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ブラジルサッカー通信 by 藤原清美

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ブラジル代表、ロナウジーニョ効果に期待
by 藤原清美

 ブラジル代表が「スーペルクラシコ」と題された大会として行なわれるブラジル対アルゼンチン交流戦第1戦を戦うために、アルゼンチンのコルドバに集結した。この大会のルールは、両代表とも国内でプレーする選手だけを招集してチームを構成すること。ブラジルでも、若手からベテランまで、全国選手権で活躍する選手達が顔をそろえた。

 今回のブラジル最大のスターは、ロナウジーニョとネイマールだ。特にロナウジーニョは、今月5日の親善試合ガーナ戦で、10ヵ月ぶりの代表復帰を果たし、勝利に貢献したばかりだ。

 そもそもロナウジーニョが今年1月、ミランからフラメンゴに移籍したのは、ブラジル代表に復帰するためだった。セレソンのドゥンガ前監督は、2009年4月の南米予選を最後に、ロナウジーニョを招集しなかった。本来のプレーを取り戻せずにいたロナウジーニョは、そのまま2010年ワールドカップ出場も逃した。

 ワールドカップ後にスタートしたマノ・メネゼス監督のセレソンでも、マノの見方は常に一貫していた。

「ロナウジーニョはもう、何も証明しなくていいし、だれと比べられることもない。ただ、ロナウジーニョが“あのロナウジーニョ”にさえ戻れば、セレソン復帰への扉が開く」

 そんなマノに、ロナウジーニョは昨年11月に一度、親善試合アルゼンチン戦で招集された。ネイマールとのコンビで攻撃の軸となり、輝きを放ったものの、移籍問題でしばらくプレーを中断したことで、再び、セレソン継続のタイミングを失った。

 そんな賭けをしてまでブラジルに戻り、フラメンゴで好調を取り戻したのだ。リオ州選手権ではチームの無敗優勝に貢献し、現在全国選手権で得点ランキング3位。今回の招集は、様子を見るためではなく、今後もセレソンを牽引していくための、完全復帰だ。

 ガーナ戦でのロナウジーニョは、ほぼすべてのセットプレーを蹴り、多くのスルーパスを繰り出し、マルセロやネイマールを壁パスで抜け出させるなど、数々の決定的なチャンスを生み出し、存在感を見せつけた。ガーナGKのスーパーセーブに阻まれたものの、直接FKで会場を沸かせもした。

 攻撃の軸としてフル回転したロナウジーニョは若手の増えたセレソンで「チームのお父さん? 違うよ。ただ少し、チームメイトよりも経験があるだけだ。でも、若い選手たちと一緒にプレーするのは、いいものだよ。セレソンでプレーするというのは、いつでも感動だし、いつでも新しい経験だ」と笑顔で試合を振り返った。

 マノはロナウジーニョに大きな信頼を寄せるようになった。攻撃の軸としても、対戦相手を圧倒する存在感にも、そして、若手をプレーと精神面で引っ張るリーダーとしても。現在31歳。その長い経歴の中で、大ケガをしたことのない彼を「いつでもアテにできる選手」とも言っている。2014年ワールドカップに向けた、ロナウジーニョの新たなセレソン人生に、注目が集まっている。

[写真]ロナウジーニョ、チームメイトやスタッフと話す

※本コラムは不定期更新です。このコラムの感想をこちらまでお寄せください。

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