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自信と余裕のなでしこ 佐々木監督「負ける気がしない」

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 準々決勝オーストラリア戦を境にチームのムードは一変した。準決勝に向けてより緊張感が増し、テンションが上がってもおかしくない状況だが、実際にはどこかリラックスムードさえ漂っている。

 例えば、決勝トーナメント1回戦のオランダ戦後に佐々木則夫監督が報道陣の前で声を荒げたような事態が起こる予兆はない。準々決勝後の練習は2日間が冒頭15分のみの公開となり、残り1回の練習も主力組は参加せず、選手のメディア対応も行われなかった。戦術練習の類は一切見ることができないし、ボールに触る選手の姿も見られないような状況が続いているが、それでも張り詰めた雰囲気はない。

 1日(日本時間2日)のイングランド戦を翌日に控えた記者会見に指揮官とともに出席したFW大野忍は現在の状態を「余裕がある」と表現する。「個人としては、余裕があるかなというのはあります。他の選手も一人ひとりの自覚、責任を強く持っている」。4年前に比べて成長した点を尋ねられると、こう断言した。

「自信ですかね、やっぱり。やり切る力、諦めない力は、自分たちが本当に持ち続けてプレーしているつもりですし、それが結果に出ているというのは強みかなと思います」

 大半のメンバーが4年前のW杯優勝とロンドン五輪準優勝を経験しているだけに、今さらひるむことなどない。落ち着きを増す選手に比べ、指揮官のほうが鼻息が荒い。

「絶対に負けたくない意識が増している。でも、今回は負ける気がしない。(決勝の開催地である)バンクーバーに戻れると思っている」

 なでしこジャパンならではのユーモアも戻って来ている。会見終盤に大野がイングランド戦に向けて「だれが(ゴールを)決めても良いと思うし、自分って言いたいところですけど、自分ではないかな……」と話すと、佐々木監督が横から「お前が決めると思ったから、(会見に)連れて来たのに」と冗談めかして言う。仕方なしに大野が「じゃあ、決めます」と返し、会場の笑いを誘った。

 佐々木監督就任後、イングランド戦は1分1敗と分が悪い。それでも、そんな過去のデータを気にする素振りはちらりとも見せない。2大会連続となる決勝進出を期待せずにはいられない。

(取材・文 了戒美子)

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