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サッカー少女 楓

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「俺が光陽台とやるときに思ったことなんだけどさ。俺も、見城さんや島村さんの力になって向井監督を選手権に連れて行きたいって気持ちは強かったけど、自分は光陽台相手になにができるのか、今のおまえと同じように不安でいっぱいだったんだよ」

「はい」

「だけど、そこで俺は頭を切り換えたんだ。光陽台を完全に見下したんだよ」

「えっ、どういうことですか?」

「光陽台は弱い。俺たちが普通にやれば、10対0で圧勝できるチームだって思いこんだんだ。ほんとは強いのがわかってるのに、その前提を自分の意識のなかでひっくり返したんだ。そうしたら、仮に自分のミスで先に1点とられても大丈夫だ。10対0で勝てる試合が10対1になっただけだって思えるだろ」

「えっ、でも、それで功太先輩の不安は消えたんですか」

「そう思いながらプレーしたら、決勝戦の大舞台なのに、不思議とリラックスできたんだよな」

「わかりました。それ、私も試してみます」

「うん。まあ、これはあくまでも俺の場合で、雨宮も同じ方法でリラックスできるとは限らないけどな」

「でも、光陽台を見下すなんて、ふだんの功太先輩からはありえないくらい大胆ですね」

「そうか」

「恋もそれくらい大胆になったらいいのに」

「えっ」

「冗談ですよ。功太先輩と話しただけでもなんか心が軽くなりました。明日、鶴見を見下して試合に臨みます」


※本連載は毎週月・水・金に配信予定です。
女子W杯でMVP&得点王に輝いたなでしこジャパンの澤穂希選手をモデルに、国民的サッカー漫画『キャプテン翼』の作者である高橋陽一氏が書き下ろした青春サッカー小説『サッカー少女 楓』。各メディアに引っ張りだこの話題作を全文まとめて読みたい方はコチラ(amazon.jp)からお買い求め下さい。
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