beacon

内田篤人@BLUES戦記

このエントリーをはてなブックマークに追加
ポートエリザベスに着いてからの練習は、9月のオランダ遠征以降、岡田ジャパンが継続して取り組んでいる「クロスからのシュート」のバリエーションを増やし、精度を高めるということはもちろん、さらにもうワンランク上を目指した内容だった。

「練習で意識しているのは、ボールがないときのポジションチェンジ。型にはまった動きは強い相手には通用しないからね。俺は周りをみて動きたいと思う。自分から動くというのは、たまにやるほうがいい」

内田が考えていることは、つまり、毎度毎度上がっていっても、相手に読まれては効果が半減するということだ。頭を使うのはまさに彼の真骨頂。たとえば鹿島でのACLの試合の際には、初めて対戦する外国の相手に、「後半に上がりやすくするために、前半はあえて上がらないようにした」など、90分の中での駆け引きを大事にしている。

到着したばかりの10日の練習で左足を負傷するアクシデントがあったが、「若いから!」という本人の言葉通り、翌11日の練習から早くも復帰した。

「右足じゃなくて良かったよ。左足は神経通ってない、おもちゃみたいなもんだから」と笑いながらも、ミニゲームでは左足でシュートを決め、「あのシュートは良かったね。イメージ通りだった」と自画自賛してみる。状態は一時ほど悪くないのだろう。

岡田監督が「ずっと嘔吐感を持った状態でやっていて、疲労を感じている様子だったけど、ここにきて戻って来たという感じで、表情も良くなっている」とコメントしたことも報道陣から伝え聞いた。

「え、監督さんが個人について言及してるの?」とうれしそうに驚いたリアクションを見せつつ、南アフリカ戦に向けて、こう言った。

「体調は万全ではないけど、それはシーズンが終わってから言うよ。いろいろたまっているから。俺は鋼のハートだけど、ガラスのハートでもある(笑)でも、試合にはもちろん出る覚悟はあるよ。ここまで来ていて出ないんじゃ、何やってんだということになるでしょ」

12日の練習の前には、地元の養護施設の子供たちとの交流会があった。7歳から16歳までの少年31人。親から虐待を受けるなどして施設に保護されている子供たちだ。白人は3,4人いるくらいでほとんどが黒人。グラウンドに入ると、逆立ちをしたり、バック転をしたり、運動能力の高そうな子がゴロゴロいた。

「ああいうのがすごいよね。日本の子とは違う。俺? バック転はできるよ。小学校のころ、お父さんに家で布団を敷いて教えてもらっていた。中学は同じだったから(注:父は中学の体育教師でバスケット部の顧問)お父さんに組体操を教わっていたしね」

普段から子供好きを公言しているだけに、交流会はよいリフレッシュになったようだ。

※本コラムは不定期更新です(内田招集時、日本代表W杯予選前後更新を予定)。ぜひ感想をこちらまでお寄せください。

TOP