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[選手権]鳴門、守り勝って13年ぶりの2勝目!

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[12.31 全国高校選手権1回戦 秋田商高 0-1 鳴門高 等々力]

 2002年度大会以来の選手権2勝目。鳴門高(徳島)が前半に挙げた1点を守り切り、13年ぶりの勝利を挙げた。次戦は2016年1月2日、ニッパツ三ツ沢球技場で矢板中央高(栃木)と対戦する。秋田商高(秋田)は試合を通じて攻勢をしかけるも惜敗。これで秋田県勢は11年連続初戦敗退となった。

 秋田商の方が攻撃の形を作り出しつつある。そんな印象を持たせだした前半12分だった。鳴門のパスがポンポンとつながる。それが偶然なのか、初戦のキックオフから10分が経過し、緊張がほぐれだしたからかはわからない。意識的にしろ、無意識的にしろ、突然ギアが上がったかのようなボール運びのテンポに、自分たちのペースを握りつつあると感じていたであろう秋田商が一瞬戸惑ったか。対応が後手に回り、鳴門のFW川添晃(3年)がゴール正面でボールを受けた際に倒してしまう。試合最初のチャンスで得たといっていいPKを、MF丸川侃矩(3年)が冷静に流し込み、先制した。

 秋田商は主に中央からタテに裏を狙うボールが多く見えた。鳴門の守備も完璧とはいいきれず、最終ラインを高く保つ裏にボールを出されるケースが少なからず見られた。しかし、GK河野匠哉(3年)が最終ライン裏の広いスペースを判断の良い飛び出しでカバーする。サイドから、正面から2次攻撃を浴び、シュートを打たれようとも、からみつくようなディフェンスでブロックを続けた。

 試合後、秋田商の小林克監督が唇をかむ。「決定機を多く作れるとは思っていた。でも、点を決めきるという点で技術と気持ちのバランスがバラバラだった」。実際、事前には綿密なスカウティングを施していたという。「(徳島県)予選決勝のビデオを見ていたので予想通り。もっと蹴ってくるかとも思ったが、元々技術がある選手がそろっているのもわかったので、繋がれても驚きはなかった。最後の詰めが甘かったというのが反省です」

 その秋田商が後半に入って攻勢を強める。ポイントとなったのは後半15分のFW仙波拓真(3年)の投入だ。「仙波は爆発力がある。後半、相手の足が止まれば、絶対に彼の時間が来ると試合前から準備していた」(小林監督)というとおり、彼のおさまった右サイドの突破からしばしばチャンスを作る。

 試合プランが、いい意味で狂ったのは鳴門の方だった。「想像していたより先に点が入っていつもより早く気持ちが守りに入ってしまった。それで下がってしまったのが反省点です」と語るのは、鳴門の木内茂監督に代わってメディア対応をしてくれた計盛(かずもり)健一コーチだ。

 実はこの1年、鳴門は指導者不在の時期もあり、不安定ともいえる時期を過ごしていた。名将・香留和雄監督の定年退職と後任の体調不良が重なり、選手たちは自分たちの判断でチームを動かしてきた。それにも限界があったので声がかかったのが、かつて徳島商時代に香留監督の教え子だった計盛コーチだった。

 この、偶発的にしろ求められることになった「選手の自主性」が、秋田商の攻勢をしのげた一因かもしれない。「鳴門のサッカーは互いの距離を縮めてラインを上げ、コンパクトにして勝負する」という言葉通り、どんなに攻撃を浴びようと、裏を突かれようと、最終ラインを下げない。全国の舞台で自分たちのサッカーを貫く勇気を披露した。

 秋田商の小林監督が「ラインが浅いので裏へのボールが有効だとハーフタイムに伝えた。実際、GKと1対1のシーンもあり、選手たちはわかってくれていた。あとは決めきる、その一瞬の判断を極めていかないと全国では勝てない」とこの試合での教訓を語っていた。一瞬の判断でどちらに勝利が転がり込んでもおかしくない試合。互いにハードワークし、激しい接触も多く見られた内容だった。各局面の数センチ程度しか問われないギリギリの判断=一瞬の決断の積み重ねが、最終的な結果に表れる。それほどまでに微妙な違いが結果に結びつく、全国大会の難しさを物語るような試合だった。

(写真提供『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 伊藤亮)
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