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高校サッカー聖地物語―プロ11人のエピソード・ゼロ―

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全国各地にある国立じゃない、「もう一つの聖地」での「物語」を選手、指導者たちが熱く語る書籍『高校サッカー聖地物語 僕らが熱くなれる場所』。本企画では、この書籍に登場するプロ11人の「物語」、その“序章”を紹介する。

 山口県から単身で全国屈指の名門・帝京高校にやってきた田中達也にとって、百数十人がいる中で、憧れのカナリア色のユニフォームに袖を通すのは、とてつもなく難しい壁であった。入学当初は、西が丘サッカー場は『雲の上の存在』だった。

「西が丘サッカー場でサッカーをするということは、すなわち帝京のレギュラーであること。百十数人の競争の中で勝ち残った人間しか立てないんです。僕にとっては本当に雲の上の存在でした」
 しかし、彼は高1の夏合宿で、入学当初から磨き続けてきたドリブルが、コーチの目に留まり、Aチームへ抜擢されると、同年の選手権予選でついに『雲の上のピッチ』に立った。1年目は優勝に貢献、2年目も圧倒的な力を見せ付けての優勝。しかし、3年目の選手権予選では準決勝で東海大菅生に敗れた。
「まったく覚えてません」。この敗戦の記憶は田中の脳裏から完全に消えていた。というより『強制消去』させられていた。それはなぜか? 田中にとってこれは『今は振り返ってはいけない過去』であった。
「西が丘は通過点。通過点を経て、今、新たな目標に向かって突き進んでいるからこそ、今は振り返ってはいけないと思います。振り返るときは、自分で何かをやり遂げた後ですね」

 常に前進しているからこそ、あえて振り返らない。しかし、「自分にとって大事な大事な中継点なのは間違いない」と、田中にとって西が丘は心に刻まれた聖地であることには変わりはない。

[写真]東京の高校サッカーの聖地・西が丘。数多くの選手たちがここを目指している


★ドリブルを武器に「聖地」に立った田中が得たものは? 田中達也の「聖地物語」は書籍『高校サッカー聖地物語 僕らが熱くなれる場所』(著者:安藤隆人)で。書籍情報を見る(amazon)

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