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[総理大臣杯]相手の力逆手にとって富士大に快勝!高知大が2回戦進出!

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[8.8 総理大臣杯全日本大学トーナメント1回戦 富士大 0-4 高知大 J-GREEN堺]

 第38回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメントが8月8日に開幕した。全国各地域予選を勝ち抜いてきた20チームによって夏の大学日本一を争う大会の初日は1回戦4試合が行なわれ、J-GREEN堺メインフィールドでは富士大(東北)と高知大(四国)が対戦した。

 大会初戦とあって両者とも慎重な立ち上がりを見せる中、先制点は14分に生まれた。右サイドを高知大のFW有間潤(4年=宇和島東高)が突破してクロスを上げると、中央でMF野中祐輝(4年=長崎南山高)がヘッドで合わせてスコアを動かす。高知大は29分にも追加点。今度は左サイドでボールを受けたMF曽根友祐(3年=清風高)がPAへドリブルで侵入してゴール前へパスを送るが、その先で有間とDFが競り合ったことで、ボールは再び曽根の下へ。今度は自ら仕掛けて、DFのマークを外して放ったシュートがポストを叩いてゴールネットに吸い込まれた。

 富士大はFW城澤優斗(4年=専大北上高)やFW川島寛惟(2年=盛岡市立高)のスピードを活かした攻撃で反撃したが、後半になっても高知大のゴールが続く。4分にMF原田亮(4年=センアーノ神戸ユース)の素早いリスタートから有間が抜け出して3-0とすると、35分にもゴール正面で得た直接FKを原田が右足の見事なシュートでダメ押し点を決めた。

 4-0と点差が開いた試合となったが、前半は富士大がビルドアップからパスをつないでいこうという自分たちのスタイルを打ち出した一方、高知大は「相手のコンパクトさに戸惑った」と野地照樹監督は振り返る。DF西岡大志(3年=初芝橋本高)は「相手FWに食いついて、その次の対応ができなかった。前半のうちにピッチの中で修正しきれなかった」と反省の表情を浮かべている。

 8月に入って高知は台風の影響などで雨が降り続けており、グラウンドで練習できたのは1日だけ。それ以外の日は体育館で練習を続けていたが「その体育館も避難場所に指定されていて、練習中に“今から住民が避難してくるから”と言われて中止しないといけない日もあった」とキャプテンの原田は地元での調整不足を明かしている。相手の情報も無い中で、前半は上手くいかない部分もあったが「いい時間帯に点が取れた」(野地監督)ことで試合を優位に進め、追加点を積み重ねて行った。

 野地監督が選手に話す言葉の一つに「depends on Opponent」というものがある。「相手次第」という意味なのだが、指揮官は「自分たちのサッカーだけに捕われてはいけない。相手の状況も見て、判断していくのがサッカーだ」と訴えかける。この試合でも富士大はコンパクトな陣形からパスをつないできたが、それを逆手にとってボールを奪えばスペースのある背後やサイドにシンプルにボールを送り込み、アタッカーの能力を生かす攻撃でチャンスを生み出した。「ポゼッションしながらボール保持者にサポートを付けていくスタイルを目指しているけど、今日は速い攻撃が生きた」と原田も試合を振り返る。四国の対戦相手では主導権を握れても、全国に舞台を移せば、それだけでは戦い抜けない。そういう意味では、この勝ち方は今後につながるものだ。

 2回戦の相手は関西学院大。関西リーグで15得点とゴールを量産中のFW呉屋大翔は出場停止だが、「格上の相手。回されるのはわかっている。その中で、どれだけ耐えられるか…ですね」(西岡)と警戒を強めている。高知大の守備陣はGK亀岡秀平(桜宮高)が2年生、DFラインもCBの西岡や右SBの帷智行(市立西宮高)をはじめ4人全員が3年生だ。天皇杯1回戦で福岡大と対戦した時は委縮してしまったが、その二の舞は踏まない――西岡の言葉からは、そんな覚悟が見え隠れする。この日は相手をシュート4本に抑えており、プレスがハマらない中でも要所はしっかり抑えていた。守備で耐えて、少ないチャンスを前線の選手がものにする――高知大は2回戦でも強敵相手に、その再現を狙う。

(取材・文 雨堤俊祐)
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