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[総体]4-0で4強進出も満足せず、久御山はスタイル突き詰めながら、上へ:京都

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[5.24 全国高校総体京都府予選準々決勝 久御山高 4-0 京都共栄高 宝が池]

 平成27年度全国高校総体「2015 君が創る 近畿総体」サッカー競技(兵庫)京都府予選準々決勝の久御山高対京都共栄高戦が24日に行われ、新人戦優勝校の久御山がFW和田幸之佑の2得点などによって、4-0で勝った。久御山は5月30日の準決勝で伏見工高と対戦する。

「今日は観客が多くて、硬さがあった」とGK佐藤由維斗が振り返ったようにエンジンがかかるまでに時間のかかった久御山だったが、「(ベスト16の)洛北高戦では立ち上がりに先制されたので、立ち上がり10分はゼロに抑えることを意識していた」(佐藤)という守備のノルマをクリア。攻撃ではGKを含めたボール回しで主導権を握ると、前から奪いに来る相手の裏を突き、長めのパスから和田ら3トップがスペースに飛び出しチャンスを伺う。10分には自陣からのスルーパスがエリア右に入り、和田がシュートを狙ったが、GK正面に終わるなど1点が奪えない。それでも久御山は18分に試合を動かす。MF八田陸斗のスルーパスから和田がPA中央に飛び出すもDFにカットされる。だが、素早く和田が奪い返し、後方に流したボールに反応したのはDF中村禄郎。「1年生だけど、ビビる奴じゃない」と松本悟監督が評するルーキーが冷静に決めて久御山が先制した。

 以降は注目エースのMF山本蓮が「相手が守備を固めてカウンターを狙ってくると考えていたので、カウンターを受けないように中と外を使い分けながら、なるべく遅い攻撃を狙っていた」と説明する中盤と、4得点を奪ったベスト16の洛北戦同様に速攻を狙うFW陣との息が合わず。前線にボールが入ってもDF赤澤靖也を中心に粘り強く対応する京都共栄の守備を崩し切れない場面が見られたが、29分にFW築山隼のパスを和田が決め、2-0での折り返しに成功する。

 久御山優勢だった前半から一転、後半は京都共栄のペースに。京都共栄は「攻めが良くないから、失点しそうなカウンターを受けてしまった」(松本監督)という久御山から、高い位置でボールを奪い、ゴールを狙った。後半8分にはMF坂本風雅が中央をドリブルで仕掛けて、DFとGKの間に浮き球のパスを配球。処理のために飛び出した佐藤の頭上を越えて、無人のゴール方向へ転がったが、懸命に戻ったDF小森優輝がスライディングでかき出した。

 久御山は危ない場面があったものの、その後は京都共栄の攻撃を「1点を獲られると、相手は勢いに乗ってくるので、前が獲ってくれるのを信じて我慢した」(佐藤)としっかり抑えると残り5分を切ってからは再びゴールラッシュ。31分に右サイドでDF平木海都のパスを受けた八田がドリブルからのシュートを決めると、34分にも山本のパスから和田がゴールを決めて、4-0で試合を終えた。

 結果だけを見れば大勝だが、「相手も非常に良かったので、良く勝てた試合。攻撃で周りにいる選手を使えなかったり、ボールを見過ぎてシュートが打てないなど最近の課題が出た。意図した得点やランクが上の攻撃をもっと出来ないといけない。失点をしていれば、勝てなかったと思う」と松本監督は振り返る。「攻撃は面白くない部分が多々あったので、次に活かしたい。選手権のために出来るだけ強いチームと試合がしたい」と指揮官が続ければ、山本も「最終は選手権で優勝することが目標。もちろん、総体での優勝は目標ではあるけど、それだけで満足してはダメ。今は自分が目立つことを考えてしまう選手がいたりするけど、チーム全員でもっと上を目指していかなければならない」と話す。スコアだけに満足しないのは更なる先を見据えるから。それほど、手応えのある年だからと言える。理想とする久御山スタイルを突き詰めながら、どこまで上を目指せるか。今年の久御山から目が離せない。

[写真]久御山は注目エース山本中心に快勝も満足せず

(取材・文 森田将義)
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