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[クラブユース選手権(U-18)]大宮ユースが黒川の2発含む4発で快勝、悲願の初タイトルへ前進

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[7.26 日本クラブユース選手権(U-18)大会決勝T1回戦 川崎F U-18 1-4 大宮ユース 前橋総合]

 第39回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会は26日にノックアウトステージの1回戦を行い、前橋総合公園陸上競技場の第2試合では、大宮アルディージャユース(埼玉)が4-1で川崎フロンターレU-18(神奈川)との関東勢対決を制して8強進出を決めた。

 青空の広がるピッチでキックオフを迎えたのは、午前11時半。公式記録に示された気温は38度を超えた。連戦の疲労、猛暑の前橋という条件とも戦わなければいけない一戦は、時として先制点が勝敗を大きく左右する。試合の立ち上がりは互角だったが、大宮が前半で一気に試合を決める破壊力を見せた。

 5分、左FW藤沼拓夢が縦に突破してクロスを送ると、ニアでFW川田拳登がつぶれた後、ファーサイドに走り込んだU-18日本代表MF黒川淳史が押し込んで先制点をマーク。さらに13分、中盤の競り合いをフォローした黒川がドリブルから利き足ではない左足のミドルシュートをたたき込んで2点目。19分には右FW松崎快のドリブルで生まれたこぼれ球を藤沼が拾い、右に流れながらゴール左へ突き刺して3点。そして26分、今度は最終ラインから右サイドで縦につなぐと、黒川がカットインをしながら得意のスルーパスを送り、前線で抜け出た川田がゴール。立て続けに4点を奪い、一気に勝敗を決した。

 川崎の今野章監督は「立ち上がりは悪くなく、攻撃も出来ていた。これは、行けるかなと思ったが、そこで右サイドをスコンとやられてしまった。あれでショックを受けて守備に連動性がなくなり、ポンポンとやられてしまった。1点目が大きかったし、その後の修正が間に合わなかったことがベンチワークも含めて課題。ようやくボールを持てるようになったと思ったときには、もう4点も決められていた」と肩を落とした。

 圧倒的な攻撃力を見せた大宮の中でも一際輝いたのが黒川だった。この大会が開幕する2日前まで参加していたU-17日本代表チームでは、U-17メキシコ代表戦と前半終了時点で試合中止となったU-17セルビア代表戦でゴール。意識して高めているという得点意欲が、この試合でも実った。特に2点目は完全に個人技によるもの。黒川は「ルーズボールを拾ってからシュートしか考えていなかった。代表でも点が取れているし、少しずつシュート意識は高められている。ああいうのを見せておくことで、相手を食いつかせて自分の良さであるパスも出せるようになる。右から左にカットインして左足のシュートは練習もしている。昔からシュートは左足の方がミートしやすいくらいで、左足も苦手意識はない」と話し、得点力に自信を持ち始めていることを明かした。パスによるチャンスメークには以前から定評があったが、最終学年を迎えて両足のシュートという大きな武器を手にしようとしている。

 一方、川崎は主将を務めるFW岸晃司が15分過ぎの接触プレーで負傷交代。MF三笘薫のターンやMF渡邉啓太郎のアーリークロスなどからチャンスを作ったものの、ゴールは遠かった。前半終了間際、三笘が途中出場の瀬川ヤーシャとのワンツーで抜け出して際どいシュートを放ったが、わずかにゴール右へ外れた。ただし、4点を追う後半は、攻撃の軸である岸の不在を感じさせない猛攻を仕掛け、大宮に押し上げを許さなかった。サイドを起点に攻め立て、11分には左DF島崎竜の横パスを受けた瀬川が突破にかかったところでファウルを受け、PKを獲得。瀬川が自ら決めて1点を返した。当然、川崎の反撃ムードは上昇したが、大宮は立て続けに選手交代を行い、ピッチ内の運動量とパスワークを活性化。北西真之野崎玲央の両CBとアンカーの山田陸を中心に相手の攻撃を跳ね返し続け、終盤は間延びした相手をカウンターで強襲に転じた。川崎は試合終了間際にDF川崎晶弘の左からのクロスをMF猪狩和真が頭でわずかにそらして渡邉がボレーで押し込んだが、オフサイドの判定で認められなかった。

 結局、試合は4-1で終了。ジュニアユース時代に全国大会で準優勝を2度経験している大宮の藤沼は「ここまできたら優勝しか見えていない。去年は、ここで負けて悔しい思いをした。相手がどこでも勝ち続けて(準決勝、決勝戦が行われる)ニッパツで勝って、タイトルを取ってみんなで喜びたい」とタイトル奪取に強い意欲を示した。大宮は、28日に行われる準々決勝では、コンサドーレ札幌U-18(北海道)と対戦する。

[写真]大宮ユースはMF黒川が2得点の活躍

(取材・文 平野貴也)
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