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[関東大会予選]「弱くてもまとまればいい力を出せる」地道に成長目指す名門・武南が埼玉4強進出

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[4.18 関東高校大会埼玉県予選準々決勝 東農大三高 1-3 武南高 西武台高第2G]

 平成27年度 高校サッカー関東大会埼玉県予選は18日、準々決勝を行い、武南高が3-1で東農大三高に勝利。市立浦和高と戦う準決勝への進出を決めた。

 新人戦は県大会初戦で本庄一高に1-2で敗戦。苦しいスタートを切った名門だが、関東大会予選では新人戦準優勝の浦和東高を1-0で破るなどしっかりベスト4まで勝ち上がってきた。それでも、大山照人監督は「全てにおいて劣っている。昨年に比べていいところはひとつもないです」と厳しい。技術面での評価も決して高くなく、主力組の中でイニシアチブを取る選手も不在。守備で集中力を欠くシーンや、攻撃面においても声が出ずに連係を取れないシーンがまだまだある。それでも指揮官の「ひとつでも成長してほしい」という期待の中で、武南は苦しい戦いを乗り越えながら経験値を高めてきている。

 注目ドリブラーのMF紺野和也(3年)が「先に点取られると勝てないゲームが多い。先に点取ることを前線は意識しています。先に点取るとDFも余裕が出て来るので、後ろに負担をかけないように頑張っています」と言うように先制点への強い意欲を見せる武南は試合開始直後にFW松井優太(2年)が先制ゴール。試合の主導権を握ると、29分、36分には紺野がドリブルで2人、3人を置き去りにして決定的なシュートにまで持ち込む。MF吉田悠人(3年)のシンプルな展開からサイドへボールを運ぶ武南は、39分にも紺野の突破からFW加藤壮磨(2年)が右足を振りぬくなど追加点のチャンスをつくり出した。

 だが、GK及川雄大主将(3年)の好セーブなどで2点目を阻止する東農大三はMF大貫翔やFW竹之下真徳(ともに3年)がワンツーやドリブルでPAに割って入ろうとするなど反撃。すると、後半開始直後、ロングボールをPAへ入れた東農大三は相手の不用意なクリアから竹之下が決めて同点に追いついた。

 東農大三がこの試合のファーストシュートで決めた同点弾。それでも吉田が「立ち上がりに失点してしまったけれど、自分はチームをしっかりと冷静にして、もう1点取りに行こうと思っていました」と言うように、慌てることなく、取り組んできたサイド攻撃を続けて相手の背後を狙った武南は、7分に勝ち越し点を奪う。左サイドでのパス交換から相手の背後へ抜け出した加藤が中央へ折り返すと、フリーで走り込んだ吉田が決めて2-1とした。

 この後もショートコーナーからMF福田寛人(3年)が放った右足シュートなどシュートシーンを作り出してくる武南に対し、東農大三も及川中心に我慢強い守りを見せていた。だが武南は後半32分、紺野の右CKを加藤が背中越しのヒールキックで押し込んで3-1。シュート19本を浴びせて攻め勝った武南が準々決勝を突破した。

 まだまだ力強さに欠ける面がある。それでも武南は守備陣の成長があり、失点が少なくなってきたことで結果が伴ってきている。名門対決となる準決勝でも紺野やMF玉上雅大(2年)、左SB砂川洸介らによるサイドでの崩しからリードを奪い、白星をもぎ取るか。吉田は「自分たちは入学当初から弱いと言われているんですけど、弱くてもまとまればいい力を出せると思う。練習から気持ち入れてやることで先に繋がるんじゃないかと思っています。目の前の試合一個一個大事に戦ってあした(準決勝)も絶対に勝ちたい」と意気込んだ。

[写真]後半7分、武南は吉田のゴールで勝ち越し

(取材・文 吉田太郎) 

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