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「ずっと前に、見城先輩に言われたんだ。言っとかないと歳をとったときに絶対後悔するって。そんときは、半信半疑だったけど、最近なんか、本当にそうなんじゃないかって思えてきてさ」
「えっ、だから、なにが」
「楓、俺、おまえのことが好きだ」
「…………」
「ずっと前から好きだった」
「功太……」
「まあ、わかってただろうけど」
次の瞬間、楓の頬を涙がつたった。
「あれ、私なんで泣いてるんだろ?」
混乱した楓は「でも、功太、私は……」それだけ言うと、言葉につまった。
「わかってるよ、だっておまえの恋人はサッカーだろ」
楓は小さくうなずいた。
「いいんだよ、それで。ただ、俺が言いたかっただけだから」
楓は顔をあげて、功太を見た。小学生のときからずっと見てきた顔なのに、急に大人になったような気がする。
「ありがとうな、楓」
「えっ」
「まだ18年しか生きてないけど、楓に出 えてよかったよ。同じ年代に、同じ場所に生まれて、一緒にサッカーができてホントによかったよ」
「それは私も一緒だよ、功太」
潮騒が、楓の小さな声をかき消そうとする。
「ドイツ、明日からだろ」
「うん」
「楓の夢へまた一歩近づいたな」
「うん」
「覚えてるか、チャイルズの最初の練習のとき、練習終わりに監督が全員に聞いただろ。みんなの夢はなにかって」
「うん」
※本連載は毎週月・水・金に配信予定です。
女子W杯でMVP&得点王に輝いたなでしこジャパンの澤穂希選手をモデルに、国民的サッカー漫画『キャプテン翼』の作者である高橋陽一氏が書き下ろした青春サッカー小説『サッカー少女 楓』。各メディアに引っ張りだこの話題作を全文まとめて読みたい方はコチラ(amazon.jp)からお買い求め下さい。
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