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セルジオ越後の越後録 by セルジオ越後

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フォルラン1人では少ない。花火だけで終わったら何にもならない
by セルジオ越後

 時期的にオリンピックのフィーバーと重なった影響でニュースとして取り上げられている時間は短い。ただ、どのメディアも少ない時間を割いていろいろ取り上げてくれるのはありがたいね。セレッソに加入したディエゴ・フォルランの入団会見やキャンプについてだ。オリンピック終了後もしばらくはメダリストについての報道が続くだろうから、本当にフォルランのニュースが増えるのはJリーグの開幕直前になるかもしれない。ただワールドカップでMVPと得点王を獲得しているフォルランの注目度は異常なほどに高く、問い合わせの多さは、クラブの広報担当も対応できないほどだと聞いた。ユニフォームの予約も殺到しているらしい。ボクも知人から「関東でセレッソの試合のチケットが手に入らないか」と聞かれるほどだ。1人のビッグネームを獲得することでこれだけの反響がある。それをJリーグの各クラブは最近実行してこなかった。それほどの“ビジネス”が眠っていたということだ。

 このフィーバーをセレッソだけで終わらせてはいけない。Jリーグの人気回復の起爆剤にしなければいけない。昔のJリーグにはビッグネームが各チームにいた。リーグに横綱がひとりいるだけではなく、大物同士が戦うスリルが昔はあった。確かにセレッソは、メインスポンサーであるヤンマーが創業100周年を迎えたことも今回の決断に影響していると思う。日本は30周年とか、50周年とか記念イヤーに力を注いで強化することが他のスポーツでもよくあるからね。“予算社会”となっている現在のJリーグで他のクラブは簡単にマネできないだろうし、現場の判断だけでビッグネームを獲得できるものでもない。

 予算がない中で、他のクラブはセレッソをヒントに同じような行動ができるか。その点でメディアが果たす役割は大きい。今のところ、メディアはライバルチームの監督や選手に「フォルランについて」のコメントを聞いているけれど、それよりもぜひ各クラブのフロントに取材して欲しい。現場の「フォルランは凄い選手」、「羨ましい」というコメントがあっても、Jリーグは何も変わらない。それよりも、各クラブがどう感じているのか。それを全チームに仕掛けて、外国人のビッグネームが必要かどうか真剣に考えさせて欲しい。

 最近、一般社会のJリーグに対する注目度は非常に低い。それが少し変わりそうな気配はあるけれど、ボクから見れば、フォルラン1人では少ない。花火だけで終わったら何にもならない。Jリーグ全体を盛り上げないといけないし、強化しなければいけないんだ。セレッソのライバル、ガンバのフロントはどう感じているのか? “東の横綱”と言われていたレッズはどう思っているのか。過去にジーコやジョルジーニョ、レオナルドと言ったスーパースターを呼んできていたアントラーズはセレッソがやってきたことをどう感じているのか。同じような行動を全く考えていないのか、それとももう動き出しているのか。現在の各クラブの状況も見えてくるかもしれない。だからメディアにはフロント、そしてJリーグのチェアマンにもセレッソのフォルラン獲得についての感想を聞いて欲しいね。

 日本はまだメディアがフォルランの使い方を分かっていない。この機会を利用して、いい方向に持っていかないといけない。昔、ジーコが住友金属に入ってきた時と同じように、まだメディアが使い方を戸惑っている。まずは、他のクラブを突いて欲しい。次のフォルランは簡単には出てこないよ。でも今回はJリーグを変えるチャンス。だからメディアにはリーグ戦がスタートを切る前から積極的に動いて欲しいね。

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