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[関東1部]後半白熱も互いに譲らず、勝ち点並ぶ国士舘大vs慶應義塾大はドロー決着

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[10.8 関東大学リーグ1部第16節 慶應義塾大 1-1 国士舘大 慶應義塾大学下田G]

 JR東日本カップ2014第88回関東大学サッカーリーグ戦1部は8日、悪天候によるグラウンド不良によって5日から延期された第16節・慶應義塾大国士舘大戦を行い、1-1で引き分けた。

 勝ち点25で並ぶ5位・国士大と6位・慶大。5チームが獲得する全日本大学選手権出場権、そして首位・順天堂大と勝ち点差8とタイトル奪取も諦めていない両チームの戦いはドロー決着となった。

 前半は主導権争いに終始。序盤はボールを握った慶大がやや押し込むが、国士大も注目の左MF進藤誠司(4年=流通経済大柏高)や155cmの1年生FW山口和樹(日本航空高)、FW平松宗(4年=新潟ユース)を軸としたスピードのある攻撃で攻め返す。国士大は5分に進藤からのラストパスのこぼれ球に平松が反応。8分にはMF海野智之(4年=藤枝東高)の左FKを平松が頭で合わせる。そして11分には中央での混戦から進藤の放った右足シュートがゴールを襲った。また32分にはDFと入れ替わった平松がゴール方向へ突進。これは慶大CB望月大知(2年=静岡学園高)の好カバーリングによって阻まれ、36分にセットプレーからつくった決定機もGK峯達也(4年=桐光学園高)の好守にあったものの、国士大は相手に冷や汗をかかせるようなシーンをつくった。

 対する慶大は堅守速攻のスタイルの中でFW端山豪(3年=東京Vユース)やMF山浦新(4年=東京Vユース)がボールを落ち着かせて攻撃に緩急をつけていく。9分に左サイドでボールをおさめた端山がDFを振り切ってボールを運び、柔らかいラストパスを供給。25分には会場もどよめいたMF浅間翔大(4年=暁星高)の絶妙なコントロールパスから左サイドを突いたMF加瀬澤力(2年=清水東高)が中央へ折り返す。そして前半終了間際にはカウンターから中央で大きく前進した山浦が左サイドの端山へ預ける。そして右中間でボールを受けた加瀬澤が中央へ持ち込んでから左足シュートを放った。

 前半はビッグチャンスはなく、ともに失点しない戦いを貫いたように映った。ただ後半は時間が経過するにつれて攻め合いとなり白熱。勝ち点3獲得を目指す両チームの“意地の張り合い”が最後まで見られた。慶大は10分、右サイドでインターセプトすると、ドリブルで中央へ運んだ端山が左足でフィニッシュ。国士大も11分に右サイドから強引に切れ込んだ平松がシュートにまで持ち込む。

 そして14分、慶大が先制の絶好機を迎える。左サイドから山浦が中央の端山へつなぐと、端山のループパスにこの日右SB起用されていた注目MF増田湧介主将(4年=清水東高)が長い距離を走り切って飛び込む。国士大はPAへ侵入した増田を後方からのファウルで止めてしまいPK献上。ただし、直訴して蹴った増田の右足PKは、後半戦初先発の国士大GK小澤章人(4年=西武台高)が「ここで失点したら相手の雰囲気に飲み込まれちゃうと思った。このPKは最後までキッカーの足を見て、しっかり読みが当たったので、あそこで止められて良かったです」と右へ跳んでストップする。沸き上がる国士大の選手と控え部員たち。国士大は直後にカウンターからMF佐々木陸(4年=東福岡高)と進藤の2人でフィニッシュまで持ち込むなど流れを一気に引き寄せようとした。

 ただ慶大は25分にファインゴールで先制する。右中間から逆サイドへの展開しようとした山浦が、右サイドからダイアゴナルにPAへ走りこんだ加瀬澤へのパスへ選択肢を変更。絶妙なループパスを送ると「GKが前に出ているというのも分かっていたし、ループシュートは結構練習していた。(夏に)早慶戦があったんですけど、その時に自分はGKとの1対1でループシュートを外しちゃったんで、そこからずっと練習してきたし、自分としてもループシュートはイメージにあるというか常に選択肢にある」という加瀬澤が左足ループシュートで鮮やかにゴールを破った。

 その後もセットプレーなどからチャンスをつくった慶大だが、2点目が遠い。逆に国士大は32分、右CKのニアサイドにCB附木雄也(2年=八千代高)が飛び込むと、中央へ流れたボールをこの日PK献上していた進藤が頭で押し込んで同点に追いついた。ともに勝ち点1では満足できない両チーム。終盤は互いに果敢に前に出て、オープンな攻め合いとなった。国士大は36分に交代出場のCB今瀬淳也主将(4年=市立船橋高)が思い切ったインターセプトからアーリークロス。41分には進藤の左足シュートがゴールを襲う。

 対する慶大は44分、カウンターから交代出場の右MF手塚朋克(1年=静岡学園高)が上げたクロスをFW宮地元貴(4年=東京Vユース)が決定的な形で合わせたが、シュートは左ポストの左外へ外れた。この後、ややミスが増えた慶大を国士大は好守からのカウンターで仕留めようとしたが、49分に右クロスから進藤が放ったヘディングシュートはゴール右外へ外れて試合終了。両チームの選手はともにピッチに倒れ込んで、勝ち切れなかった悔しさを表現していた。

 昨年、9月以降の公式戦で11勝4分2敗という快進撃を見せて全日本大学選手権で準優勝した国士大の進藤は「きょうみたいな流れで去年は決められていた。(成績が伸びきれていない理由は)そこの違いかなと思いますけれど、ここ2試合、中大戦ときょうの後半はだいぶみんなのイメージが良くなってきて、難しいことをやらないで簡単なことをみんなでやろうということができていた」と納得。そして「残り6節、これから上位対決が入ってくるので、そこで自分たちの持ち味出せば全然優勝狙える勝ち点だと思う。全勝して優勝することを目標に自分たちの持ち味を出していきたい」と誓った。一方、昨年の残留圏内ギリギリの10位から、今年上位争いを繰り広げている慶大の山浦は「ボクたちだけでなく残り6試合はどこのチームのインカレ目指すことであったり、優勝目指すことであったり、残留争いだったり、どこのチームも絶対に負けられない戦いが続いて、きょうみたいに厳しいゲームが続くと思う。ここからは気持ちの勝負になる。ちょっとでも気が緩んだりしたら負けてしまうと思うので、普段の生活から気を抜くことなく、最後までやっていきたい」と目標達成へ向けて意気込んだ。

(取材・文 吉田太郎)

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