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柿谷が装着する新たな武器「ナイキ ハイパーヴェノム」は“ヤンチャなスパイク”

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 セレッソ大阪のエースFW柿谷曜一朗。J1得点ランキングトップタイで、ボールタッチなどその技巧に注目集まるFWは、来年W杯を戦う日本代表の新たな1ピースとして期待が高まる。その柿谷が今年の目標やセレッソのエースナンバー「8番」について、日本代表について、そして新たな武器であるスパイク「ナイキ ハイパーヴェノム」についてインタビューに応えた。

―「ナイキ ハイパーヴェノム」は外見から違うなという印象があるスパイクですが?
「履き心地はキツすぎて、ちょっと靴ずれができましたけど(微笑)、でもそこはどんどん『ここがキツイ』とか、『ここが痛い』とか、言えば言うほど自分の形にしてくれるので、これから。ただ、色合いは派手なというか、ナイキ独特のこの色の使い方というか。フィット感に関しても、自分の足にかなりフィットしていて早く試合で履きたいなと感じました」

―上手い選手は足元に視線がいく。このオレンジは目を引く色合いかなと思います
「逆にマークされやすくなる(苦笑)。もう少し薄くして貰ったほうがいいかな。でも、なんせ軽いので、見た目以上に」

―スパイクの軽さにはこだわりますか
「軽さは別にそこまで求めないですけど、重いよりは軽い方がいい」

―スパイクに一番求めるものとは
「フィット感ですね。より自分の足に吸い付いているというか。ペタッと自分の足に、自分の足と一緒になっている感じが好きなので、だから一番いいのは裸足ですね。より裸足の感覚に近いものがいい。足がちょっとギュッとなるような感覚で履いています」

―それは昔から
「昔、中高の時って今ちょうどいいんじゃなくて、ちょっと大きいサイズを買いなさいと言われて、一個大きいのを買っていたんですけど、靴下3枚くらい履いてピタッとやったりしていましたね」

―ボールタッチの感覚については?
「裸足に近い感じですね。皮が薄いというか、ホンマ裸足に感じますね。(ナイキスキンの外見は)見たことないし、ちょっと気持ち悪いですけれども(微笑)、直接やっている時にこの(アッパーの)デコボコ感がどうかは分からないけれども、裸足に近い感じですね。デザインやこの吸収性だったりは、“ヤンチャなスパイク”やなと思いますね」

―医師の協力によって生みだされたという屈折溝、踏み出しについては
「走っている時に『スパイクを履いていない』という感じはちょっと言い過ぎですけれど、スパイクで走っているっていうより裸足に近い。出足もそうですけど、より踏ん張れる。フィット感があるからこそ、強く地面を蹴れるというのはあります」

―それは今までのスパイクにはなかった?
「これまでのスパイクでは、そのフィット感を求めてキツクしてもらっていた分、できていましたけれど、このスパイクがもっと足に合ってくれば、もっと強く蹴り込めたり、もっと自分の足をサポートしてくれるかなと思います」

―このスパイクの公式戦デビューは早ければナビスコ杯になる
「(自分の足に合わせるまで)時間はかかります。試合で履くのはホンマにきょう自分が『これで行けるな』と思うスパイクやし、それはもうダサかろうが、絶対に大事やと思う。その中でよりこれを履けるように、自分も練習の中で履いて、ナイキの人に『これがイヤや』、『ここが痛い』というのをどんどん伝えて、協力して、実戦の時に履けるスパイクにしていきたい」

―そのナビスコ杯ですが、「チャンピオンの気持ちを知りたい」という言葉が印象的でした
「トロフィー、優勝、タイトルには残念ながら縁がない。でも、ボクがセレッソの代名詞というか、象徴と言える『8番』をつけた年にひとつ獲れたら最高かなと思うし、それがJリーグで獲れたら最高ですけど、タイトル獲れたら最高やなと思って今シーズンに臨んでいる。だからJリーグもナビスコもボクにとって、セレッソにとっても凄く大事な戦いなので楽しみですね」

―そのセレッソの戦いぶりについて。満足というのは絶対にないと思うが
「最低限の、決勝トーナメントに進出することができた。でも去年はそこで終わってしまったので、まず去年以上、ベスト4に入るということを前提に取り組んで行かなければいけない。ナビスコが始まるのでまず目の前のところに集中したい」

―自身のパフォーマンスに関してはいろいろな評価が聞こえていると思う。まだまだやぞという気持ちが大きいと思うが
「それしかないですね。だからこそ、日本代表にも呼ばれないんでしょうし、それは自分でも自覚しているし、だからこそもっとチームで目立って、それからやと思う。Jリーグも、ナビスコも、もっともっとチームに貢献することが大事やと思います」

