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内田篤人@BLUES戦記

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日本代表・内田篤人の2009年は、1月10日、みぞれ交じりの鹿児島県指宿市で幕を開けた。この冬一番の寒さ。北風も強く、とにかく体感温度が低い。

だが、2002年にジダンらフランス代表がW杯直前合宿を行ったグラウンドの芝は、今年も相変わらず美しい。内田は、かかと部分のスタッドが金色になっているアディダス社の新作シューズを履き、楽しそうな顔でグラウンドに現れた。

1月20日に熊本で行われるアジアカップ予選イエメン戦を皮切りに、2月11日のW杯最終予選オーストラリア戦まで、岡田ジャパンには向こう1カ月の間に4試合が待っている。

オフ明けの公式戦はどんなベテランであっても難しいものだ。しかも今回は日程上の問題で、欧州組やガンバ大阪勢、中沢佑二らの召集が見送られ、左ひざリハビリ中の田中マルクス闘莉王も不在。この日集合した23人のうち、国際Aマッチ経験のない選手は7人もいる。

こういう状況では、岡田監督に大抜擢されてわずか1年とは言え、若い内田にも相応の役割がプラスされることになる。

なぜなら、内田の代表キャップ数はすでに14。この日に合流したメンバーでは多い方から数えて川口能活、駒野友一、巻誠一郎、中村憲剛に続く5番目なのだ。

「でも、新しいメンバーと言っても、Jリーグでやっているから知っている人も多いしね。何かを伝える役割というのじゃなく、僕は一生懸命やるだけだと思っている」

この言葉から分かるのは”まだ二十歳”の部分と、”不動のレギュラーという現実”のギャップは、決してたやすく受け入れられるものではいうことだ。

象徴的な場面があった。ゲーム形式の練習で内田は左サイドバックでプレーした。練習後にその意図を尋ねられると「監督に言われたわけじゃないよ。右にもう(石櫃が)入っていたから、左に入っただけ。勉強にもなるし、オレ、年下だし」と言った。

ただ、とにかく表情は明るかった。オフにしっかりとリフレッシュできたのと、本人が言うように「何でもあまり気にしないようにして、やることだけ一生懸命やる」というポリシーが確立されつつあるのだろう。
気合も入っている。

「髪は来る前に鹿島で切ってきた。つい最近だよ。アシメの髪型は美容師さんが(デザインを)考えてくれている」

右側を刈り上げて左側をストレートに落としているアシンメトリーの髪型が気に入っている様子だ。さらに、宿舎に引き揚げる前には、馴染みの記者にPSPのゲームソフトを買ってきてもらうようにリクエストも出していた。1カ月という長期間の合宿に対し、備えもバッチリだ。

「今年はW杯が決まる年だから、そこは絶対に結果を出さないといけない。とにかく、一生懸命やって、余計なことは考えないで、と思っている」

内田は、ぶれない精神力という鎧を身にまといつつある。

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