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ダービーに燃えた 横浜FC 山口監督「来年、三ツ沢でやりましょうよ」

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[10.10 天皇杯3回戦 横浜FM 2-1 横浜FC 日産ス]

 悔しさが滲み出ていた。5年ぶりの横浜ダービーで、ジャイアントキリングを目指した横浜FCだったが、横浜F・マリノスのMF中村俊輔に2本の直接FKを決められ、1-2で敗れた。指揮官となり、初めてダービーを戦った横浜FCの山口素弘監督は「これまでも解説者という立場で(中村俊輔の)素晴らしいFKを目の当たりにしてきましたが、ベンチで味わうと頭にきますね」と、唇を噛んだ。

 J1という舞台で戦う格上の相手にも、横浜FCは内容では負けていなかった。前半の立ち上がりこそ、動きに固さはあったものの、時間の経過とともにパスも回り、チャンスもつくっていった。チームがこだわってきた『ボールの運び方』という点では、横浜FMを上回ったといえる。「横浜ダービーに勝てなかったことは、サポーターに申し訳ない。ただ、選手たちにも伝えたのですが、下を向く必要はない。十分にファイトしてきた」と、山口監督も振り返った。

 多くの注目を集めた天皇杯でのダービーに敗れたが、今季の横浜FCにとって、最大の目標はJ1昇格である。そこに向かう姿勢は、少しもブレていない。3日前に行われたリーグ戦の大分戦(2-1)からは先発9人を入れ替えたが、戦力ダウンはしなかった。実際、横浜FMのDF中澤佑二も「力の差はないですよ。あるとすればテクニックやシュートの精度の部分くらい」と語っているが、これはシーズンを通じて、激しい競争をチーム内で続けてきた結果である。

 週末には、J2リーグ戦が行われる。この日、昇格を争っている湘南、京都も天皇杯を戦ったが、彼らはリーグ戦でもピッチに立っている選手たちを数多く起用した。この時期の試合は、肉体的にも、精神的にも、これまで以上に消耗が激しい。横浜FCにとって、多くの選手を入れ替えて戦えたことは、疲労軽減という効果はもちろんだが、さらなるポジション争いの激化にもつながる。

「今日の試合に出なかった選手たちにも、もちろん刺激になったでしょうね。残り5試合、もしかしたら敵は相手ではないかもしれない。ここからのある意味で面白い戦いに、選手たちは当然、出たいと思うでしょう。内田(智也)も戻って来たし。ナベ(渡邉将基)にしてもよくやった。チーム内の層の厚さは、選手たち自身がつくり上げてくれたものだからね」と、山口監督も目を細める。

 いつも以上にタッチライン際で大きな身振り、手振りを交えて指示を送っていた山口監督は、次のダービーでのリベンジを見据えている。「こういう雰囲気だったから(燃えたよ)ね。三ツ沢だったら、もっと良い雰囲気だったと思うけど。まぁ、いいや。来年、三ツ沢でやりましょうよ」と言い、ニヤリと笑った。

(取材・文 河合拓)

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