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ブラジルサッカー通信 by 藤原清美

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フェリポンの行方
by 藤原清美

 最近、パルメイラス監督のフェリポン(ルイス・フェリピ・スコラーリ監督)の周囲が、賑わっている。話題は、今年の年末に契約満了となる、フェリポンの争奪戦だ。

 フェリポンは2002年W杯で、ブラジルを優勝に導いた。その後、ポルトガル代表監督に就任し、2004年ユーロで準優勝、2006年W杯では4位と、いずれも同国史上初の快挙を成し遂げた。

 2月に単独インタビューをしたとき、フェリポンは「監督としての経歴を、自分の国で開催されるW杯、つまり2014年大会で、どこかの代表チームを指揮して、終えたいんだ」と明言していた。「私はまだ、W杯でもう一度、優勝できる可能性があると思っている」とも語っていた。

 先日は、アジアの2か国から打診があったと報道された。ただし、2か国とも今、現監督でアジア予選を戦っていて、もしその監督と契約を更新することになったら、フェリポンの可能性はなくなる、という前提での話だったらしい。

 また、元代表選手のアスプリージャを通して、コロンビア代表への打診もあった。これについては「彼とは2度にわたって話をし、その後、サッカー連盟とも話している。しかし、今すぐというのは、パルメイラスとの契約があるので、違約金が発生するし、難しい」としている。

 そして、最大の話題は、もちろんブラジル代表だ。CBF(ブラジルサッカー連盟)会長が、現監督のマノ・メネゼスについて「すべての国民が分かっているように、どんな監督であっても、その任務の継続を保証するのは、結果のみだ」と発言したことにより、ロンドン五輪の結果次第で、フェリポンへの交代の可能性が大きく報道されている。ただし、フェリポンは経験者だけに「マノは非常に良い仕事をしている」とし、同業者へのプレッシャーを取り除こうとしている。

 今のブラジルサッカーについて、彼は「技術面で見た場合、あまり大きな進歩や変化がない。素晴らしいW杯にするために、順調に歩んでいる、と自信を感じさせるようなね。2002年のセレソンには、スペクタクルなクオリティを持つ選手たちがいたが、今のセレソンでは、幾つかのポジションに問題を抱えている。まだ、選手たちを発掘している最中である一方、これまでの選手は、もう経歴を終えつつあるんだ。だから、2002年より、今の方が大変だと思うよ。」と、厳しい見通しも語っていた。一方で「戦術的な規律と、技術的な規律のなさを、ちょっとだけミックスできれば、強いチームを構成できる」と、ブラジルならではのチームづくりのカギも語ってくれた。

 そんな話を聞くにつけ、もちろん、マノがこれまでの成果を発揮することを期待してやまないが、マノの立場が厳しい今、フェリポンにも「早まって、他の代表と契約したりしないでね」と、勝手に祈る気持ちにもなる。

※本コラムは不定期更新です。このコラムの感想をこちらまでお寄せください。

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