[6.1 全国高校総体佐賀県予選準決勝 敬徳高 0-6 佐賀学園高 佐賀県総合運動場球技場]

　1日、平成27年度全国高校総体「2015 君が創る 近畿総体」サッカー競技(8月、兵庫)佐賀県予選準決勝が行われ、敬徳高と対戦した佐賀学園高は左SB野村一平主将(3年)の2ゴールとMF藤原綾人(3年)の追加点で前半を3-0で折り返すと、後半にはエースFW三宮捷(3年)が3ゴールを奪って6-0で快勝した。佐賀学園は2日、07年以来の全国総体出場を懸けて佐賀東高と対戦する。

　昨秋の選手権予選、今年の新人戦ともに準優勝の佐賀学園だが、今大会序盤は状態が良くなかったという。野村は「全然かみ合わんで苦しかった」と振り返る。だが、昨年の総体予選で敗れている佐賀商高との準々決勝(5月31日)は「みんなが勝つ気持ちで行った」(三宮)と気持ちを前面に出したサッカーで3-0快勝。野村が「昨日から上がってきて、佐商戦が大きかったですね。昨日からそのまま(の勢いで)来ました」という敬徳戦はその野村のスーパーミドルを皮切りに重ねた6ゴールで快勝し、決勝へ弾みをつけた。

　前半5分、佐賀学園はMF中嶋十夢(3年)が左サイドへ展開すると、野村がダイレクトで左足一閃。弾丸ライナーの一撃が逆サイドのゴールネットへ突き刺さった。衝撃的な一撃を打ち込んだ野村はピッチサイドの控え部員のところへ駆け寄り、振り返りながらジャンプして手を広げるクリスチャーノ・ロナウドのゴールパフォーマンスでスーパーゴールを喜んだ。ともにフィジカルコンタクトに優れた吉村心輝(3年)と立川大樹(3年)のCBコンビを中心とした守備から前線でボールを収めるFW上田龍希(3年)とMF山口怜音(1年)を起点とした攻撃など意欲的なサッカーを見せる敬徳の出鼻を完全に挫いた先制弾。テクニックで上回る佐賀学園はこの一撃で乗った。

　12分にもFW中西尚(3年)の右クロスからFW中島啓太(3年)が決定的なヘッドを放ち、13分にもパス交換から三宮がシュートへ持ち込んだ佐賀学園は14分に2点目のゴールを奪う。別格のボールスキルを見せる三宮が左サイドからの仕掛けで1人外してラストパス。これは中西に渡る直前でGKが阻止したが、こぼれ球を拾った藤原が右足で2点目のゴールを流し込んだ。佐賀学園は22分にも左CKから野村が左足ミドルを決めて3-0。この後、GK岩永翔吾(3年)の好セーブで前半の失点を阻止した敬徳だったが、後半に突き放されてしまう。

　ショートパスとドリブルで切り崩す佐賀学園は後半も止まらない。11分、右サイドから仕掛けた1年生FW中島廉史が左足シュート。こぼれ球を三宮が難なく右足で決めると、14分には三宮が右足FKを決めて5-0とする。敬徳も15分に右クロスのクリアボールを左SB御厨諒太(3年)がコントロールから左足で叩く。だが、GK吉富大隼(2年)の好守で封じた佐賀学園は直後に三宮が左サイドでDFを外してから放った右足ミドルでハットトリックを達成。敬徳は何とか1点をもぎ取るために攻めたが、CB三浦翔哉(3年)中心に最後まで得点を許さなかった佐賀学園が6-0で勝った。

　ゴールが決まるたびに派手なゴールパフォーマンスや喜びの表現。そして試合終了後は勝ちロコを上げて全員で全国への意欲を新たにした。火が付くと止まらない佐賀学園の快勝だった。

　佐賀学園の北村普浩監督は「去年はワイドのスピードが物凄かったんですよ。今年は鈍足で。足元で勝負するしかないですよ。(攻撃については)最小限だけ決めたらあとは選手たちのオリジナリティに任せている。(レベルはまだ)ごまかしごまかしですね」と笑う。それでも三宮やブレ球FKを操る中西ら技巧派を中心に佐賀県内では異質のテクニカルなスタイルでしっかりと勝負できるチームになっている。2月の九州新人大会では大津高や鹿児島実高、筑陽学園高相手に3連敗を喫したが、指揮官は「でもいい経験でした。攻めて負けたんで」。攻撃精神旺盛なチームは今春、京都府の新人戦王者・久御山高に堂々の内容で勝利するなどポテンシャルはある。野村は「(チームのいいところは)1点入ったらそこから盛り上がっていくところですね。みんなが一生懸命やるところ」。一回火が付くと止まらない佐賀学園の勢いは決勝で対戦する佐賀東にとっても脅威であることは間違いない。三宮は「(3年生で)最後っていうのがあるけんが気持ちが入るし、(自分たちは)1回も行っていないので全国行きたい」。準々決勝から続く勢いを持って王者・佐賀東に挑戦し、全国切符を勝ち取る。

[写真]前半5分、佐賀学園はDF野村(右)の先制ゴールを喜ぶ

(取材・文　吉田太郎)

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