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ブラジルサッカー通信 by 藤原清美

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ブラジル五輪代表フッキ、日本との対戦に期待
by 藤原清美

 ロンドン五輪に出場するブラジル代表が今月9日から16日まで、リオデジャネイロで準備合宿を行っている。大きな大会前の恒例、メディカルチェックとフィジカルトレーニングから始め、戦術練習やコンビネーションの熟成など、充実した日々を送っている。

 FWにネイマール(サントス)、パト(ミラン)、レアンドロ・ダミアン(インテルナシオナル)、MFにルーカス(サンパウロ)、オスカー(インテルナシオナル)、ガンソ(サントス)と、ブラジルが誇る五輪世代が順当に選ばれた攻撃陣において、オーバーエイジ枠の一人にFWのフッキが招集されたことが、国内では最大の話題となった。

 フル代表と五輪代表を兼任するマノ・メネゼス監督に昨年9月以降、ほぼすべての試合で招集されてきたフッキ。中でも、今回の招集を決定づけたのは、五輪に向けたチームづくりと位置づけとして大半を五輪世代で構成した代表で行った5~6月の遠征だ。代表初ゴールを含め、デンマーク戦で2ゴール1アシスト、アルゼンチン戦でも1ゴールを決めるなど、フル代表の相手と対戦した若手チームの攻撃において、存在感を発揮した。

 マノは「フッキによって、セレソンはパワーと決定力を得られる。彼の意欲的なプレーが、私の小さな迷いを解消してくれた。戦術のバラエティも得られる。移籍という選手個人にとって大事な目的があっても、それを後回しにして、代表で戦うんだという強い意志がある」と絶賛した。

 マノの言う通り、フッキは今、チェルシー移籍の是非について報道される“時の人”でもあるが、「移籍のことは代理人に任せて、僕は五輪に集中する」と、決意を語っている。

 オーバーエイジ枠で選ばれたことを、94年W杯優勝メンバーのロマーリオに「フッキは良い選手だが、2014年に向けた選手。五輪にオーバーエイジとして呼ぶなら、もっと尊重される選手を呼ぶべきだ」と批判された。しかしフッキは「ロマーリオは僕にとって、ロナウドと並ぶアイドルだから、彼の言うことを尊重する。そして僕はピッチの中に集中するだけ。ブラジルのために貢献したい」と、謙虚に答えた。

 15日には、リオ合宿の集大成として紅白戦が行われた。フッキは他の2人のオーバーエイジ、CBチアゴ・シウバ(ミラン)、SBマルセロ(レアル・マドリー)とともに、レギュラー組でプレー。順調に行けば、日本人以外の元Jリーガーの勇姿を、五輪で応援できるはずだ。

 東京ヴェルディ、川崎フロンターレ、コンサドーレ札幌でプレーしたフッキ。五輪で楽しみなことについて聞いたら、大勢のブラジル報道陣を前にした記者会見中であるにも関わらず、私のカメラに向き直って、笑顔で言ってくれた。

「決勝トーナメントで日本と対戦できれば、とてもうれしい。日本は僕がとても良く受け入れてもらい、3年半を過ごして、今も心の中にある国。あの愛情に感謝するし、お互いに健闘を誓い合いたい」

 戦いの前の、熱いメッセージとなった。

[写真]ブラジル五輪代表での記者会見で、日本にメッセージを語るフッキ

※本コラムは不定期更新です。このコラムの感想をこちらまでお寄せください。

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