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[選手権予選]チームで掲げた「富」の文字、日本一目指す滝川二が延長V!:兵庫

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[11.9 全国高校選手権兵庫県予選決勝 三田学園高 2-4(延長)滝川二高 三木防災公園陸上]

 第93回全国高校サッカー選手権兵庫県予選の決勝が9日、三木防災公園陸上競技場で行われた。延長戦までもつれる熱戦となったが、延長前半に2得点を奪った滝川二高三田学園高に4-2で勝利し、2年ぶり18回目の全国切符を掴んだ。

 一度はこぼれかけた勝利の二文字を引き戻したのは、苦難の末に掴んだ攻撃力だった。序盤からともに後方でのシンプルなボール回しから相手DFの背後をロングパスで狙う均衡した試合展開が続き、前半5分にはエリア左から三田学園のFW井上聡が中央に持ち込みシュートを打つも枠の右。9分には滝川二の右スローインから、MF田中聖也がワンツーで中央に切り込み、ゴールを狙ったが左ポストに直撃するなどチャンスを作りながらもあと一歩のところで得点することができない。両者譲らずに時間が進む中、試合が動いたのは32分。右CKがPA中央に落ちてゴール前で混戦に。エリア左にこぼれたボールをDF鎌田晃企が豪快に叩き込んで滝川二が先制した。

 後半も12分に一進一退の展開が続いたが、滝川二は15分に右サイドを飛び出したMF横浪直弥からのパスをPA右で松山が受けると、素早い切り返しから中央へパス。ゴール前で受けたFW高尾健太のシュートはミートし損ねたが、左にこぼれたボールを1年生MF持井響太が押し込み、滝川二が三田学園を引き離した。

 このまま滝川二の勝利で幕を閉じるかと思われたが、三田学園も簡単には引き下がらない。29分には相手陣内でFKを獲得すると、DF森本実現がゴール前に浮き球を展開。MF飯尾恭平が競り合ったこぼれ球をDF中村圭一が胸トラップから素早く放ったシュートがGKの頭上を越えて1点を返すと、32分も右CKを中村が頭で叩き込んで一気に同点に追いつき、延長戦にもつれた。

「正直、ホンマにヤバいと思った」。同点にされた瞬間を率直に振り返るのは滝川二の千葉。栫裕保監督も「今年の新人戦から、ちょっとした守備のズレから失点して負けてきた。最後に悪い癖が出てしまった」と口にした。だが、同時に「2点目を獲ってからも上手くやってくれていたので、延長に入れば点が入る予感はしていた」(同監督)と逆境を跳ね返すだけの自信が滝川二にはあった。言葉通り、拳を再び振り上げ、延長前半3分に右CKを競り合ったこぼれ球をDF高原昴兵が思い切り良く右足ボレーで叩き込んで再び試合を優勢に。延長前半アディショナルタイムの11分にも中盤左でボールを持った持井から中央の松山にパスが渡ると、素早くPA左にスルーパスを配球。フリーで抜け出した高尾が落ち着いてゴール左隅に流し込んで試合を決めた。

「今年は何もタイトルを獲れていなかった。やっぱりトーナメントに強くないとダメ。苦しい戦いが続いた分、勝てた喜びはひとしおですね」。栫監督がそう話したように県1部リーグを制したものの新人戦、総体予選ともに神戸弘陵高の後塵を拝した。だが、苦杯を味わい続けたことが「攻撃の意識が高まった。負けをたくさん経験したことで得点できないと勝てないし、選手それぞれが『自分が決める』という意識が高まった」(千葉)と、選手たちの意識変化に繋がり、選手権予選を制す力となった。 

 チームは毎年、漢字一文字のテーマを決めるが、今年は富士山を意味する「富」の字を掲げた。富士山と同じ、「日本一」を目指す意気込みからだという。遅れながらも最後の最後で兵庫で一番となったが、気を休めている暇はない。全国の頂点を目指す一歩目を歩み始めたばかりだ。

(取材・文 森田将義)
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