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[総体]「優勝するために長野に来た」立正大淞南、ゴール前での強さ武器に3発8強入り!

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[7.31 全国高校総体3回戦 立正大淞南 3-1 帝京三 松本市サッカー場]

 平成24年度全国高校総合体育大会「2012北信越かがやき総体」サッカー競技(長野)は31日、3回戦8試合を行い、8強が決まった。前回大会4強の立正大淞南(島根)対帝京三(山梨)戦はFW坂口健太(3年)の勝ち越しヘッドなど3-1で立正大淞南が逆転勝ち。3年連続の準々決勝進出を決めた立正大淞南は8月2日に4強入りを懸けて羽黒(山形)と対戦する。

 ゴール前で見せる各選手の落ち着きぶり。南健司監督は「ゴール前で落ち着いているのが淞南。これは3種(中学世代)の指導者の方からも言われます。ポゼッションの時に落ち着いているチームはあると思うけれど、ウチはゴール前でも落ち着けるチーム。そういうトレーニングをしている」と説明し、この日3点目を決めたエースFW林大貴主将(3年)も「自分たちはゴール前で落ち着いて打てる」と胸を張っていた。指揮官が「内容は最悪やったけれど、最高の結果になった」と話したように先制されて苦しい試合ではあったが、勝負どころで見せたゴール前でのその落ち着き、強さが淞南にゴールをもたらし、8強へと進出させた。

 立ち上がりは帝京三の巧さが際立った。前半2分、右サイドでボールを持ったエースFW翁長聖(3年)が緩急で相手DFを置き去りにしてクロスボール。これをフリーで走りこんだFW松永圭偉(3年)が左足で合わせる。その後も松永やMF對馬瑠伽(3年)がドリブルでDFを振り切り、ダイレクトのパスワークも交えてPAへと侵入しようとする。 
 
 立正大淞南は得意の中央突破で対抗するも、なかなかゴールを脅かすことができなかった。そして27分に松永が連続シュートを放つなど流れを引き寄せていた帝京三が先制点を奪う。28分、帝京三は、對馬からのパスを受けたMF須江守(2年)がゴール正面右寄りの位置から右足ミドル。強烈な一撃をゴール右隅へと叩き込んだ。インターセプトからMF大山力(3年)が隙を突いて駆け上がってくるなど中盤を支配していた帝京三が大きなリードを奪った。

 ただ、立正大淞南はすぐさま同点に追いつく。32分、MF田中龍也(3年)が相手のタックルを粘り腰でかわして中央突破。そして林から出されたスルーパスを受けたFW田路大樹(3年)が、PAでのフェイクでGKの体勢を崩してから同点ゴールを流し込んだ。普段からゴール前では3対4などDFの多い、数的不利の状況でのシュート練習を徹底するという立正大淞南。この場面でも田路がゴール前で余裕を持ってシュートへ持ち込み、ゴールへと蹴りんでいた。

 この一撃で試合の流れは立正大淞南へ傾いた。序盤は相手の技術の高さに戸惑っていた立正大淞南守備陣がCB甲斐健太郎(3年)中心に相手の攻撃に対応するようになり、逆に帝京三が立正大淞南の中央突破に振り回されるようになった。特に立正大淞南の田路とMF隅田竜太(3年)はDFのプレッシャーを受けながらも前を向いて大きく前進。6分には林とのワンツーで田路が抜け出し、11分には隅田からのラストパスを受けた田路が決定的なシュートを放った。そして27分、立正大淞南は左サイドでボールを持った隅田がPAへ完ぺきなクロスボール。フリーで飛び込んだ坂口が値千金の勝ち越しヘッドをゴールへ突き刺した。

 さらに29分、立正大淞南が前線へ放り込んだボールを帝京三DFがバウンドさせてしまうと、その落下点に先に入った立正大淞南FW林がGKと1対1に。シュートさせまいとするGKをあざ笑うかのように2度の切り返しでかわした林がそのままダメ押しゴールを流し込んだ。

 昨年は総体で全国4強へ進出した立正大淞南だが、大本命として臨んだ選手権島根県大会でまさかの敗退。全国へ進出することができなかった。林は「昨年インターハイベスト4と悔しい思いの両方を味わった選手が多くいる。だから精神的に強い。もっともっと上に行けると思っているし、絶対に優勝するという気持ちで長野に来た」。昨年の経験と仙台練習参加のエース林や2年生ながら10番を背負う左SB高橋壮也らそれぞれの成長もある。初戦で東福岡との強豪対決を制し、この日は好チーム・帝京三を撃破。「優勝するために長野に来た」立正大淞南が中央突破と高速プレス、そしてゴール前での勝負強さを武器に初の日本一を勝ち取る。

[写真]J注目のエース林を中心とする立正大淞南が3発8強進出
(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 吉田太郎)

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