beacon

南野に始まり南野に終わる…「僕がPKを決めていれば」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[10.17 AFC U-19選手権準々決勝 U-19日本代表 1-1(PK4-5)U-19北朝鮮代表 ミャンマー]

 南野に始まり、南野に終わった。彼がPKを決めたことで同点に追いつき、最後に外したことで敗戦が決まった。この北朝鮮戦だけでなく、大会を通しても、この世代の活動を総括しても、FW南野拓実(C大阪)の存在感は絶大だった。

 今大会を迎えるまでの準備期間、他の選手から「拓実くんが入れば……」という仮定の話が出てくるほど、絶対的な存在だった。指揮官からもチームメイトからも得点を期待され、自身もそれを当然のこととして受け入れた。この試合でもゴールが南野に求められていたことだった。

 だが、この4試合を通して最も周囲と噛み合わなかったのがこの試合だった。相手から激しいマークを受けていたこともあるが、鋭いドリブルも、遠目から強引に放つシュートも、気の強さと思い切りの感じられるストライカーらしさも、見られなかった。

「もっとテンポ良く、ワンタッチとか入れながら、リズムをつくっていけたらスペースももっと早く使えたと思う。そうすれば、リズムの良い自分たちの良いときのサッカーが、今日の相手でもできたと思う」

 それでも、良い時間帯はあった。前半26分にはFWオナイウ阿道へ決定的なラストパスを供給し、同30分にはMF関根貴大から南野へスルーパスが通った。しかし、どちらもゴールにはならず。この前後の時間を除くと、攻め切れなかったという印象を強く残した。

 延長戦を終えて1-1。PK戦では5番手のキッカーを任された。鈴木政一監督はキッカーの重要度は「1、5、3、2、4の順番」と明かした。最も重要な1番手はPKを得意とするMF望月嶺臣に、2番目に重要な5番手には「シュートテクニックがあり、ゲームキャプテンでもある」南野が任された。しかし、南野のこの試合2度目のPKはGKのセーブに弾かれ、その瞬間、敗退が決まった。

「勝つチャンスも力も、僕たちにあったと思う。申し訳ない気持ちもあります」。ぽつりぽつりとつぶやくように話した。

 今大会を通して、エースとしてチームを引っ張ったことは間違いない。だが、だからこそ最後のPKを失敗したことが何より悔やまれる。「僕がPKを決めていれば勝てたと思います」。試合後の取材中、幾度もそう口にした。

 ただ、ここで歩みを止めるわけにはいかない。次なる目標はA代表だとも公言する。

「この代表で世界に行きたかったし、この代表に対する特別な思いも自分としてはあったので、悔しいです。でも次のステップがあると思うので、そこへ向かって行きたい。この悔しさを忘れずに頑張っていきたい」

 言葉に詰まりながらも決意を明かし、スタジアムをあとにした。

(取材・文 了戒美子)

▼関連リンク
AFC U-19選手権ミャンマー2014特集ページ

TOP