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あのときと同じように、楓は江ノ電鎌倉駅の改札を抜けた。
大きなスーツケースをひきずり、首からメダルをかけている。
駅前のロータリーを見渡したが、功太の姿はなかった。朝早く成田に着いたとき、鎌倉に着く時間をメールで知らせておいたのだが……。
「やっぱり、いないか」
楓は笑顔を作って、自宅へ続く坂道を登った。
ようやく、自宅が見えてきたころだ。
サキからメールが届いた。
『楓せんぱ~い♥ 功太せんぱいとディズニーランド来ちゃいましたァ♪』
添付された写真に写っているのは、サキと功太だけではなかった。亜里沙と綾乃、それに男子サッカー部の木村と中尾がいる。サキはミッキーマウスの大きなぬいぐるみを胸に抱えている。
楓はすぐ返信しようとしたが、やめた。そのまま、スーツケースを転がして坂道をあがっていく。
《くっそぉ、あいつら抜けがけしやがって……。私だっていつか、サッカーが恋人じゃなくなる日が来るんだから。まぁ、たぶんだけど》
※本連載は毎週月・水・金に配信予定です。
女子W杯でMVP&得点王に輝いたなでしこジャパンの澤穂希選手をモデルに、国民的サッカー漫画『キャプテン翼』の作者である高橋陽一氏が書き下ろした青春サッカー小説『サッカー少女 楓』。各メディアに引っ張りだこの話題作を全文まとめて読みたい方はコチラ(amazon.jp)からお買い求め下さい。
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