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ブラジルサッカー通信 by 藤原清美

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ブラジル、ドイツ戦敗戦の影響とは
by 藤原清美

8月10日
親善試合
ドイツ3-2ブラジル
シュツットガルト、メルセデス・ベンツ・アレーナ

<ブラジル出場メンバー>
GK:ジュリオ・セーザル
DF:ダニエウ・アウベスルシオチアゴ・シウバアンドレ・サントス(ルイス・グスタボ)
MF:ハウフィ、ラミレス、フェルナンジーニョ(ガンソ)
FW:ロビーニョ(レナト・アウグスト)、ネイマールアレシャンドレ・パト(フレッジ)

 強豪に勝てないマノ・セレソン。ブラジルでそう言われるようになったのは、昨年11月にアルゼンチン、今年2月にフランスに敗れてからだ。6月のオランダ戦でも引き分けに終わった。そのたびに繰り返された「世代交代とチーム再構築の最中」という言葉はもっともだが、7月のコパアメリカで準々決勝敗退に終わったあとでは、この試合で勝つことが、セレソンの威厳と自信を取り戻すための必要条件だと思われていた。

 とはいえ、この試合でも3人の初招集メンバーや、招集2、3度目の若手選手らが参加し、マノ・メネーゼス監督は、チームが今も2014年を目指した再構築の真っ只中であること、そのために、選手のテストと観察を続けるという意欲を示していた。

 アルゼンチン戦では、敗れたとはいえ、ロナウジーニョとネイマールを攻撃の軸に据えたブラジルは、終始アルゼンチンを圧倒していた。後半、その2人が交代してから攻め込まれるようになり、ロスタイム、初招集のドゥグラスが、まるでパスを出すかのように相手陣地でメッシにボールを渡すという痛恨のミスをして、そのまま失点した。

 フランス戦では、まだ前半の途中に、久々の招集となったエルナニスが勢い余ってベンゼマの胸に蹴りを入れ、退場となった。つまり、2つの敗戦は、セレソン経験の少ない選手の個人的なミスが大きく響いたとみなされていた。

 しかし、ドイツ戦は国内でも、まさに「敗戦」と評されている。2-3と、取って取られてのスコアの中には、3失点目のようにアンドレ・サントスの個人的なミスもあったが、後半終盤は防戦一方だったブラジル。攻めては決定的なチャンスをつくりながら決め切れず、守備も1点を奪われてからミスが増えるという今年に入ってからの苦戦パターンを繰り返したことが、大きな印象を残した。

 マノは日頃から「サッカーで一番大事なのは結果だ。結果なしには、自分たちが正しい方向に進んでいるのかも、確認できない」と語っている。一方で「もう少し簡単に勝てる相手とやって幻想を見ていても、2014年のためには何もならない」とも言い、開催国として予選を戦わず、親善試合でチームづくりをすることの難しさも、垣間見える。

 経験豊富な選手の招集を請う声が高まっているが、マノは「今後、然るべき時期からは、五輪世代の人数を増やす」と宣言している。五輪予選のなかった南米で、ブラジルはU-20南米選手権優勝によって出場枠を獲得した。そのため、フル代表の日程を使って五輪代表のチームづくりをせざるをえないというジレンマもあるのだ。

 試合を現地で観戦したブラジルサッカー連盟のリカルド・テイシェイラ会長は「2014年に向けたプロジェクトを続行する。マノと共に、忍耐強く、チームの再構築に取り組んで行く」と発表した。マノの挑戦は続く。

[写真]記者会見で語るマノ・メネーゼス監督

※本コラムは不定期更新です。このコラムの感想をこちらまでお寄せください。

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