―今シーズンの良い部分、悪い部分、自己分析もしているかと
「悪い部分はミスが多すぎるところですね。それが悪いところですね。ホンマに判断のミスであったり、シュートのミスであったり、すべてのミスが多すぎるというのが一番悪いところですし、いいところで言えば決勝点を獲れているかなと思います。(悪い点については)それにしてもミスが多すぎる。シンプルなミスですよ。誰でもできる、プロやなくても中学生でもできるようなプレーをミスしているのもあるし、『それじゃあ、ダメだよね』って思います」

―それは1試合にひとつ、ふたつある? どうしてもニュースで見る活躍したイメージが強いが
「イヤ、(ミスは)何個もですね。映してくれるのはいいところやと思うし、それだけ見ていれば気持ちいいかもしれないですけれど、実際やっているボクらは悔しい思いをしている部分がいっぱいある」

―毎試合悔しさが上回っている
「悔しさの方が全然多いですね」

―セレッソの8番の理想像とは?
「理想像というのはないです。セレッソの8番というのは森島(寛晃)さんなんで。それ以上はないですし、似たものもない。ただ、今はボクがセレッソの『8番』なんで、自分というものを探りながらプレーで表現するのもそうですし、普段の生活、普段のサポーターへの気配りというのは自分にもできることがある」

―肩を並べることはできても、越えることはできない
「肩を並べることもできない。できないです。背はちっちゃいですけどね(微笑)。背中にタッチできるか、どうかじゃないですか。ボクが40までやって」

―高校生にとって柿谷選手は憧れ。例えば練習参加した高校生を見た時に「コイツ、いいな」と思うポイントはどういうところ?
「『サッカー知ってんな』というところですね。『コイツ、サッカー上手いな』じゃなくて、『コイツ、サッカー知ってんな』。もちろん、それが『上手いな』につながるんですけど、『アイツ、知ってんな』って」

―具体的にいうと?
「ポジションは関係ないんですよ。センターバックであろうと、中盤であろうと。ただ、トラップしてからのパスの質と出す場所とか、『偶然じゃないな、今のは』というところを見せた時はやっぱり『オっ』と思いますね。『アイツ、サッカー知ってんな』と。特にそれを平気でやるヤツですね。ウチの秋山大地とか、最初アイツ、ボランチで入ってきたんですけど、オッと思いました。17、18で入ってきたのに『マジか』という感じでしたね。『サッカー知ってんな』と思いました」

―セレッソの育成組織含めてユースサッカーのレベルが上がっている
「もちろん、それはありますね。今だったら(南野)拓実だったり。アイツの技術の高さなんてボクが言うまでもないですけど」

―きょう(取材日:6月13日)もU-18日本代表候補合宿の練習試合で4点取ったと
「そんなニュース聞きたくないですけどね(苦笑)。ポジション獲られるんやないかと、焦ってしまう。でも(下の世代の突き上げは)それで自分たちのチームのレベルも上がるし、いいこと」

―高校時代も常に期待されてきたと思うが、やってやろうという気持ちはあった?
「いえ、やってやろうという気持ちではなくて、ただただサッカーをやるのにはこういうのが面白いんかなと考えてやっていただけなので、期待されているから『こうしたろ』とか誰かが見てくれているから『ああしたろ』、というのは今でもそうですけど、考えてはないです」

―当時どういう思考でサッカーを
「ただサッカーが好きなだけでしたよ。今でもそうですけどね」

―練習場にも一番初めにきていた
「暇だったからと思いますよ。ハマってたゲームがあったら、もっと遅く来ていたかもしれないけれど、それもなく来たので」

―上手くなりたいよりも好きだったから
「こういう練習したらいいとかボクは分からない。実際に早く来て練習はしていないです。好きで蹴っていただけ。FK蹴ったりとか。今となったら無意味ですけど(苦笑)。『今、ワールドカップ決勝やな、これ決めたら……』と。絶対入るんですけどね。GKもいないし、壁もないし。それをイメージしてやっていた」

―中高生にとってはどのような練習をしていたのか興味があると思う
「(当時)どんな練習していたかと言われると思い出せないんですよ。真面目に練習していなかったんで(微笑)。練習で『これしろ』と言われたヤツをやるのではなくて、『コーチ困らせたろ』という感じでやっていた。コーチは『この練習をしろ』と言っているけれど、『これはしたらアカン』とは言っていない。『これ別にしたらアカンとは言ってないやん』みたいな。コーチに『ま、確かに言ってないけど』と言われるのが気持ち良かった。(中高生に)それをしろとは言わないですよ。もちろん、監督が言っていることをやった方がいいと思います」

―頭の中での幅が広がる
「常に相手が嫌がることを考えるのはいいことやと思いますけどね。サッカーだけじゃなくても、ドッジボールとかでも。ボク、めっちゃ好きなんすよ、身体を動かすことすべて。野球のように攻守に時間がかかるスポーツは、身体を常に動かすことが好きな自分にとっては、あんまり向いてないかなとは思いますが」

―普段から頭の中でそういうことを考えている
「サッカーと似た感じでやっていますね。基本的にそういうことが好きなんで。相手の裏を突くこととか、こう思っているだろうからこうしたろとか。いつも考えていますね」

