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まさかの“抽選負け”…柏U-18山本桜大は圧巻の同点2発も「自分がもっとゴールを決めていれば」

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柏レイソルU-18FW山本桜大

[8.1 クラブユース選手権準決勝 横浜FMユース 2-2 柏U-18 正田スタ]

 得点ランキング単独トップの6ゴールを挙げた柏レイソルU-18FW山本桜大(3年)の夏は、まさかの幕切れとなった。前半アディショナルタイム4分、自身の劇的な同点ゴールで後半に望みをつないだが、雷による試合中止に伴う抽選により敗退が決定。それでも試合後、山本は「悔しい気持ちはあったけど、下を向いている暇はない。切り替えてやっていきたい」と気丈に振る舞った。

 柏U-18はこの日、高円宮杯プレミアリーグEAST所属で上位を走る横浜FMユースを相手に前半14分までに2失点。立ち上がりから厳しい戦いを強いられていた。ところが、そこから輝きを放ったのがエースの山本。まずは同27分、鮮やかなサイド攻撃で獲得したPKを冷静に沈めて1点を返すと、その後は力強さとしなやかさを兼ね備えたポストプレーで攻撃の起点になり続けた。

 そうして迎えた前半ラストプレー。左サイドを攻め上がったMF中村拓夢(3年)のクロスボールに対してニアサイドに飛び込むと、角度のないところからのヘディングシュートを沈め、土壇場で同点に導いた。圧巻のスーパーゴールとは裏腹にゴールパフォーマンスは控えめだったが、その理由は「自分がゴールを決めるとき、だいたいみんなあまり来てくれない(笑)」というもの。それほど山本の得点が日常になっていることを感じさせた。

 2-2で追いついて迎えたハーフタイム、山本は「ロッカールームに下がったときに『ここから、ここから』という雰囲気がすごくあった」とチームの勢いに手応えを感じていたという。しかし、その勢いを発揮するチャンスは訪れなかった。前半終了のホイッスルを合図とするように響き始めた雷鳴は、時間を追うごとに大きくなり、試合はそのまま中止を強いられた。同点で中止の場合、大会規定によって抽選を実施。その結果、横浜FMユースの決勝進出が決まった。

 山本のゴールがなければ規定上も横浜FMユースの勝利だったが、同点に追いついていたからこそ無念はひときわ大きかった。「自分たちが0-2で負けていて、そこから自分のゴールで2点を決めて、抽選に持ち込めたのは良かったけど……」。そう切り出した山本は「自分がもっとチームのために走ってゴールを決めていれば、抽選とか考えずに突破できた。自分の決定力を上げることに尽きる」と自らに矢印を向けていた。

 背番号9を担うエースの矜持——。「攻撃の中心は自分だと思っているので。自分次第でチームの勝敗が変わってくると思うので、自分がチームを勝たせる気持ちでやっている」。そう自負する山本にとって、2ゴールを挙げたパフォーマンスさえも満足いくものではなかった。「今大会で6得点は決められたけど、初戦からずっと決定機を外す場面があったので、決定力に尽きる」。柏アカデミー期待のストライカーは、非情な敗退決定さえも自身の成長の糧としていく構えだ。

(取材・文 竹内達也)
●【特設】第46回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会

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