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ブラジルサッカー通信 by 藤原清美

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コンフェデ開催なるか、ヘシーフェの追い込み
by 藤原清美

 今月10日、ブラジル代表がペルナンブーコ州の州都ヘシーフェで、中国との親善試合を行った。ブラジル北東部に位置するヘシーフェは、2014年W杯開催都市の一つ。日本がアジア予選を突破した暁には、組み合わせ次第では日本から訪れるサポーターも多いかもしれない。

 そして今、ヘシーフェはコンフェデレーションズ杯を開催できるかどうかの瀬戸際で、準備の追い込みに入っている。来年の一大イベントなのに、まだ開催都市が確定していないことに驚く人が多いが、コンフェデの開催地は現在、リオデジャネイロ、首都ブラジリア、ブラジル南東部ミナスジェライス州ベロオリゾンチ、北東部セアラー州フォルタレーザの4都市が確定している。その上に、このヘシーフェと、同じく北東部バイーア州サルバドールの2都市が、準備状況によって開催地となる。最終決定は10月末のFIFAの視察によって下される。

 ヘシーフェは有名な観光都市だ。エメラルドグリーンの海が綺麗なビーチ沿いには、近代的なホテルが建ち並び、旧市街はヨーロッパのコロニアル様式の街並が、異国情緒を醸し出す。目にも鮮やかな衣装で飛び跳ねる、多彩な伝統舞踏が根付いているのも楽しい。街を流れる川と橋の風景は風情があり、「ブラジルのベニス」と異名を取るほどだ。車で30分から1時間の郊外には、「古都」と呼ぶにふさわしい、美しい街オリンダがある。空港は、市民が「ブラジル最高」と誇る、近代的でスタイリッシュな施設だ。

 しかし、最大の問題がある。W杯開催準備が遅れていることだ。スタジアムの完成率はまだ50%に達していない。FIFAのバルク事務総長は「ヘシーフェのコンフェデ開催は一つの挑戦だ。でも、期限までは待ってみよう」「W杯の準備に、もう心配な都市はない。ただ、ヘシーフェのコンフェデ開催には、まだ少し不安がある……」と、時期を追って急かしてきた。

 街の人々は、ヘシーフェでのコンフェデ開催を決定事項のように語っていた。でも、タクシーに乗れば「新スタジアムが遠いんだよね。渋滞がなければ1時間、渋滞すれば2時間、3時間かかる」という運転手さんの説明が気になる。確かに一見穏やかに見える市内の渋滞は驚くほどだ。今回のセレソンの親善試合は、市内にあるサンタクルスのホームスタジアム「アフンダ」で行われたが、「アフンダを改修すれば良かったのに」と、ここに来て市民のノンキな意見も聞かれた。

 それでも、ヘシーフェには大きな武器がある。それは人々のおもてなしの心と、ブラジル代表への熱い思いだ。ヘシーフェの地元報道陣いわく、セレソンに厳しく接するのが好きなリオやサンパウロと違って、市民にはセレソンが自分たちの代表だという思いが強い。その熱い声援を受けて、ここでセレソンが試合をすると、いつも大勝したり、逆転勝ちをする。今回も序盤、圧倒的に攻めながら決定的なチャンスを逃しても、サポーターは愛情いっぱいに選手たちを盛り上げ、結果は8-0の圧勝となった。

 また、一般的にも、報道陣やホテル従業員、タクシー運転手など、出会った人々はヨソから来た人に手を貸したいという優しさが印象的だ。そうなるとやっぱり、コンフェデの準備が間に合うことを応援したくなるのだった。

[写真]ヘシーフェのビーチと高層ビル群

※本コラムは不定期更新です。このコラムの感想をこちらまでお寄せください。

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