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[早スポ]遠い1点。痛恨の敗戦で優勝争いから一歩後退

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 熾烈(しれつ)を極める後期の関東大学リーグ戦(リーグ戦)。そろって勝利を収めた上位陣に食らい付きたい早稲田大(ワセダ)は今季の総理大臣杯覇者・流通経大との一戦を迎えた。前半、CKの流れから失点を許すとチャンスをつくり出せずビハインドで折り返す。後半はブロックを形成し守備を固める相手に対してボールを保持する展開に。しかし攻撃の糸口を見出せず攻めあぐねると選手交代でも流れを変えられず万事休す。0-1に終わり、首位が遠のくまさかの敗戦となった。

 「優勝するのは簡単ではない」(MF近藤洋史主将、4年=名古屋U18)。悲願に向けて一つの試合も落とせないエンジイレブンの行く手には試練が待ち受けていた。戦前の予想通りに前半立ち上がりから攻勢を強める流通経大。ワセダは体を張った守備で対峙するも徐々に押し込まれ自陣でのプレー時間が長くなる。迎えた32分、相手CKの流れの中から豪快な一撃を決められついに失点。反撃に転じたいワセダは終盤にきてようやく得意のサイド攻撃が機能するもシュートに持ち込むことができない。45分、右サイドの裏に抜け出したFW宮本拓弥(3年=流通経済大柏高)がドリブルでカットインし左足で狙うもボールは枠外へ。大きなチャンスをつくれないまま前半は終了、1点ビハインドでハーフタイムを迎えることなった。

 後半は守備を固める相手にどのように攻撃を仕掛けていくかという展開に。52分、中盤でボールを奪い返すと近藤洋がミドルシュート。惜しくも枠外となるが、チームを引っ張る主将の一振りに得点、そして勝利への強い意志が込もる。しかし後が続かない。71分、宮本のクロスに後期好調を維持するFW山内寛史(2年=国学院久我山高)がヘッドで合わせるがここでもネットは揺れず。この日最大のチャンスを逃すとファイナルサードでのアイディアに欠け攻めあぐねる場面が増えていく。FW上形洋介(4年=早稲田実高)を投入し選手交代に活路を見出したいワセダ。だが流れを変えることができない。刻々と進む時計。終盤に流通経大が退場者を出し数的有利に立つも最後まで決定機をつくれない。そしてそのまま無情なホイッスルがピッチに鳴り響く。佳境を迎え取りこぼしが許されない優勝争いの中、首位が遠のく痛すぎる敗戦となってしまった。

 先制を許すと跳ね返せないまま勝ち点を落とす試合が多い今季のリーグ戦。この日も同じ展開を迎えたが勝利に結びつけることができなかった。目標の戴冠に向けてもう後がない。すべて上位との直接対決となる残り4試合は結果のみが求められる。「下を向かないでやっていこう」。そう話す山内の目には静かな闘志が燃えていた。次節は早大・東伏見Gで首位・順天堂大との大一番に臨む。失うものは何もない。歓喜の瞬間を迎えるために――。エンジイレブンの強く熱い気持ちを見せてほしい。

[写真]持ち前の技術でボールキープに強さを発揮した近藤洋主将

(記事 桝田大暉、写真 芦川葉子、橘高安津子)

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