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[関東1部]東京国際大は土壇場で1部初白星逃す、筑波大の1年生FWが劇的同点弾

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[4.16 関東大学リーグ1部第3節 筑波大 1-1 東京国際大 たつのこフィールド]

 JR東日本カップ2014第88回関東大学サッカーリーグ戦1部は16日、第3節を行い、ともに今季未勝利の筑波大と東京国際大との一戦は、後半43分にFW福島遼(4年=神村学園高)のヘディングシュートで東国大が先制したが、アディショナルタイム突入後の48分に筑波大FW中野誠也(1年=磐田U-18)が同点ゴールを決めて1-1で引き分けた。

 昇格1年目の東国大が目前で1部初勝利を逃した。東国大は0-0で迎えた後半43分、MF上船利徳(4年=神村学園高)の左CKをニアサイドへ飛び込んだ福島が頭で合わせる。エースFWの渾身の一撃は右ポストを叩いてゴールラインを超えた。ここまでの2試合、いずれも無得点だった東国大の記念すべき1部初ゴール。このゴールによって1部初白星を掴みかけた。

 東国大は部員400人超の大所帯。元日本代表主将の前田秀樹監督の指導の下、急激に力をつけている新鋭はDF阿部正紀(岐阜)やGK富居大樹(群馬)とプロ選手を輩出していることもあり、多数の高校生が門を叩いてきている。チームとしても昨年初参戦した2部でいきなり優勝して1部へ乗り込んできているが、今季は開幕2連敗で試合終了間際に先制したこの日も1部の戦いが甘くないことを痛感させられる試合となった。

 12日に来季の川崎フロンターレ加入内定が発表されたCB車屋紳太郎(4年=大津高)擁する筑波大は後半途中から完全に司令塔と化して攻撃をコントロールしていたCB車屋を軸に反撃すると、土壇場で同点に追いついた。48分、10番FW中野嘉大(4年=佐賀東高)の右CKをCB西村洋平(3年=兵庫高)がニアサイドで頭で合わせると、中央の中野誠が右足で劇的な同点ゴール。「途中出場だったので結果が欲しかった。率直に嬉しいです」と振り返った1年生FWのリーグ戦初ゴールでリーグ優勝14回の名門が東国大の1部初勝利を阻止した。東国大の前田監督は1部での勝利が簡単ではないことを認め「一生懸命やるだけじゃ勝てない。(1部での)ゲーム慣れをしないと。『ここが危ない』というところの集中力、機転が足りないです。まだメンタル、ファイティングスピリットの強さもない。これから(1部で戦う強さ、歴史を)構築していかなければいけない」と語った。

 名門と新鋭との一戦。筑波大はU-19日本代表FW北川柊斗(1年=名古屋U18)を最前線に配置する3トップの形を取った。昨年までに比べると守備のリスクを減らしながらではあるが、中野嘉、MF片岡爽主将(4年=神戸U-18)を軸にボールを保持し、ショートパスをつないで攻めるスタイルは変わらない。そして再三左サイドで攻撃に絡むSB早川史哉(3年=新潟ユース)の活動量や右FW高柳昂平(2年=名東高)の突破力、中野嘉のDFの逆を取る動きが攻撃にアクセントを加える。加えて再三中盤を追い越して攻め上がってくる車屋がそのキープ力と正確なパスでチャンスメークした。ただ車屋が「(磐田入りした上村)岬クンや(鹿島へ加入した赤崎)秀平クンのように1人で打開できる選手がいない。最後敵のエリアに入り込んだ時にパスがズレてカウンターされたり悪いサイクルが続いている。最後ゴールを取ればいい。どんな形でも。でも難しくやり過ぎている。みんなマジメにやりすぎているというか、もう少し試合巧者の部分ももたないといけない」と分析したように、ゴール前での精度を欠き、また鮮やかな崩しを見せる一方で手数をかけすぎているようなシーンもあった筑波大は前半、20分に左サイドでのパス交換から早川が右足で放ったシュートの1本に終わってしまう。

 一方、東国大は1対1で抜群の強さを発揮する車屋中心に守る筑波大に良さを消されてはいたものの、福島とFW加藤龍治(4年=成立学園高)のパワフルな2トップはやはり脅威。4分に福島がDFを背負いながら力強いキープで起点となると、MF小玉敏之(4年=横河武蔵野FCユース)のスルーパスで決定機が生まれる。また6分に加藤の打点の高いヘディングシュートがゴールを襲い、22分には上船の右FKに加藤が決定的な形で飛び込んだ。筑波大にボールを保持される時間は試合が進むにつれて長くなっていったが、守備意識の高い4バックが相手のスペースを消し、MF若井祥吾主将(4年=浦和ユース)がタイミングのいいインターセプトでボールを奪取。切り替え速くボールを前に進める小玉や福島のドリブルを起点にチャンスをつくっていた。

 後半押し込む時間帯が増えた筑波大は9分にMF吉田直矢(3年=川崎F U-18)とのパス交換から中野が右足を振りぬき、16分には車屋のギャップを通す好パスから片岡が右足シュートを打ち込む。また23分には北川が鋭いターンから左足シュート。ただシュートが枠外やGK正面を突くなどゴール前で精度を欠いた筑波大、また前田監督が「点を取るためには頑張りだけじゃなく、冷静さ、そして勇気も必要」と語った東京国際大、ともに今季2試合無得点と拙攻が続く両チームはチャンスを活かすことができない。終盤に点を取り合ったことで試合展開は盛り上がったが、ともに今季初勝利は次節以降へお預けとなった。

(取材・文 吉田太郎)
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