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日本高校選抜候補が熱い紅白戦で選考合宿終了

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 10日、日本高校選抜は選考合宿(静岡)最終日に紅白戦(30分×2本、20分×1本)を行った。3日間の合宿を終えた日本高校選抜はこの後、候補27名から21名まで絞られ、2月28日に開催される「NEXT GENERATION MATCH」でU-18Jリーグ選抜、3月1日の「Chantasia Match2015」で横浜FC、3月8日の「静岡県ヤングサッカーフェスティバル」で静岡県ユース選抜とそれぞれ対戦。そして最終メンバー18名が第53回デュッセルドルフ国際ユースサッカー大会に出場する。

 前日9日、日本高校選抜候補メンバーは選手だけでのミーティングを行った。もちろん、各選手の目標は欧州遠征メンバーに残ること。そしてチームとしては今後予定されている全ての試合で勝っていかなければならない。チームリーダーのMF鈴木徳真(前橋育英高3年)は「(ミーティングで話し合ったのは)チームの作り方。どういうチームになりたいかというテーマで『何でもできるチーム』だとか、『闘えるチーム』だとか、『何でも言い合える』とか、いろいろ出てきて、大切だなと思ったり、みんな同じ方向を向いているなと思いました。これからJリーグ選抜と戦ったり、静岡のヤングサッカーフェスティバルだったり、ドイツだったり、チームがどんどんまとまっていかないといけない。どんどんアピールして、自分の良さを出せば、周りとどんどん合っていくので、余計にきょうはみんな気合入っていたんじゃないかと思います」。その気迫が伝わってくるような、計80分間の紅白戦だった。

 システムは各試合4-2-3-1を採用。1本目はイエローのビブスをまとったチームがGK吉田舜(前橋育英高3年)、4バックは右から久保和己(流通経済大柏高3年)、渡辺剛(山梨学院高3年)、野田裕喜(大津高2年)、小川明(履正社高3年)。中盤は鈴木、森島司(四日市中央工高2年)のダブルボランチで右が藤島樹騎也(星稜高3年)、左が末吉塁(初芝橋本高3年)、トップ下が小林颯(四日市中央工高2年)で1トップに中島隆司(立正大淞南高3年)が入った。一方、グレーのビブスはGKが坂口璃久(星稜高2年)で4バックは右から伊藤大祐(山梨学院高3年)、菊池流帆(青森山田高3年)、平田健人(星稜高3年)、大野佑哉(山梨学院高3年)。中盤の底の位置に前川優太(星稜高3年)と澤田篤樹(流通経済大柏高3年)が入り、トップ下は渡邊凌磨(前橋育英高3年)、右MFが岩崎悠人(京都橘高1年)、左が旗手怜央(静岡学園高2年)、1トップは高沢優也(流通経済大柏高3年)が務めた。

 紅白戦開始3分後、レフェリーを務めた小阪康弘コーチ(丸岡高)は突然ゲームを止めると、「緩いゲームを何回やっても変わらないぞ!」と檄。それまでやや出足が鈍かったが、最後のアピールチャンスに燃える選手たちはすぐに激しさを増していった。すると、6分にファーストゴール。鈴木のスルーパスで抜け出した中島がGKとの1対1から右足シュートをゴール右隅へ流し込み、イエローが先制点を奪った。イエローは9分にも、左サイドから鋭いステップワークで仕掛けた末吉が右後方にパスを送ると、鈴木が右足ダイレクトでシュート。GK坂口が弾いたボールは右ポストを叩いた。だが、グレーもこの後、非常によくボールに絡んでいた前川や推進力あるプレーを見せる澤田を中心とした攻撃で押し返す。12分には左サイドでDFをかわした旗手が左足シュート。タイミングよくインターセプトする渡邊凌や最終ラインでボールを引っ掛ける菊池のボール奪取から波状攻撃を見せた。

 15分にはイエローが吉田を志村滉(市立船橋高3年)、藤島を田場ディエゴ(日大藤沢高3年)、中島を青柳燎汰(前橋育英高3年)へチェンジ。グレーも旗手を左SB、大野を右SBへ移すなどポジション変更が施された。その直後には右サイドから猛然とPAへ走りこんだ久保へ田場からのスルーパスが通る。久保の折り返しを青柳が右足で叩いたが、ボールは右ポストを叩いた。イエローは30分にも鈴木、青柳が中央の狭いスペースからアタック。青柳の展開で末吉が抜け出してチャンスを迎える。グレーは身体を張って相手の抜け出しを封じた平田、菊池の好守もあったが、イエローは野田がスライディングでのボールカットなど高い守備能力を見せると、渡辺剛が豪快なヘッドや的確なカバーリング、森島が素早いチェックを続けるなど1-0で試合を締めた。

