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[特別インタビュー]1対1への揺るぎなき自信…浦和GK西川周作「ドンと来い!」

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 昨季、リーグ戦7試合連続無失点というJリーグ新記録を樹立するなど、JリーグNo.1ゴールキーパーの名をほしいままにしているのが浦和レッズの守護神・西川周作だ。キーパーの概念を覆す守備範囲の広さや、チームの守備全体をオーガナイズするリーダーシップはもちろんのこと、フィールド選手と見まがうほどの足元の技術から繰り出されるスーパーフィードは、埼玉スタジアムに詰め掛ける目の肥えたファンを魅了して止まない。日本代表の正守護神としての期待も高い新時代型ゴールキーパーに意気込みを聞いた。

“あと1勝”からの勝負
タイトル獲得へ求められるメンタル


―浦和レッズではリーグ戦で好調を持続していますが、チーム状況はいかがですか?
「リーグでは無敗のまま中盤戦(インタビューは第7節終了時)ですが、チームはだれ一人として満足していないと思います。それはまだ“究極のところ”に達していないから。僕が考える“究極のところ”というのは、あと1勝すればタイトルを手にするというところです。去年はそこでタイトルを取ることができませんでした。やはり、“究極”になったときにこそ、自分たちが成長したことがハッキリ分かると思っています。それまでは、その状況に持って行くことに必死です」

―プレッシャーがかかる状況になったときに真価が問われる?
「そうです。あと1勝というところになれば、そこから先はほぼメンタルが勝負を分けると思います。チームのみんなでメンタルを鍛えて、もっと強くなりたいです」

―昨季は優勝に王手をかけながら逆転されて2位に終わりました。リーグ終盤は重圧に屈したという反省なのでしょうか。
「メンタルが勝敗を分けるということは、昨年の第33節サガン鳥栖戦ですごく感じました。僕らは最後のセットプレーで失点を喫してしまい、1-1の引き分けで試合を終えることになったのですが、あの場面では、気持ち的にヤバイと思っている選手が一人でもいたからゴールを入れられてしまったのだと思います。それがだれだったかというのは分からないですし、もしかしたら自分だったかもしれないですが……」

―今季は昨季の経験を生かせていますか。
「第5節の川崎フロンターレ戦のとき、最後のアディショナルタイムに相手のコーナーキックがあったのですが、そのときは鳥栖戦とは全然違いました。みんな声が出ていましたし、絶対に決めさせないぞという雰囲気が表れていたので、絶対に大丈夫だと思っていました。細かいところですが、こういうところを大切にしていきたいです」

―西川選手が相手選手と1対1になってスタジアムが沸くことが多いですが、第7節終了時点で、1対1のピンチになんと全勝です。相手選手と1対1で対峙するときはどういう心構えなのですか?
「“どんと来い!”という感じです。これまで1対1というシチュエーションは数多く経験してきましたが、その経験によって、対処法やメンタルの持ち方が鍛えられてきました。1対1になればなるほど“よし!”と思います。“ヤバイ”ではなく、“チャンスだ”と思いますね」

―西川選手は、ビッグセーブには試合の流れを変える力があると信じていますよね。
「僕はそのワンプレーがチームを鼓舞すると思っています。90分間の戦いが終わって、『あのピンチを止めていたから勝利できた』と言えるようになりたい。チームが勝つために、どんなピンチでも止めていきたいと思っています」

「ゲキサカは
毎試合後に見ています」


―キーパーのワンプレーが流れを変えたという意味では、第7節の名古屋グランパス戦の後半6分に小屋松知哉選手のカウンター攻撃に対して大胆な飛び出しを見せ、ペナルティーエリアを大きく出てクリアした場面がありました。
「あのときは、一度後ろに下がってからだったので、自分でもそこからよく出たと思いますね。あの場面は縦関係の位置だったので、相手の距離やボールの位置、僕との位置関係が分かりにくかったです。最初は下がろうかなと思ったのですが、次の瞬間には無心で前に出ていました。一度下がったら戻るのが普通だと思うのですが、あえてそこは思い切ったことをしてみました」

―短い時間に難しい見極めから勇気ある判断を下していたんですね。
「小屋松選手のコメントを見ると、僕が一度下がったことでスピードを緩めたと言っていました。ですから、下がったことが結果的には良かったようです。彼がスピードの速い選手だという情報は入っていたので、とにかく思い切って前へ行きました。それに、あの1分後に追加点が入ったことも良かったと思います」

―日ごろから西川選手がキーパーの仕事の理想だと話していることの一つを実現したということですね。
「すぐに点が入ったので、そうだったと思います。あとで振り返ってみても、自分にとってもトライして良かったと思えるプレーでした。あのときは本当にさまざまなリスクを考えるより、良い方向に頭が働いていました。飛び出して抜かれて失点するとか、引っかけて退場するとか、そういうことはまったく考えていませんでした」

―もしかすると、小屋松選手のコメントはゲキサカでご覧になったのですか?
「そうです(笑)。ゲキサカは毎試合後に見ています。特にチェックするのは写真ですね。ゲキサカは写真が多いので……。良い写真があれば保存して奥さんに送ったりします」

―1対1と同様に、PKもキーパーにとっては見せ場の一つです。
「PKになってしまえば判定が覆ることはないですし、とにかく集中してやります。あとは自分が“ここだ”と思うところに跳ぶだけだと思っています」

―印象に残っているPKストップはありますか?
「広島時代ですが、2013年の天皇杯準決勝のFC東京戦です。延長でも決着がつかずにPK戦になって、決められたら終わりというような状況で3本止めて、逆転勝ちで勝ちました。あの試合のPKが一番思い出に残っています。でも、レッズに来てからはまだ一度も止めていません。止めないといけないなと思っています。もちろん、PKはないほうが良いのですが、今年はホールディングに対してのジャッジがすごく厳しいので、今後はPKのシーンがあるかもしれませんね」

