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「自分たちを取り戻す」ためにあえてベストメンバーで臨んだ柏ネルシーニョ監督

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[9.28 J1第27節 柏1-1新潟 柏]

「今日のレイソルは、自分たちを取り戻す目的で試合に入った」。会見での柏レイソルのネルシーニョ監督の言葉だ。25日のACL準決勝第1戦・広州恒大戦で“まさかの”4失点で敗れたチームを、この新潟戦で立て直すことが目的だったようだが、いざ試合に入ると、またもや“まさかの”事態に襲われた。開始わずか14分でDF増嶋竜也が負傷してピッチを後にすると、前半終了間際にはエースのFW工藤壮人も新潟DFのタックルを受け、うずくまったまま前半終了の笛を聞いた。工藤がピッチを去った後半、代わりに入ったFWクレオの活躍もあり、動きが悪かった前半とは打って変わり息を吹き返すが、今度は主将のMF大谷秀和がタンカで運ばれ、交代を余儀なくされた。

 リーグ、ACL、ナビスコ杯、天皇杯。すべての大会を戦う柏は、9月だけで7試合を戦っている。過密日程が前述3選手が負傷した直接の原因になっているわけではないが、ACLとナビスコ杯のない新潟より3試合も多く戦う柏と新潟では、前半はコンディションの良し悪しの差がハッキリと出ていた。しかし、後半に入ると柏が息を吹き返し、「後半全員で走って、必死になった」とMF栗澤僚一が振り返ったように、運動量でも新潟を圧倒。新潟の柳下正明監督も「後半の(新潟の)出来からしたら、勝ち点1でOK」と舌を巻いた。

 ACLとの間で戦った前節のC大阪戦(1-1)では主力選手を温存したネルシーニョ監督。戦前にはスタメンの入れ替えも予想されたが、この日はベストメンバーで臨んだ。ここにもネルシーニョ監督の狙いがあった。「ああいったゲーム(広州恒大戦)の後なので、試合に出た選手を支えてあげたいという気持ちがあった。Jリーグを下に見ているわけではなく、Jリーグでも勝ち点を必要としている局面なので、あえて彼らを信じて同じメンバーで臨んだ」。ACLの後はなかなか良い試合をできていない柏だが、ネルシーニョ監督の思惑どおりに気迫のこもったプレーを見せた。水曜日に行われる広州恒大戦に向けて弾みをつけることができたはずだ。

 チームは明日朝に中国に移動し、広州恒大とのリベンジマッチに臨むが、「工藤はいまのところ問題ないと思っているが、大谷は明日検査のレポートを聞いてみないとわからない」とネルシーニョ監督はチーム状況を明かした。“手負いの虎”が、中国王者相手に大逆転を演じることができるのかーー。運命のACL準決勝第2戦は、10月2日21時(日本時間)キックオフだ。

(取材・文 奥山典幸)

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