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見城や島村にとって高校生活最後の大会となる全国高校サッカー選手権の神奈川県予選が、始まった。
「向井監督を、全国大会に連れて行こう」
島村の家の前でみんなが集まったあの夜以来、その思いが男子サッカー部をひとつにしていた。
戦力的にも充実していた見城たちはライバルチームを次々とくだし、2年ぶりに決勝進出を決めた。
悲願である全国大会出場をかけて戦う相手は、やはり光陽台だった。
一方、女子の予選でも、楓たちが順調に勝ち進んでいた。多村が鍛え上げたチームの敵はもう、県下には鶴見女学館以外にいなかった。
だが、男子チームが大きな危機に直面する。
準決勝に勝った直後、向井が倒れたのだ。
地元紙のインタビューを受けているときに意識を失った向井は、病院に搬送された。すぐに意識は取り戻したが、心筋こうそくと診断された。60歳になった体に、連日の激戦は負担だったのかもしれない。
命に別状はなかったものの、緊急入院した向井が決勝戦の指揮をとることは不可能だった。
誰が、男子チームの指揮をとるのか。
見城や島村、そして功太も、向井の代わりが務まるのは、自分たちのプレーを熟知している多村以外にはいないと考えていた。
多村は誰よりも強く、向井を全国の舞台に立たせたいと願っていた教え子の1人だ。自分たちが選手時代に果たせなかった夢を実現するため、母校に戻ってサッカー部の指導に情熱を注いできたのだ。あの事件が起こるまでは……。
※本連載は毎週月・水・金に配信予定です。
女子W杯でMVP&得点王に輝いたなでしこジャパンの澤穂希選手をモデルに、国民的サッカー漫画『キャプテン翼』の作者である高橋陽一氏が書き下ろした青春サッカー小説『サッカー少女 楓』。各メディアに引っ張りだこの話題作を全文まとめて読みたい方はコチラ(amazon.jp)からお買い求め下さい。
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