島Uは4-0で圧勝したものの、3-0までは選手たちの喜びは控えめでした。
空しさでしょうか? しかし、終了間際の90分に得点を決めた清水は、ひと際、歓喜。チームメイト、ファン(サポーター)、そして自分に対して、“まだ、終わっていない”というアピールだったのかもしれません。

≪石堂“徐々に”復活中≫
この試合、石堂和人(29歳=今季加入、前・町田ゼルビア)は2節の盛岡ゼブラ戦に続いて、後半途中出場しました。完全復調には至ってないようですが、ボールタッチの巧さは健在。「やっぱり、試合に出られるって、楽しいですよね」(石堂)。

ゼルビア時代、石堂はクラブ下部組織のスクール・コーチとしても絶大な人気を誇っていました。その経験を活かして、福島Uでもスクール・コーチを務めているそうです。

やがて、競技場の各所から「いっちゃんコーチ!」という子供の声援が聞こえる日が訪れてほしいと思います。かつての町田のように、そして、ゼルビア・ファンが“成長した子供を連れて”福島に行きたくなるくらいに――。

[写真]MOMに選ばれた福島Uボランチ清水純(左)

福島U対グルージャ盛岡

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