 2本目はイエローがGK坂口、4バックは右から久保、澤田、渡辺剛、旗手でダブルボランチが森島と平田、右MF伊藤、左MF岩崎、トップ下が渡邊凌、1トップには青柳が入った。一方、グレーはGK吉田、4バックは右から小川、菊池、野田、大野でダブルボランチが鈴木と前川、右MF田場、左MF藤島、トップ下が小林、1トップ・中島で試合をスタートした。グレーは1分に小林がドリブルでPAへ侵入するが、カバーした旗手が阻止。7分にはイエローの伊藤が快足を活かしてDFを振り切り、決定的な右足シュートを放つ。イエローがキープ力高い岩崎と旗手の左サイドや、ともにスピードのある伊藤、久保の右サイドを活用して攻めれば、グレーも相手の逆を突きながらボールを運ぶ鈴木、前川を軸に攻め返す。

 15分にイエローが坂口から志村、岩崎から末吉、グレーが中島から高沢へチェンジ(その後負傷した田場が岩崎へ交代)。19分にグレーの前川が左中間から放った右足FKは志村が横っ飛びではじき出す。直後にはチャージを受けながらボールを繋いだ高沢のスルーパスで小林が抜け出したが、ここはDFが足に当ててゴールを許さない。グレーは25分にも藤島の巧みなキープから左中間でボールを受けた前川が高沢とのワンツーでDF間へ割って入る。決定機を迎えたものの、相手の好守の前にスコアは動かず。逆にイエローは27分に中央から青柳がDFのギャップをつくスルーパス。DFの前方に入り込んだ渡邊凌が独走し、そのまま左足シュートをゴールへ流し込んだ。さらに28分には前線からプレスをかけた青柳がGKからインターセプト。2点目をたたき出して30分間を終えた。

 20分間ゲームとなった3本目、イエローはGK志村、4バックは右から久保、菊池、大野、小川で中盤の底に鈴木と渡邊凌のコンビ。右MF藤島、左MF小林、トップ下が中島で1トップには高沢が入った。一方のグレーはGKが吉田で右から野田、渡辺剛、平田、末吉の4バック。中盤は森島と前川のダブルボランチで右が伊藤、左が旗手、トップ下が田場で1トップは青柳が務めた。試合は2分、左サイドを抜け出した田場のヒールパスからDFを外した旗手が左足シュート。イエローは4分、中島のスルーパスで右サイドを抜け出した藤島が決定的な右足シュートを打ち返す。これはGK吉田が止めたが、こぼれ球を最後は高沢が胸でゴールへ押し込んだ。グレーも5分に左サイドから緩急でDFを翻弄した田場がゴールライン際までえぐってラストパス。これに伊藤がフリーで走り込んだが、右足シュートは志村がスーパーセーブで阻止する。グレーは6分にも前川からの斜めのパスがPA左の田場へ通るなどチャンスを迎えたが、イエローは8分、左サイドでボールを受けた小林が絶妙なターンでDFを外してパス。これで左サイドを独走した小川がPA近くまで運んでグラウンダーのパスを中央へ入れる。そして中島が左前方へ技ありのスルーパス。長い距離を走り切った鈴木が左足シュートをゴールへねじ込んで2-0とした。

 11分にイエローは藤島を岩崎、グレーは吉田を坂口へチェンジ。グレーは13分にも左サイドの田場からのクロスに決定的な形で伊藤が走り込んだがシュートは枠を捉えず。逆にイエローは17分、相手のクリアボールを渡邊凌が右中間から左足ダイレクトでミドルシュート。グラウンダーの一撃が狭いニアサイドを射抜いて3-0となった。グレーは18分に野田の右足ミドルが枠を捉えたが、志村がワンハンドでセーブ。イエローは大野が出足のいいチェック、小川が対人の強さを見せるなど、無失点で勝利した。

「もっともっとという部分はありますけれど。常に駆け引きが必要だと思うので、『今、オレ誰と勝負している』というイメージを常に持っていないと」と指摘した大野監督だが、各選手の取り組む姿勢に感謝し、「ここで一生懸命やってくれたことに僕としては感謝ですね。選ぶのは選んでいくんだけど、次のステップの部分ではみんな次のチームへのステップになってもらえれば」と各選手が3日間の合宿を今後に活かしてくれることを期待した。前日に昨年の高校選抜を経験している志村が「チームワークがいい」と評していたように、チームとしてもまとまりを見せていた高校選抜候補たち。鈴木は今後の活動へ向けて「ベストなコンディションで、まとまり、勝ちをめざし、ドイツで優勝したいなと思います」と宣言した。

(取材・文 吉田太郎)

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