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[選手権予選]「試合開始前に泣きそうになった」登録外から先発掴んだ札幌大谷FW内田主将が走って優勝導く

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[10.25 全国高校選手権北海道予選決勝 札幌大谷高 2-0 北海高 札幌厚別公園競技場]

 北海道王者・札幌大谷高の主将はメンバー外だった。下級生時代にトップチームの試合に交代出場したことはある。だが、今年の全国高校総体でFW内田洸介主将(3年)は登録メンバー外で水汲みやボール拾い、洗濯などをしていた。「情けないな、と思いました。(チームに対して)少ない力しか出せない、貢献できない。キャプテンとして引っ張っていかないとけないのに」。8月の金沢遠征にはBチームとして参加。その期間中に田部学監督からプレーだけでなく、違う面でもチームに貢献するよう厳しい言葉をぶつけられたという。

「そこで変わろうと思いました」と内田。ピッチでも、ピッチ外でも自分ができることに今まで以上にこだわり続けた。すると、選手権予選直前の大阪遠征最終戦でSBとして出場機会を得た内田は選手権予選でもFWとして先発機会を得る。当初は「温存用で使われているのかなと思った」という内田だが、出場チャンスは続く。それにチーム一とも言えるハードワークとヘディング弾などで応えた主将は先発メンバーとして決勝のピッチに立っていた。

 自分が先発選手として決勝の舞台に立っている。わずか1、2か月前には考えられなかった役割に「自分も信じられない感じだったので、試合開始前に泣きそうになった。こみ上げてきたんですけど、(泣くのは)優勝した後にしようと思って」。風雪の中でボールを受けてシンプルにボールを繋ぎ、思い切りのいい仕掛け。そして、「どんなプレーよりもそこが一番求められていると思う」とチームを牽引して走り続けた。80分間の熱闘の末に掴んだ優勝。だが、北海高の悔しがる姿を見て「対戦相手のこと考えたら喜んでもいられないと思った」と喜びは北海道の代表として全国舞台で勝ってからに取っておくことに決めた。

 8月の第2回全日本ユース(U-18)フットサル大会で活躍し、9月のU-18フットサル日本代表候補合宿にも選出されたFW。「日本代表になったことが自信になっている」。当時はまだ遠い存在だったチームの先発をつかみ取り、田部監督からは「キャプテンが一番伸びたんじゃないかなと思います」という賛辞も受けた。努力で立場を変えた主将の挑戦はまだまだ続く。全国の目標について「スタメンとしてしっかり貢献することですね」と語ったFWが、苦しい時も最前線で走りぬき、まずは札幌大谷に全国1勝をもたらす。

(取材・文 吉田太郎)
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