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ブラジルサッカー通信 by 藤原清美

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フッキ、セレソンで存在感を発揮
by 藤原清美

 今月26日、ハンブルグ(ドイツ)でデンマークと親善試合を行ったセレソンが3-1と快勝した。この試合でヒーローになったのが、元Jリーガーのフッキだ。

 今回、このデンマーク戦を皮切りに、6月9日までにアメリカ戦、メキシコ戦、アルゼンチン戦を戦うセレソンは、この4連戦を五輪代表メンバーを決める集大成として活かす。というのも南米では、昨年のU-20南米選手権上位2チームがロンドン五輪出場枠獲得となり、五輪予選がなかったからだ。優勝したブラジルは、五輪と兼任するマノ・メネゼス監督が、これまでフル代表の試合を活かして、五輪世代の観察も行ってきた。そして今回は招集メンバーもU-23世代の候補に、オーバーエイジ枠の候補を数名合わせた構成となっている。

 オーバーエイジ枠は、主に五輪世代に人材が不足気味の守備面に活かされる可能性が高い。そんな中、フッキは数少ない攻撃面での候補の一人だ。

 そしてこのデンマーク戦、所属するポルトと同じポジションで先発起用されたフッキは、左サイドでチャンスメイクするとともに、中央に入って得点を狙い、イキイキとプレー。2得点を決めるとともに、相手のオウンゴールを呼び込み、実質ブラジルのすべてのゴールに絡んだ。

 フッキが初めてセレソンに招集されたのは、2009年10月。当時の監督であるドゥンガは、フッキを「ロナウドの後継者」と語っていたが、ブラジル国内でフッキの印象は薄かった。若くして日本に渡った彼は、母国より先に日本で、そして、その後移籍したポルトで、スターになっていたのだ。

 母国で認められるのに少し時間がかかったけれど、今でもフッキは日本での経験を、とても大切に思っている。

「今の自分を見ると、セレソンに招集され、ポルトでもレギュラーとしてプレーしている。それは、お金には代えられないもので、素晴らしいことだ。
 でも、振り返ってみると、ものすごく大変だった。日本に行ったときはまだ18歳で、しかも一人暮らしだった。すごく難しかったけど、同時に良いことでもあったんだ。日本の人たちは僕をすごく手助けしてくれた。すごく学んだし、多くの経験を得た。若くして、そういう時期を過ごせたのは幸せなこと。日本の人たちの大きな愛情に感謝をしている」

 先日、ポルトを訪ねてインタビューしたとき、そうしみじみと語ってくれた。ポルトに移籍後も2年間は日本でクリスマスを過ごしたというほど、日本への愛情は今も強い。

 その彼が、いよいよセレソンでの存在感を発揮し始めた。

「マノはいつでも、招集した選手も、しなかった選手も、同時に観察している。チャンスを得た者は、それを最大限に活かさなくては」

 目指すは2014年のW杯だが、こうして五輪候補に残っている以上、「もし行けることになったら、すごく幸せだし、ブラジルが獲っていない五輪のタイトルを、できるならば、いや、必ずや今回、獲得したいね」

 笑顔が、さらに自信に満ちてきた。

[写真]フッキ、ポルトでのインタビュー中の笑顔

※本コラムは不定期更新です。このコラムの感想をこちらまでお寄せください。

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