―07年U-17ワールドカップの時の50mシュート(フランス戦、1-2)とか
「あれは10分前くらいから決めていたことですけどね。いつかやろうと思っていた。タイミングをうかがっていた感じですね。実際、GKが出ていたのは分かっていた」

―どれくらい沸くやろうと
「入った瞬間、『オレ、日本帰られへんな』と思いました。これで日本帰ったらメディアとサポーターでいっぱいやろなと。でも、負けて帰ったら誰もおらへんかった(笑)」

―ワールドカップで世界を経験したことは現在につながっていることがありますか
「ボクが思ったのは、あの年代で日本は全然勝てるなと思いましたね。経験の無さや甘さは出ましたけれど、技術だったり、90分間通しての力は勝っていた。あれ、フランスとの試合をもう一回やったら、絶対に負けへんと思う。ナイジェリアは無理っす。もう2度とやりたくない。バリ強かったですからね。あの試合、途中から出たんですけど、ホンマに『この試合は無理なんや』と思いましたもん。今は全然変わりましたけれど。ボク、(杉本)健勇や宇佐美(貴史)とか出ていた大会(09年U-17W杯)見ましたけれど、全然違いましたけどね。(日本は)むっちゃ強かったですよ」

―19でアジア予選も経験した
「チームで調子も良くなかったし、それを代表へ持ち込んでいた自分もおったし、怪我したし。全部悪い方向へ転がっていたというのはありましたね」

―それから代表は縁が遠くなっている
「自分の中でももう自分は代表選手じゃないなと思っていました。もちろん、サッカー中は誰にも負けていないと今でも常に思っていますし、それがなくなった時点でボクはサッカーを辞めると思いますけど、プレーの質というか『今はもうオレ、代表選手やないわ』と素直に思ったし、だからもう一度頑張らなと思ってやりました」

―それが今は意識できるところまで戻ってきている
「いや、まだまだやと思いますよ。意識はしていないです。代表に関しては。意識させられているだけで」

―期待はビンビンに感じていると思いますけど。心地悪い?
「それは感じますけど。心地悪くはないですけど、何にもないですね」

―ワールドカップというのは4年に一度。何度もあるチャンスじゃないけれど
「それはもちろん、思っていますけれど。それはボクが言葉にしてどうにかなるものじゃないので。ただボクらは試合するだけ。選ばれたら選ばれたで嬉しいし、選ばれんかったら、選ばれんかったでサッカーをやるだけです」

―いつかは辿りつきたい
「代表に入るためにサッカーをやっている訳ではないし、自分が楽しいからサッカーをやっている。入ったからすべてじゃない」

―入ったらまた新たな喜びがあるはず
「それはありますよ。日本を代表する選手になれたっていう。でも、それだけじゃないですか。そこからがまた大変やないですか。結局、ずっとサッカーをやる上でいろいろな階段があるかもしれない。そういう道のりがあるだけでサッカーやっていて、別に何にも変わりはないかなと思う。だから代表に入ろうが、入るまいが、『入るんちゃう』と言われようが、今が楽しければいいかなと思います」

―ブラジル行って観客を総立ちにさせて、歓声を一心に浴びているというイメージは
「ないです。オレもそこへ行って立って応援しているかもしれないし、それはどうなるか分からない。実際、セレッソの3人(香川真司、乾貴士、清武弘嗣)ともピッチに立っているかもしれないし、そうでないかもしれないし、全員が行くかもしれない。行くにはセレッソでどんだけできるかっていうのがある。ただセレッソでどんだけできるかっていうのを今、ボクはやりたい」

―もしも周りに期待してもらうならば、そこに期待してほしい
「『どんだけセレッソで頑張ってんねん、コイツは!』というところに期待してほしいですね。楽しみにしてもらうのは嬉しいですよ。サポーターの人に『代表、入れるんちゃうん』とか『もうちょっとで代表やな』と言われて、『いえ、そんなことないですよ』『そのもうちょっとが』と返したりしている」

―サポーターにとっては柿谷選手が代表に入ることがまた楽しみかもしれないですね
「それはそういう期待に応えるしかない」

―ゲキサカの読者へ向けて、今年見てほしいところをぜひ
「今年、セレッソは全部のタイトルを狙いますけど、必ず何かひとつタイトル獲るので、それを全力で獲りに行く姿を見てほしいですし、その獲れたときの顔はみんな今まで見たことのないような顔をすると思うんで、特に昔から関わってきた選手たちは。その顔を見てほしいですね」

―その瞬間の柿谷選手の表情も楽しみ
「ボクは顔を隠してどこかへ逃げます。やっぱり一番最初に森島さんにトロフィーを上げてほしいんで、誰にも触らせずに。その時だけ(藤本)康太のキャプテンマーク取って自分が巻いて、警備の人に手袋つけて持ってもらって『こっち、こっち』と言って(森島さんのところまで)運びます」

―一番見たいのは森島さんの笑顔
「そうです!」

(取材・文 吉田太郎)


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