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サッカー少女 楓

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 やっぱり、湘南の空のほうがいいな――。

 暗い通路を抜けてドイツの空を見上げた楓は、そんなことを思いながらピッチに向かった。スタジアムのすぐ上まで、分厚い雲が垂れこめている。

 楓は、子どものころから憧れた日本代表「なでしこ」のユニフォームに袖を通していた。背中にはりついている数字は、小学生のころからずっと同じ「8」番だ。

「楓、いつもと同じ調子でやろうね」

 声をかけた零も、同じユニフォームの「9」番を背負っている。

 U-20女子W杯。2人は「ヤングなでしこ」と呼ばれる代表メンバーに選ばれていた。

「8」=「∞」。

 まさに無限大の可能性を信じてきた楓は、夢の入口に立つことができたのだ。

 ピッチサイドに並び、君が代を聞いた。

 そしてセンターサークルに向かいながら、楓はドイツへ出発する前日のことを思い出していた。
  
 その夜、楓は功太に海岸に呼び出されていた。

「なに、功太、こんなところに呼び出して」

「うん、やっぱり言っとこうと思ってさ」

「なにを?」


※本連載は毎週月・水・金に配信予定です。
女子W杯でMVP&得点王に輝いたなでしこジャパンの澤穂希選手をモデルに、国民的サッカー漫画『キャプテン翼』の作者である高橋陽一氏が書き下ろした青春サッカー小説『サッカー少女 楓』。各メディアに引っ張りだこの話題作を全文まとめて読みたい方はコチラ(amazon.jp)からお買い求め下さい。
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