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POINT OF SOCCER by 長谷川望

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「股関節は全方向に伸ばす」ストレッチの重要性とは
by 長谷川望

 1月に入り、寒さが厳しくなってきましたね。寒いと身体に力が入り、硬くなりがちですよね。関節も硬くなってしまうと、怪我に繋がりやすくなります。そこでスポーツをする人に限らず、誰でも経験したことがあるストレッチに注目したいと思います。運動のアップ時やダウン時、体育の前など、大人から子供までお馴染みですよね。

 今回は、より効果的なストレッチを行うために、正しい方法やストレッチの重要性について専門家の方に、実際に教えていただきました。取材に協力して下さったのは、日本体育協会公認アスレティックトレーナーの海老澤一哉さんです。海老澤さんは、2004年アテネ五輪で女子バスケットボールの日本代表トレーナーの経験もあり、長年にわたり、アスリートを始め、たくさんのスポーツに携わる方々を支えています。

 私たちが当たり前に行っているストレッチは、一般的に怪我の防止ためという認識がありますが、なぜストレッチは怪我の防止に繋がるのかお聞きしました。「筋肉が関節を繋いでいるので、それを伸ばすことによって関節の可動域を広げる。本来ならばある程度までしか動かなかった関節が、競技中などにそれ以上広がってしまった場合、怪我をしてしまう可能性があるので、あらかじめ動く範囲を広くしておく必要がある」と、関節の可動域を広げることで怪我のリスクが軽減されると説明して下さいました。

 ジュニアのサッカークラブの準備運動も指導している海老澤さんは、子供たちの柔軟性を定期的に図り、怪我をしない身体づくりに貢献しています。開脚は男子が肘、女子は胸が着く程度を一つの目安とし、関節や骨が出来上がる中学生くらいまでに、ストレッチをしっかりと行う事で、効果的に柔軟性を高める事ができるそうです。

 それではサッカーをする際に、特に重要なストレッチ箇所とはどこなのでしょうか。股関節の重要性について挙げていただきました。「股関節のストレッチは縦横も重要ですが、斜めも大切。股関節は全方向にストレッチしてほしい」。前後左右の開脚は馴染み深いですが、斜めに伸ばす事も重要なのですね。実際に家でも出来る斜めストレッチの方法を教えていただきました。

【股関節外側斜めストレッチ】
①床に膝を立てて座ります。手は後ろに置いて身体を支えます。
②片方の足首を反対側の膝の上に置きます。
③この時のポイントは骨盤を起こして、おへそを前に出すイメージです。背筋を伸ばして上半身を正し、しっかり緊張を感じましょう。

【股関節内側斜めストレッチ】
①床に膝を立てて座ります。手は後ろに置いて身体を支えます。
②片方の足を外側に広げます。広げた方の膝を内側に倒して、床に近づけます。
③ポイントは、お尻が床から離れないようにしましょう。この際も、上半身は背筋を伸ばして姿勢を正します。


 私も実際に体験してみて感じたのですが、2つ目に行った内側のストレッチが苦手なことに気付きました。そしてより詳しく見てもらうことによって、右の股関節の方が硬く、左右の股関節の柔軟性の違いも発見できたのです。このように左右の柔軟性の違いを知る事も、怪我をしない体づくりに役立つと感じました。硬い箇所は、無理せず少しずつ慣らして行くことが大切とのことです。サッカーをしている人の特徴として、がに股の人が多く、2つ目の内側のストレッチにやり辛さを感じる場合が多いそうですよ。「股関節の動きの悪さが膝に影響している事も多い」。股関節は膝にも影響を及ぼします。縦横の開脚と合わせて、このような斜めのストレッチも取り入れていきたいですね。

 柔軟性を保つには「毎日続けることが大切で、理想は1日3回行うこと。しかし朝一は、急に伸ばすと筋肉の筋が切れてしまう可能性があるので、あまりやらない方が良い。毎日やることで身体のコンディションを知る指標になる」と、話して下さいました。ストレッチ不足で生じる怪我は肉離れなど筋肉系の怪我が多いそうですので、硬くなりがちな寒いこの時期も毎日しっかりとストレッチを行って怪我防止を心がけたいと感じました。

◆著者プロフィール◆
長谷川望(はせがわ・のぞみ)
1987年生まれ。福島県出身。ロンドン五輪でなでしこジャパンや女子レスリング金メダリストの伊調馨らを取材。フジテレビ「とくダネ!」に出演するなど現在スポーツライターとして活躍中。
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