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[選手権予選]「開始10分で試合を決める!」課題改善した水戸桜ノ牧が序盤の連続ゴールで快勝:茨城

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[10.29 全国高校選手権茨城県予選3回戦 水戸桜ノ牧高 4-0 藤代紫水高 ツインフィールド]

 29日、第93回全国高校サッカー選手権茨城県予選3回戦が行われ、今夏の全国高校総体予選4強のAシード・水戸桜ノ牧高は藤代紫水高に4-0で勝利。水戸桜ノ牧は11月2日の準々決勝で水戸商高と対戦する。

「監督からも言われていたんですけど、開始10分で試合を決める勢いでやっていかないといけない。自分たちは立ち上がりが悪いことも自覚していたんで、(それができなければ)試合にならないと思っていた。その立ち上がりは一人ひとり大事にして行こうと言っていた」。水戸桜ノ牧は主将の右SB飯村惣駿(3年)がそう振り返ったように、立ち上がりの10分間で試合を決めに行った。そして前半3分、MF長洲誠哉(3年)の右CKをファーサイドのCB高橋龍平(2年)が右足で押し込んで先制点を奪うと、5分にも敵陣でのインターセプトからMF鈴木智也(3年)が2点目のゴールを奪う。

 止まらない水戸桜ノ牧は9分にも鈴木智の右クロスを中央へ飛び込んだFW池田諒介(3年)が頭でゴールへ突き刺した。あっという間の3連続ゴール。これは鹿島学園高にPK戦の末に敗れた全国総体予選準決勝の反省が活かされた「電光石火」の猛攻だった。この鹿島学園戦で水戸桜ノ牧は前半10分に先制点を失い、30分にも追加点を献上。後半の2得点によって追いついたが、勝ち越すことができずにPK戦で涙をのんだ。飯村は「(鹿島学園戦は)2点取られてからのスタートだったので、自分たちが先制して、最初から開始10分で決めるくらいのチーム作りをしていかないといけないと感じました」。その成果がこの日は見事に発揮された。

 藤代紫水も連続失点で崩れてしまうのではなく、自分たちで落ち着きを取り戻す。そしてスペースへ飛び出すFW穐谷京介主将(2年)やMF石村直弥(3年)が奮闘し、後半は左SB溝井翔太(2年)が思い切って攻撃参加するシーンも見られた。そして自陣ゴール前ではCB熊坂勇人(3年)や1年生GK鈴木功之輔らが身体を張った守りで追加点を許さない。対して水戸桜ノ牧は中盤での落ち着いたボールコントロール光るMF小森翔平(3年)を中心に、左の強力ドリブラー、長洲や右の攻撃的SB飯村がサイドから仕掛け続ける。MF海老根尚之(3年)の右足ミドルが右ポストを叩くなど4点目を決めることができずにいたが、それでも後半29分に藤田巧監督が「もともと彼は体の使い方が上手かったりするので、PAに入ってからのセンスはあると思う。きょうはそれが出たと思う」と評する池田がこの日2点目のゴールを決めて試合を決定づけた。

 藤田監督は「3点ポーンと取れたので、その後ボールをしっかり動かしながら、人も動きながらとやっていたんですけど、なかなか上手くいかなかったり、最後のところで質が上がらなかったり、点が決まらなかった」と指摘したが、「突出した選手はいないので、自分たちで一生懸命やると言うところに関しては、彼らに1年生の頃からずっと言ってきた部分。それがまた出てきたかなと思います」と選手たちの取り組みの姿勢を認める。この日夏に出た課題を改善したことを示した選手たち。飯村は「牧高として、まずカシマスタジアムで1勝するというのを目標に、それ以上の全国で1勝、2勝していくということをこの代は1年生の時から意識付けしてきた。それに向かって積み上げてきたものを出して行きたい」。96年に全国総体出場を果たしている水戸桜ノ牧だが、選手権の全国大会出場をまだ成し遂げていない。県立の強豪はまずは準決勝からの会場であるカシマスタジアムでの1勝、それ以上を目指す。

[写真]前半9分、水戸桜ノ牧はこの日2得点の池田(左)が頭でゴール。長洲の祝福を受ける

(取材・文 吉田太郎)
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