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ブラジルサッカー通信 by 藤原清美

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ブラジル、成果と課題のアルゼンチン戦
by 藤原清美

 今月9日、ブラジル代表がニュージャージー(アメリカ)で新善試合のアルゼンチン戦を行い、3-4で惜敗した。

 結果だけ見れば、メッシのハットトリックが印象に残った試合。しかし、セレソンにとっては、まったく違った意味を持っている。

 この試合、2014年W杯南米予選の真っ最中で、メッシ、イグアイン、ディ・マリア、マスチェラーノらベストメンバーを揃えたアルゼンチンのフル代表に対し、ブラジルはロンドン五輪のチームづくりを行うため、チームもU-23で固めていた。オーバーエイジ枠でキャプテンとして出場が決まっているCBチアゴ・シウバ(ミラン)もケガで欠き、守備に不安を残してのキックオフだった。

 FWネイマール(サントス)、背番号10のオスカー(インテルナシオナウ)ら若き主力選手たちが、豊富な運動量で相手を翻弄し、先制点を決めたのはブラジル。前半22分、ネイマールのFKにボランチのホムロ(バスコ)が合わせて1点。

 しかし、攻撃に勢いがついたヤング・セレソンの守備の穴をアルゼンチンの熟練した選手たちが突き、31分、34分にメッシに決められ、前半を1-2と逆転されて終えた。

 後半10分、オスカーがレアンドロ・ダミアン(インテルナシオナウ)の壁パスで抜け出して決め、同点に追いつくと、オーバーエイジのFWフッキ(ポルト)も意地を見せ、逆転のゴール。しかし、守備でミスが増えると、30分にフェルナンデス、39分にメッシに立て続けに決められ、最終的に3-4となった。

 敗れた選手たちは、ネイマールが「アルゼンチンの方が効果的に戦っていた」、オスカーが「僕らの方が良い試合をしていたのに、決定的な場面では、アルゼンチンの方が上回っていた」と、それぞれの未熟さを反省した。

 しかし、ブラジルのマノ・メネゼス監督の感想は違う。

「若いチームが攻撃に危険を冒しすぎ、守備でメッシを自由にした場面もあったが、今回の五輪代表チームは、今後の改善によって、最高のチームにできることが分かった」と、フル代表の宿敵と対等に戦った選手たちに、かなり高い評価を与えた。

 アルゼンチンのサベーラ監督も「ブラジル五輪代表の攻撃力は素晴らしい。守備で経験豊富なオーバーエイジ、チアゴ・シウバやダビド・ルイス(チェルシー)を起用できれば、五輪は期待できる」と称えた。

 最近厳しかったブラジル報道陣も、迫力ある攻撃が見られたことで「マノがついに、チームを的中させた」と、期待を寄せ始めた。あとは、守備だ。「何点取っても、それ以上に取られる」という危険に対し、ブラジル報道陣が選ぶオーバーエイジの3人は、おおむねチアゴ・シウバ、ダビド・ルイス、マルセロ(レアル・マドリー)だ。クラブとの交渉が心配されている。

[写真]アルゼンチン戦後、自分では敗戦に不満ながら、評価されたオスカー

※本コラムは不定期更新です。このコラムの感想をこちらまでお寄せください。

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