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[選手権]「東京五輪世代の逸材集結!冬の主役候補たちvol.1」大津DF野田裕喜(3年)_「伊達にガンバじゃねえ」精度持つCB

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第94回全国高校サッカー選手権

 冬の高校日本一決定戦、第94回全国高校サッカー選手権が12月30日に開幕します。今回の選手権に参加する選手たちは1997年以降生まれ。彼らは東京五輪が開催される2020年を23歳以下で迎える選手たちであり、東京五輪男子サッカー競技の出場資格(現行制度は23歳以下)を持つ「東京五輪世代」の選手たちです。ゲキサカではこの冬の選手権、そして5年後の東京五輪の主役候補たちを特集。第1回は大津高(熊本)のU-18日本代表CB野田裕喜主将(3年、G大阪内定)です。


 たまたまだったが、興味深かった。高円宮杯プレミアリーグ参入戦、大津高と静岡学園高の一戦。このまれに観る死闘を、たまたま静岡学園控え部員による応援団の声を聞きながら観戦することとなった。

 お上品な応援をするタイプのチームではないのだが、とにかくサッカーが大好きなんだということはよく伝わってくる。相手チームを野次りながらも、巧妙なプレーが出れば「うめえ!」との声が一斉に上がるのがちょっと微笑ましかった。G大阪に内定している大津DF野田裕喜主将(3年)も彼らにとって倒すべき敵なのだが、どうしても違う声が出てしまう。

「あそこ狙うのかよ!」
「やっぱり、すごいな~」
「あの距離で合わせるんだぜ」
「伊達にガンバじゃねえ」

 特に彼らを驚かせていたのは、そのフィード。対角線に大きく飛ばしたかと思えば、FWの足元にしっかり入れ、また機を見て裏へと蹴り込んでいく。敵将・川口修監督も「あれは本当に厄介だった」と舌を巻いたロングボールは、静岡学園を確実に消耗させていた。

 延長戦を前に、出場している選手から控え部員に「あのセンバ(センターバック)マジ強いよ」との声がかかると、即座に「知ってる!」の声が返ったのも当然か。味方選手が野田を相手に股抜きの一つも成功させようものなら大盛り上がりだったが、それもまた野田の凄さを試合の中で認めたからこそだった。

 野田当人が試合を振り返って「改善点だらけでしたよ」と苦笑いを浮かべたように、決して満足できる内容ではなかったに違いない。相手の技に出し抜かれたシーンも確かにあったが、「ここでこういう試合を経験できて良かった」と、あくまで前向きだった。苦い経験をしっかり成長の糧に変換する。そういうメンタリティーもまた、野田が持つ魅力である。

 5年後の東京五輪までつながっていくU-18日本代表ではもはや常連選手となった。ただ、先の合宿にはどちらも大型のセンターバックである磐田内定のDF大南拓磨(鹿児島実)、仙台内定のDF常田克人(青森山田高)が招集された。「どちらも高体連の選手だし、すごく刺激になりました。僕もウカウカしていられない。危機感はすごく持っています」と話すその口調は険しいどころか、ちょっと嬉しそうですらあった。天然の競争マインドはプロの世界で生き残るために、一つの武器となるだろう。

 もちろん、その前に高校選手権という舞台も待っている。狙うは当然、一つだけ。高校生の夢舞台に向けてもやはり、「全員が全力であきらめずにやれば、結果は出せる」と、ひたすら前向きだった。

(取材・文 川端暁彦)
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