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[選手権予選]盛岡中央が伝統校2強の一角崩す!盛岡商を4発撃破で3年ぶりVへ王手!

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[10.27 全国高校選手権岩手県予選準決勝 盛岡商高 1-4 盛岡中央高 盛岡南公園球技場]

 第94回全国高校サッカー選手権岩手県予選は27日、準決勝を行い、新人戦、総体予選優勝の第1シード・盛岡商高と県1部リーグ優勝の盛岡中央高との一戦は盛岡中央が4-1で快勝。3年ぶり2回目の全国大会出場へ王手を懸けた盛岡中央は11月1日の決勝で遠野高と対戦する。

 盛岡商、遠野という伝統校2強の一角を食った。それも4-1という会心のスコア。主将のMF舘尚斗(3年)が「岩手は盛商、遠野を倒してナンボというところがあるので、みんな気合入っていたと思いますし、声も出ていたのでいけるという雰囲気はありました」と振り返る盛岡中央が、3年ぶりの岩手制覇へ前進した。

 前半は3-0。コイントスで勝った舘はチェンジサイドを要求して風上を取った。心理的にも攻める姿勢を打ち出した前半に奪った大きなリード。小原祐一監督も「出来過ぎですよね。ゲームプランに3-0で折り返すのはなかった」と苦笑したように、“出来過ぎ”の前半が試合の軸を大きく傾けた。立ち上がりに押し込んだのはエースFW遠藤陸玖(3年)を負傷で欠き、2年生が先発8人を占めた盛岡商の方。試合開始直後にMF日下奈樹(2年)が柔らかいタッチのドリブルで仕掛け、それをフォローしたMF渡邊翔(3年)の折り返しにFW菅野秀哉(2年)が飛び込む。その後もボールを握る盛岡商は敵陣でプレーする時間を伸ばし、クロスや左SB腹子直哉(2年)のロングスローからゴールを狙った。

 盛岡中央はFW藤井敦成(2年)がパワフルなドリブル突破で左サイドを破ったほか、カウンターで攻め返すシーンもあったが、盛岡商は19分にも右サイドを緩急あるドリブルで切り裂いたMF采田涼太(3年)が左足シュート。さらに20分には左CK後の混戦からゴールエリアの菅野が右足で押し込もうとする。だが、盛岡中央はこの決定的な一撃をCB及川涼介(3年)が右足でシュートブロックしてゴールを許さない。

 我慢する時間帯の続いた盛岡中央だったが、それでも及川と中島浩平(3年)の両CBが良く相手の攻撃を跳ね返したほか、個々のハードワークも目立つ。そして22分、1チャンスをゴールへ結びつけた。この日右サイドで走力を示していたSB千葉亮介(3年)からのパスを右中間で受けた184cmFW藤井が、右足シュートをゴール左隅へねじ込んだ。小原監督も「決定力が上がってきた」と目を細める2年生ストライカーの一撃で先制。すると、盛岡中央は31分にも右サイドで10番MF三上大翔(2年)からのパスを受けた千葉がゴールライン際を突破してクロス。これをファーサイドの藤井が頭で折り返すと、ゴールエリアへ飛び込んだFW鈴木耕大(3年)が1タッチでゴールへ沈めて2-0とした。

 相手の攻撃が左サイド中心だったこともあり、三上大は「こっちの方が空いているから、中で『右から行こう』と話していました」と説明したが、盛岡中央は相手の背後を狙う形で右サイドから連続得点。そして39分、盛岡中央は三度「右」から得点を奪う。右サイドからドリブルで中央方向へ持ち込んだ三上大が滞空時間の長い左足ループシュートを決めて3-0。相手に大きなダメージを負わせて前半を終えることに成功した。

 それでも、ハーフタイムには「結構厳し目な感じで、『0-0の気持ちで行け』と言われました」(及川涼)。開始からパワーを持って反撃に出た盛岡商に押し込まれたが、油断なく対抗した盛岡中央は獅子奮迅の働きを見せる及川涼中心に決定的な一打を打たせない。また「球際だったり、泥臭く声出したり、気持ち出してやるところが一番仕事かなと思っているので気持ちと声で引っ張っていきたい」という舘とMF及川達貴(2年)のダブルボランチがプレス、セカンドボールで奮闘。奪い返したボールをMF三上翼(3年)、三上大の両SHがともに高い技術を発揮してタメをつくるなど、押し返す。

 盛岡商は15分に左ショートコーナーからのクロスを中央の菅野が頭で合わせて1点を返したが、焦りの色が見える中での攻撃はクロスやセットプレーの精度を欠き、球際の攻防や気迫の部分でも盛岡中央を飲み込むまでの力強さを発揮することができなかった。逆に盛岡中央は後半15分から出場したFW千葉海晴(2年)が抜群の推進力でカウンターからシュートを撃ち切っていく。盛岡商はGK阿部翔太(3年)のビッグセーブで望みをつないでいたが、盛岡中央は24分、右サイドでボールを収めた千葉がPAにグラウンダーのボールを入れる。これに走りこんだ交代出場FW下河原啓亨(2年)が右足ダイレクトのループシュートを逆サイドのゴールネットへ沈めて再び3点差。試合内容に点差ほどの開きはなかったものの、盛岡商は準決勝で姿を消した。

 盛岡中央は全国大会初出場を果たした3年前の躍進を見て入学してきた3年生中心に、2度目の全国出場まであと1勝とした。小原監督は「あの時の子たちも真面目にボール追っかけて、私に怒られながら、必死になって追っかけないと怒られるんで(苦笑)。上のボールにも競らないと、と頑張って、頑張って、そこに個性的な選手が何枚かいたんですが。今年は素材的には選手権出たのを見て入ってきた子たちなので、そう言った意味では勝たせてやりたいと思っていますし、勝たないかんなと思います」。歴史を塗り替えた3年前と似た雰囲気、チーム力。ハードワークを徹底し、県外遠征では大阪の強豪・大阪桐蔭高を完封するなど押し込まれても我慢強い。そして「今年は結構個々の能力が高くて、(身長の)高さもあるんで全然優勝狙えるチームだと思う」という三上大ら個性的な選手がバランスよく配置された好チームとなっている。舘は「自分たちは中3の時に全国出た先輩たちに憧れて入ってきた世代なので、全国行きたいという気持ちが強い。(決勝も)気持ち出して戦って勝てるようにしたい」。昨年は準々決勝で敗退するなど悔しい思いも経験してきたが、今年こそ。「倒してナンボ」の存在である遠野も破って、自分たちが盛岡中央を全国へ連れて行く。

[写真]後半24分、盛岡中央はFW下河原が右足シュートを決めて4-1

(取材・文 吉田太郎)
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