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[クラブユース選手権U-18]鳥取U-18に2度追いつかれるもミッション達成、京都U-18がグループD首位通過!

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[7.27 日本クラブユース選手権1次R第3節 鳥取U-18 2-3 京都U-18 石関公園サッカー場]

 夏のクラブユースチーム日本一を決める「adidas CUP 2014 第38回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会」は27日、1次ラウンド最終節を行い、決勝トーナメントへ進出する16チームが決まった。

 グループDは全チームに決勝トーナメント進出の可能性が残された中、最終戦を迎えた。石関公園サッカー場では勝ち点3のガイナレー鳥取U-18と勝ち点4の京都サンガF.C.U-18が対戦。序盤から一進一退の攻防が繰り広げられ、4分には鳥取が右からのクロスをファーサイドでMF影山真大が合わせるが、これはGKの正面。京都も10分にMF大西勇輝が右サイド深くまで突破した折り返しをMF永島悠史が合わせるが、相手DFのカバーリングもあってシュートは枠を捕らえられない。その後もサイド攻撃からリズムをつかむ京都に対して、鳥取は耐えながら逆襲を伺うという展開で試合が進む。前半のシュート数は鳥取5本の京都7本と互角だが、やや京都優勢でハーフタイムを迎えた。

 スコアレスだった前半から打って変わって、後半は試合が大きく動く。先にネットを揺らしたのは京都だ。5分、右サイド深くまで侵入した大西から鋭いグラウンダーのクロスがゴール前に送り込まれると、鳥取DFのクリアがゴールに吸い込まれてオウンゴールとなってしまう。3試合連続で先制点を奪った京都だが、鳥取もすぐに反撃に出る。先制点から2分後の7分、スローインの流れからゴール前に送り込まれたボールはFW畑中槙人を経由して、影山が左足で蹴り込み1-1。19分に京都がCKからDF酒井崇一のヘッドで突き放すも、3分後の22分に鳥取もCKの二次攻撃から、最後はDF津森大生がヘッドで押し込んで再び追い付いてみせた。

 勝てばグループリーグ突破となる両者が貪欲に勝利を目指す中、次のゴールを奪ったのは京都だった。31分、MF奥川雅也が蹴ったCKはニアサイドへ飛び込んだMF宅野海里の鼻先をかすめて密集地帯をすり抜けてゆき、直接ゴールイン。鳥取も三度、同点弾を目指してラスト10分で必死の攻撃を展開する。ボールを奪うとシンプルにゴール前へクロスを供給するパターン、もしくはセットプレーで、畑中が203cmの長身を生かした絶対的な制空権で相手を脅かした。たが、京都は最後のところで耐える。畑中に対しては「競り勝てなくても体を当てたり、駆け引きのところで対応した」(DF平山悠大)。その先のこぼれ球への反応も集中力を切らさず、3-2で逃げ切ってグループ首位通過を勝ち取った。連日続く暑さに加えて、この日はピッチコンディションも悪く、第2戦に続いて試合内容では課題もあるが「なにより、次へ進むことが大事だった」(川勝博康監督)というミッションを達成した選手たちには笑顔が浮かんでいた。

 敗れた鳥取は勝ち点を積み上げることができず、他会場で同時刻キックオフだった新潟U-18vs千葉U-18の結果により、グループ3位となってグループリーグ敗退が決定した。試合後、人目をはばからずに涙を流す選手たちは鳥取サポーターだけでなく、京都サポーターからも惜しみない拍手が送られていた。一昨年と昨年は1勝もできずに大量失点で敗れていたチームが、今年は第2戦で待望のクラブユース選手権での初勝利をあげ、決勝トーナメント進出へあと一歩まで迫った。強豪・広島ユースを押さえての中国地区第1代表という肩書きがフロックでないことを照明してみせた。この日はトップチームでJ3にも出場経験のあるMF石輪聖人が攻守で存在感を発揮して流れを呼び込んでおり、最終ラインの津森や前線の畑中を含めたセンターライン、その脇を固める選手も全国を舞台に自分たちの力を出し切っていた。「ジュニアユースから在籍している選手も多く、6年前からやってきたことが今大会につながっている。鳥取が地元の選手を育てていく上で、半歩進んだのかもしれない」と話したのは吉澤英生監督。この日、流した涙は、昨年までの涙とは意味合いが違うはずだ。鳥取は新しい風を吹き込んで、大会から去っていく。

(取材・文 雨堤俊祐)
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