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ブラジルサッカー通信 by 藤原清美

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Ro-Roコンビ、2014年ワールドカップへの活躍
by 藤原清美

 98年のフランスワールドカップでは、ロマーリオのケガによって実現しなかったが、その前の数年間、ブラジル代表では「Ro-Ro」が、国民を魅了していた。それは2人の頭文字をとった愛称でRomario(ロマーリオ)と、Ronaldo(ロナウド)のコンビのことだ。

 あれから10年以上を経て、Ro-Roが再び、サッカーのために活躍している。今度はピッチの中ではなく、ロマーリオはブラジル連邦議会議員として、ロナウドはワールドカップ組織委員会理事としてだ。

 そのロマーリオとロナウドが、CBF(ブラジルサッカー連盟)の同席のもと、昨年の年末に記者会見を行なった。発表されたのは、ワールドカップブラジル大会の全試合で、それぞれ500枚の入場券を、無料で身障者に配布するというもの。ロマーリオが発案したところ、その合計3万2000枚の入場券(1280万ドル相当)、すべてをCBFが買い取り、寄付することが決定したのだ。

 ロマーリオは2011年の議員就任当初から、心身障害者のための活動に力を入れてきた。車椅子バスケットの練習に、自らも参加して一緒に汗をかくなど、見えないところでも様々な交流を行ない、サポートを行っている。一方で、2014年ワールドカップ開催準備のお目付け役として、FIFAや組織委員会を監視し、両者に厳しい意見も出してきた。そのため「身障者への寄付によって、僕の姿勢は変わらない。厳しく要求すべきところは、要求していく」と語る。しかし、今回の決定には、CBFと組織委員会に大いに感謝。感情を抑えきれずに涙を流すと、同席した、自らも身障者である2人の議員仲間が、励ますように、ロマーリオをサポートしていた。

 一方、組織委員会理事に就任したばかりのロナウドは先週、FIFAバルク事務総長の開催準備状況の視察に同行した。各地で建設現場の労働者達の、仕事に対する献身的な姿勢を見た彼は、視察後「スタジアム建設に携わる労働者達を集めて、サッカー大会を開きたい。僕も自分のチームを作って参加するよ。まずは、今年の年末までに完成するスタジアムの労働者達と、来年の年明けにやろう」と提案した。視察の際、ロナウドの訪問を熱狂的に歓迎する労働者達を見た彼の、スーパースターである自分を活かした、素敵なアイデアだ。今後、実務に従事するのはもちろんだが、彼は自分の存在を有効に活かすことを知っている。

 フッチボレー(足と頭だけを使ったビーチバレーのような競技)が大好きなロマーリオとは、時々、家の近所のビーチで会う。会えば、ちょっとした雑談を交わすのだが、そういう時の振る舞いも、なんだか紳士的になってきた。ロマーリオ議員とロナウド理事の「Ro-Ro」が活躍するワールドカップ。なんてブラジルらしいんだろうと、期待せずにいられない。

[写真]記者会見で泣き出し、身障者でもある同僚議員にサポートされるロマーリオ

※本コラムは不定期更新です。このコラムの感想をこちらまでお寄せください。

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