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ヤング魂 by 長谷川望

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[第3回]FW奈良坂巧(クラブテアトロJY)「チャンピオンズリーグアンセムを父親へ」
by 長谷川望

 2014年全日本少年サッカー大会でベスト8に輝いた神奈川県代表のJFC FUTURO(フトゥーロ)。大会後には朝の5時に起きて、宿舎の周りを朝ごはんの時間まで走り込みをしたという。そんな話を大会の思い出としてみんな笑いながら話す姿をみて、思わずこちらまで笑顔になる。

 前回のコラムに引き続き、JFC FUTUROで活躍し、今年の春から新中学生として羽ばたく選手を紹介したい。

PICK UP選手
 FW奈良坂巧くん(12)。ポジションはFWかMFを任せられることが多いという。チームのなかでも背が高い奈良坂くんの得意技はヘディングだ。新中学生となった春からは神奈川県のクラブテアトロジュニアユースのメンバーに加わる。

どんな選手!?
「ヘディングに関して天性のものがある。ジュニアユースと試合してもヘディングで勝ってしまう。日本人はヘディングだと弱いボールになるが、巧は強いボールで返せる。CKは巧のところに蹴れば、勝手に決めてしまう」と、得意のヘディングに鈴木友監督も太鼓判を押す。

 ヘディングの才能もそうだが、もう一つ驚いたのは質問に対してしっかりと自分の意見を言えるところだ。これから所属するクラブテアトロJYでの意気込みを聞いたとき「僕が関東リーグまで上げられるように頑張ります。自分の特徴をいかして、短所はいつか補えると思うので、まず長所を伸ばすことを頑張りたいと思います」と、はっきりとした口調で答えてくれた。

 クラブテアトロJYは現在、神奈川県U-15リーグで活躍している(神奈川県U-15リーグのトップリーグで1位になったチームが、関東ユースサッカーリーグ参入戦に出場できる)。強豪チームが多い神奈川県で、これから彼がどのように成長するのか楽しみだ。

将来の夢は!?
「プロになってお母さんとお父さんに親孝行して、お父さんがチャンピオンズリーグの音楽を生で聞きたいって言っているので聞かせてあげたいです。それが夢です」と、小学生ながらにして、両親を思いやる優しい気持ちをみせてくれた。
 
 そして好きな選手を聞いてみた。まず出てきたのがFWズラタン・イブラヒモビッチ(パリSG)。背が高く、得点力があり、足元が上手いという納得の理由だったが、ここで注目したいのは、好きな日本人選手の方だ。

「サンフレッチェの皆川選手。高校のときの話をきいて、ずっと4軍ぐらいでプレーしていたのに、努力してたら監督に見つけてもらって、最終的にプロになったところがすごいなと思う」と、昨年日本代表に初選出されたFW皆川佑介(広島)の名前をあげた。よくプレースタイルや技術を好きな理由にあげることが多いが、奈良坂くんがあげたその理由に感心させられた。子供らしい話し方をする一方で、発言には大人顔負けの洞察力がある。プロサッカー選手という夢を、様々な角度からもうすぐ中学生になる彼のなかでしっかりととらえていた。

サッカー以外では!?
――好きなテレビとか漫画はあるの?
「サッカーのアニメがあったらいつも録ってます。深夜にばっかやっているんで、探すの結構大変なんですよね」

――(笑)。JFC FUTUROはもうすぐ卒業だけど(取材日は3月)、どんなことが思い出に残っている?
「全日(全日本少年サッカー大会)終わったあとにカラオケいったんですよ! それが楽しかったです」

――取材していても感じるけど、みんな本当に仲が良いんだね! ジュニアユースチームでもがんばってね。
「がんばります!!」

◆著者プロフィール◆長谷川望(はせがわ・のぞみ)
1987年生まれ。福島県出身。ロンドン五輪で女子レスリング金メダリスト伊調馨を取材。2020年東京五輪を見据え、サッカーを中心にスポーツの育成年代を精力的に取材している。フジテレビ『とくダネ!』、TBS元旦スポーツ祭り『2013年にかけるアスリートたち』、WOWOW『金曜カーソル』などテレビ番組でも活躍中。
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