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ブラジルサッカー通信 by 藤原清美

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ブラジル、チームづくり同時進行で決勝トーナメント進出
by 藤原清美

 ブラジル代表がコパ・アメリカのグループリーグを1勝2分の1位で突破した。しかし、これが簡単ではなかった。

 昨年のW杯で準々決勝敗退となったブラジルは、その直後に就任したマノ・メネゼス監督と共に、大幅な世代交代を行ってきた。目指すは自国開催となる2014年W杯。開催国のため、南米予選に参加しないブラジルは、親善試合でチームづくりをするしかない。そんな中で、今回のような公式大会は、貴重なバロメーターになる。世代交代の過程であっても、勝利なくして、チームづくりの方向性が正しいかどうか、確認できないからだ。

 第1戦をベネズエラとスコアレスドローで終えたセレソン。第2節では、3バックのパラグアイに対抗するため、直前合宿で練習を積み、初戦で採用した4-3-3から4-4-2に変えて挑んだ。それに伴い、スタメンもFWのロビーニョから攻撃的MFのジャジソンに変更。ロビーニョがチームの得点力不足の責任を負わされたかのように報道された。

 フォーメーションとメンバー変更で混乱したかのようなセレソンだったが、結局、試合では、そのジャジソンと、後半、ネイマールに代わって投入されたフレッジがゴール。2-2で引き分けた。控えの活躍で敗戦は免れたものの、主力の不振が批判された。

 そして迎えた第3戦。フォーメーションは再び3トップに戻され、ロビーニョが復帰。一方、攻守ともに右サイドが機能していなかったことで、マノ・メネゼス監督就任以来、全試合でスタメンを務めていた右SBのダニエウ・アウベスに代わり、マイコンがスタメン出場した。結果は4-2。決して安定した戦いではなかったが、マイコンと共に右サイドの攻撃がよみがえり、3トップの頻繁なポジションチェンジと合わせて、攻撃のバリエーションが増えた。そして、ネイマールが2ゴール、パトが2ゴールと、決めるべき人が決めたことが、何よりの収穫となった。

 1試合ごとに迷い、苦しみながら、戦いを続けるセレソン。ネイマールは「ゴールを決めて肩の荷が下りたか?」と聞かれると、逆に「2試合でノーゴールとはいえ、僕はいつでも冷静だった」と、逆にプレッシャーを心外のように答えた。パトは「僕の役割はゴール。1度決めたから、もう大丈夫。決勝まで決め続ける」と、頼もしい笑顔で語った。ブラジルサッカー連盟が運営するtwitterには、多くのサポーターのメッセージが寄せられている。選手はそれを読み、さらなる闘志とモチベーションで、決勝トーナメントに向かう。

[写真]ゴルフ場のカートで移動し、盛り上がる選手達

※本コラムは不定期更新です。このコラムの感想をこちらまでお寄せください。

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