―セリエAでPKを多く止めているサミール・ハンダノビッチ(インテル)のプレーなどは見ますか?
「見ます。ハンダノビッチ選手はズラタン選手の友だちだそうです。PKを止めてニュースになった日にはズラが“こいつすごいんだぜ、また止めたよ”と僕に言ってきました」
(※注:浦和レッズのFWズラタンとハンダノビッチはともにスロベニア・リュブリャナ出身。ともに2010年南アフリカW杯にスロベニア代表として出場)

埼スタで行われる
W杯予選への想い


―さて、日本代表はハリルホジッチ新監督になったばかりですが、6月にはW杯アジア予選も始まります。代表については今どのように考えていますか。
「3月の代表合宿に参加して感じたのは、レッズで求められることがそのまま代表でも生かせるということです。今はみんながスタートラインに立っています。すぐに予選が始まるので時間はないですが、僕としては、チームでどれだけ頑張れるかが代表で出られるかということにつながっていくと思っています。やっぱり、チームで試合に出ている選手が代表戦に出るべきだと考えているので、チームで活躍して代表に行きたいですね。そうすれば出場のチャンスがあると思います」

―W杯予選のホームゲームは埼スタでやることが多いと見込まれます。
「埼スタへの思いは、レッズに来るまでとは違っています。以前は特別な思いのある場所ではなかったですが、僕は去年からレッズに来て、埼玉に住んでいる身。ホームで代表戦をやれるというのはすごく心強いですし、試合に出れば応援してくれる人もたくさんいると思います。レッズの一員としていつも使わせてもらっているスタジアムで代表戦をやらせてもらうことは、メリットがあります」

―埼スタの試合で西川選手が出ないのは違和感がありますね。
「ベンチは嫌ですね。埼スタでは必ずピッチに立ちたいです。ホームですから」

―今季からナイキのグローブとスパイクを使っていますね。選手が用具を変えるのは勇気がいると思うのですが、どのような決意でナイキに変えたのですか?
「まずはグローブもスパイクもフィット感がとても良かったということがありますが、それにプラスして、これからの自分のサッカー人生は“ナイキの西川周作”として勝負していきたいと思ったのが理由です。Jリーグのキーパーでナイキのイメージのある選手がそんなにいないので、自分が活躍することで“ナイキのゴールキーパー”として勝負できるのではないかと思って変えました。“西川周作が付けているのはどこのメーカーなんだ、ナイキだ”ということになればうれしいですね」

―ナイキに変えて反響はありましたか?
「僕も小さいときにはプロの選手が何を身に付けているのか見ていましたが、小さい子供やキーパーをやっている子供は僕を見てくれているなと感じています。実際に僕が付けているのと同じナイキのグローブを持ってきて『サインください』と言われたこともありました。見てくれているんだなと思うと、より一層、今年は優勝しないといけないなと思います」

新たなグローブとスパイク
ナイキとともに目指すタイトル


―西川選手がグローブに求めるのはどのようなことですか?
「僕が求めているのは、まずグリップ力。そして、手に付けたときのフィット感です。ナイキを使ってみてすごいと思ったのは、手にハメたとき、指の位置が最初から少し開いていることです。この形は他のメーカーにはないと思いますよ。普通のグローブは、指が閉じているんです。ナイキのグローブは、手を入れるだけで開いているので、自分で指を広げなくていいんです」

―なぜ広がっているのが良いのですか?
「キーパーは指を広げるタイミングによってはファンブルしてしまったり、キャッチするときにうまく収まらなかったりします。でも、これはハメるだけでオーケー。キーパーがボールを止めるときに使うのは親指、人差し指、小指の3本なんですが、このグローブはその3本が開いています。だからすごくボールを取りやすいんです。そこは僕が求めていたフィーリングに合っていました。グリップ力に関しても、使えば使うほどいい味が出てくる。それに、雨でもグリップ力が落ちないのがすごいなと思いました」

―グローブは1試合でどれくらい変えますか?
「僕の場合、以前はウォーミングアップ用、前半用、後半用と3組使っていたのですが、今は1個でウォーミングアップから試合まで使ったりします。ナイキのグローブは持ちもいいんです。魅力いっぱいです!」

―実際に失点も少ない。
「いい物を付ければ失点が少なくなると思います。そういう意味からも、タイトルを取らないといけないと思っています」

―足元の技術も高い西川選手なので、スパイクへのこだわりも強いのでは?
「スパイクもグローブと同じなんですけど、僕はフィット感を重視しています。それと、僕は左足でも右足でもしっかり踏ん張った中で蹴り分けていますから、左右どちらを軸足にしたときも横にブレないことが必要です。クネっとなったり、皮が伸びたりすると踏ん張れないのですが、このスパイクはそれがありません。それと、天然皮革を使っているので、キックするときの足の感覚がボールに伝わりやすいと思います」

―レッズは今季、前線に多くの新戦力が加わり、コンビネーションを成熟させることにみんなが取り組んでいます。そういう意味でも、昨年までとメンバーが変わっていない後ろがチームを支えなくては、という気持ちがあるのではないですか?
「そう思います。今季は試合内容が良く、チャンスも数多くあるのに点が入らないという試合が多いのですが、それでもみんなブレずにやっています。ディフェンスラインも守備に徹するべきときは守備に徹してくれているので、昨年よりも我慢強くなったのかなと思います」

―チームとして成長しているという手応えがあるのですね。
「ありますね。僕だけではなく、みんながそれを感じていると思います。今年は何としてでもタイトルを取りたいです」

(取材・文 矢内由美子)



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