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Jを目指せ! by 木次成夫

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268回 JFL前期4節 アルテ高崎対カマタマーレ讃岐
by 木次成夫

268回 JFL前期4節 アルテ高崎対カマタマーレ讃岐

猛暑の最中に、東日本大震災の影響で延期されていた試合を開催――。どうせなら『猛暑中の猛暑』を体感しようと思い、群馬県前橋市に行ってきました。後期6節(前節)終了時点で、アルテは16位(勝ち点12)、カマタマーレは11位(同23)。後期2節終了時点では2位だったカマタマーレが、その後4連敗したことも、この試合が気になった理由です。

●8月10日 JFL前期4節
アルテ高崎 2-3 カマタマーレ讃岐

[得点経過]
9分 0-1(得点:讃岐FW福嶋洋=29歳=今季加入、前V・ファーレン長崎)
*左SB下松裕のクロス→FW西野泰正がヘディングで流して→福島が右足ワンタッチ

55分 0-2(得点:讃岐FW西野泰正=28歳=今季加入、前・京都)
*CK→ヘディング・シュート

70分 1-2(得点:アルテDF布施有太=22歳=今季加入、前・亜細亜大学)
*ミドルシュート→余裕でセーブと思いきや、讃岐GKのキャッチング・ミス

73分 2-2(得点:アルテMF益子義浩=24歳=加入2年目、前・国士館大学)
*左サイドからFW松尾昇吾がクロス→ゴール前でダイレクト・シュート

83分 2-3(得点:讃岐MF綱田大志=27歳=加入5年目、前・鹿屋体育大学)
*左サイドから下松がクロス→ファーサイドからMF飯塚亮がヘディングでゴール方向へ戻し→MF綱田が華麗にボレー・シュート

[試合総括]
14時キックオフ、気温35.5度、観客数245人(公式発表)。序盤から2点先制するまでは、カマタマーレの『完勝』でした。FW西野をクサビに使って、セカンド・ボールを狙うスタイルはシンプルながらも、効果的。福嶋ら周りの選手の動きにも連動性がありました。つまり、『大雑把なパワープレー』とは似て非なる『狙いが明確』なサッカー。福嶋の先制点は快心の形でした。

しかし、良いペースを維持できないのが、4連敗中の所以か? 『負の連鎖』としか評しようがない“流れ”で、まさかの2失点。気持ちの切り替え、スタミナなど『アルテの若さ』が良い意味で出たとも言えるでしょうが……。

決勝点は、いわゆる『教科書通り』でした。偶然や奇跡ではなく、地道な練習の成果が出たという点で、格別な価値があったと思います。また、下松は野口遼太が試合前の練習中に負傷したため急遽スタメン、飯塚は73分、綱田は80分に交代出場。84分に守備固めで起用された大島翼を含めて、まさに『チーム全体の勝利』です。

[平日昼間開催の舞台裏]
アルテもカマタマーレも天皇杯県予選はシードで“いきなり”決勝出場です。過密日程を避けることも可能だったのではないかと思いきや、「競技場を確保できる日が他になかったんです」(アルテ関係者)。

ちなみに同じ10日、MIOびわこ草津はホーム(湖南)で松本山雅と対戦しました。全国中学生選手権(19日~23日、滋賀県開催)などの影響で試合日と会場の調整に苦労したそうです。

キックオフは共に14時。猛暑対策として開始時間を遅らせたいと考えても、「競技場の利用可能時間が17時までなので、撤収作業を考慮すると14時開始が限界です」(MIO関係者)。

[高松発4泊5日“東日本”の旅]
カマタマーレは後期5節のブラウブリッツ秋田戦後、香川に戻らずにアルテ戦に臨みました。

8月6日(土):高松空港→羽田空港→秋田空港
8月7日(日):秋田市内でブラウブリッツ秋田戦(15時開始、0-2で敗北)。試合後、秋田新幹線で東京まで移動
8月8日(月)
8月9日(火)都内で練習後、群馬県へバスで移動
8月10日(水)アルテ戦後、バスで東京へ移動。新幹線で岡山へ。岡山駅からバスで高松へ。

秋田戦後に、群馬ではなく東京へ移動したのは、「練習場確保も考慮したため」(カマタマーレ関係者)。そして、アルテ戦後は15日までオフ(夏休み)。高松に戻るか、直に帰省するかなどは選手の自由でした。例えば、飯塚亮は「(東京の実家には)帰省しないで、高松に戻った後、温泉に行きます」ということでしたが……。

いずれにせよ、『負の連鎖』を断ち切って、オフに入れたことは幸い。異例の遠征ゆえに、通常よりも長い『共同生活』をしたことも、チームの一体感を高める要因になったのかもしれません。

[リーグ後半戦に向けて]
アルテ戦はカマタマーレにとって、リーグ17試合目、つまり“折り返し”の節目でした。結果的に17戦8勝2分け7敗(勝ち点26)。順位は暫定的に10位(8月12日時点、以下同)ながら、4位=Hondaとの勝ち点差は3。今後、どこまで上位に食い込めるか?

日程変更の影響で、上位陣との対戦が多数残されているため、自力での上位進出がありえる一方、低迷する可能性も――。例えば、SAGAWA SHIGA(18試合消化=勝ち点37=1位)、町田ゼルビア(17試合消化=勝ち点29=2位)、長野パルセイロ(16試合消化=勝ち点29=3位)とは、1試合も対戦していません。

[写真]決勝点を決めて歓喜するカマタマーレMF綱田大志(27歳)

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