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[国体少年男子]エース神谷が延長Vヘッド!東京都が39年ぶりの開催地Vへ王手!!

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[10.2 国体少年男子準決勝 京都府1-2東京都 味フィ西]

 第68回国民体育大会「スポーツ祭東京2013」サッカー競技少年男子は2日、準決勝を行い、開催地の東京都と京都府との一戦は延長前半9分にFW神谷優太(東京Vユース)が決めた決勝点によって東京が2-1で勝った。東京は10年以来の優勝をかけて3日の決勝で大阪府と対戦する。

 台風22号の影響によって激しい風雨の中で行われた首都・東京対古都・京都。思うようにボールが動かない中、両チームにとって「我慢の試合」となった。その中でショートカウンターを武器とする東京は右FW相馬勇紀(三菱養和SCユース)のスピードや神谷の突破力で相手を苦しめ、京都は強風に乗って勢いを増したMF山本蓮(久御山高)のロングシュートがGK頭上を襲うなど、ピッチコンディションも活かした攻撃で対抗する。

 先制したのは東京だった。前半22分、右オープンスペースへ出されたボールに抜群のスピードで追いついた相馬がクロスボール。これを中央のMF田代蓮太(東京Vユース)が右足ダイレクトで叩くと、クロスバーを弾いたボールがゴールライン内側で跳ね上がり、歓喜の先制点となった。「普段はあんまり得点取るタイプではないですけど、ゴールに近づいてプレー出来ている」という田代の今大会3点目のゴールでリードを奪った東京は、CB柳貴博とCB渡辺拓也(ともにF東京U-18)らDF陣が1対1で相手に仕事をさせない。また、技術レベルの高いMF安部柊斗(F東京U-18)と小松駿太(横浜FMユース)のダブルボランチから効果的なパスが出たほか、右サイドで存在感を放つ相馬がドリブル、パスでチャンスメークするなど主導権を握って試合を進める。そして後半開始直後にはFW郡大夢(東京Vユース)が立て続けに決定機を迎えた。

 ただ前回王者・兵庫県との準々決勝で終了間際に同点ゴールを決めてPK戦の末に粘り勝つなど、勝負強い戦いぶりで勝ち上がってきた京都は動じない。後半8分にMF守屋圭幾とFW松下英右(ともに京都U-18)を同時投入すると、松下が馬力のある突破で相手の守備網を切り裂くなど得点の匂いを漂わせる。東京は13分に右中間でDFを外した神谷の左足コントロールショットがゴールを捉えるが、京都GK若原大志(京都U-18)がビッグセーブ。すると直後の15分だ。右中間で山本からのパスを受けた松下がDFの寄せよりも一瞬早く右足を振りぬく。やや距離もある難しいシュートだったが、これがゴール右隅を射抜くファインショットとなり、京都が同点に追いついた。

 追いつかれた東京はここから怒涛の攻撃を展開する。特にエース・神谷が27、31、34分とシュートを連発するものの、京都は若原がゴールを死守。CB太田京輔(京都U-18)を中心としたDF陣も最後のところで身体を相手にぶつけるなど粘り強い対応で東京に勝ち越しゴールを許さない。ただ奥原崇監督(F東京U-15深川)が「京都さんが凄くまとまりのある良いチームだったのでこういう展開は選手たちにも伝えていました。我慢、我慢の試合でしたね。どっちが先にチャンスだったり自分たちが崩れていくかという試合だった。よく我慢してくれましたね」が評した東京はこの「我慢の試合」で白星を引き寄せる。

 難しいピッチコンディションの中で京都も上手く相手の背後へボールを運ぼうとしていた。だが左SB相原克哉(F東京U-18)が素晴らしい対応でピンチの芽を摘むなど好守に支えられた東京は延長前半9分にエースがついに仕事をする。交代出場のMF大熊健太(F東京U-18)の右クロスに頭から飛び込むと、渾身の一撃は名手・若原の指先を抜けてゴール右隅へ吸い込まれた。

 これが決勝点となり、東京が決勝進出。主将の田代は「チームメートも信頼してひとつになっていたので最後まで戦えたと思います」と仲間たちに感謝した。決勝の舞台は東京の選手たちにとって憧れの舞台、味の素スタジアム。奥原監督は「ヴェルディとFC東京の子もいますので、そこのホームスタジアムでできるという喜びも凄くありますし、優勝することもそうですけど、味スタのピッチに立ちたいという選手の思いもあったので、最後、選手の持っている最大のパフォーマンスを出して勝たせたいと思います」。田代は「(味の素スタジアムは)小さい頃からJリーグとかの試合を見て立ちたいと思っていた舞台。試合できることが光栄ですね。しっかりといい準備して勝ちたいと思います!」。開催地の代表チームが優勝すれば、74年の茨城県以来39年ぶりとなる快挙。東京が憧れの舞台で歓喜に舞う。

[写真]延長前半9分、東京都FW神谷が決勝点となるヘディングシュート

(取材・文 吉田太郎)
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