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ブラジルサッカー通信 by 藤原清美

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フットサルのファルカン、移籍で心機一転
by 藤原清美

 日本では、三浦知良選手のフットサル参戦で盛り上がっているが、ブラジルでは16日、世界最大のフットサル界のスーパースター、ファルカン移籍のニュースが報道された。

 サッカーと同じく、フットサルでも、多くのブラジル人選手達がヨーロッパのクラブで活躍している。2008年のフットサルワールドカップでは、イタリア代表の選手全員が、帰化したブラジル人選手だったことが話題になった。他にも、スペイン代表に3人、ロシアとパラグアイ代表にも2人ずつ、帰化したブラジル人選手が選ばれていた。

 今でこそ、ブラジルは経済の急成長で世界の注目を集めているが、サッカーと同じくフットサルでも、給料がブラジル国内より格段に高いことが、選手のヨーロッパ移籍の理由の一つだ。

 しかし、ファルカンの場合は違った。彼が所属してきたクラブはいずれも、金銭面ではヨーロッパへ行く必要がない条件を提供していた。そのため、彼は国内に留まり続け、ブラジルフットサル界を支え続けた。

 昨季はサントスでプレーしていた。サントスは昨年、フットサル部門を新設し、その目玉として、ファルカンと契約したのだ。そして、チームは全国選手権である「リーガ・フットサル」で、1年目にして初優勝という快挙を達成した。シーズン終了後に会った時、彼は「すごく幸せだ。2年目も更なる貢献をしたい」と笑顔で語っていた。

 それなのに、スポンサー不足から、サントスのフットサルは、1年でまさかの閉鎖が決定してしまった。無所属となった彼には、国内のフラメンゴやインテルナシオナウ、日本からもオファーが届いていた。

 日本からは「サッカーでのジーコのように、日本フットサル界を盛り上げて欲しい」というプロジェクトを提案され「日本は大好きな国。非常に名誉に感じたが、今年はFIFAフットサルワールドカップが開催されるため、国内でベストコンディションを維持したい」と語ったファルカン。選択したのは、サンパウロ州の人口4万人の街オフランジアを本拠地とするクラブだった。

 ファルカンは、現在サンパウロ州選手権2連覇中のインテリ・オフランジアについて「サントスのようなサッカーのビッグクラブが、経営面でサッカーを優先するのは当然のこと。でも、ここは違う。長年のプロジェクトを組んで、街全体がフットサルと共に生き、フットサルを呼吸している。クラブ会長が全試合でベンチに座るようなクラブは、他にない」と語り、伝統的に街ぐるみでフットサルに取り組む環境を、移籍決断の理由として語った。

 クラブはファルカンと共に、世界レベルのチームへのランクアップを目指す。ファルカンはコートの内外で、チーム作りに協力していく構えだ。

[写真]昨年11月「サッカレックス」会場で、日本のサポーターにメッセージを語るファルカン

※本コラムは不定期更新です。このコラムの感想をこちらまでお寄せください。

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