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「日本代表のド真ん中に」宇佐美貴史が語る進化と未来像

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 ガンバ大阪の日本代表FW宇佐美貴史にとって、2015年は「初めて」経験するタフなシーズンだった。チャンピオンシップを含め、Jリーグの全37試合に出場。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)では4強入りし、ナビスコ杯決勝にも先発した。日本代表としては3月27日のチュニジア戦で待望のA代表デビュー。ハリルジャパンの一員として定着し、全13試合に出場した。かつてない過密日程を戦い抜いた先に見えてきたものとは――? 23歳を迎えた宇佐美貴史が自らの進化と未来を語った。

―バルセロナが登場したクラブW杯準決勝はご覧になりましたか?
(編集部注:インタビューはバルセロナと広州恒大が対戦したクラブW杯準決勝の翌日に行われた)

「見ましたよ。僕はACLで広州恒大と対戦していますし、イメージしやすかったですね。あのチームがあれだけ手も足も出ない。しかも(バルセロナには)メッシもネイマールもいなかったということを考えると、バルサの力は計り知れないほどなんだなと思いましたね」

―チャンピオンシップに勝っていれば、自分たちがあの舞台に立つこともできました。
「その悔しさも持ちながら、でしたね。あのとき自分が決めていれば……とか、そういう気持ちはありました。Jリーグチャンピオンになれば、こういう舞台に立てたんだなと思うと、あらためて歯がゆさも感じましたね」

―ガンバ大阪が前回(08年)、クラブW杯に出場したときはまだ高校1年生でしたね。
「ガンバとしてヨーロッパチャンピオン、または南米チャンピオンと対戦できる機会があるというのは素晴らしいことだと思います。前回、僕が外から見たときの相手はマンチェスター・ユナイテッドでしたけど、そういう超有名なチームとガンバが対戦するのは感慨深かったですね」

―今シーズンを振り返ると、これだけの過密日程は過去にもなかったのではないですか?
「初めてですね。想像もしていなかったぐらい忙しかったので、良い経験になりましたね」

―シーズン終盤は予想以上にしんどかったのでしょうか。
「(しんど)かったんだと思います。僕は普段から『体が重いな』とか、そういうことにはあまり敏感ではないのですが、(リーグ終了後に)5日間のオフをもらったら、オフ明けの体の動きの感じが全然違いました。疲労の蓄積のようなものは少なからずあったんだろうなと思います」

―そうした影響もあったのか、第1ステージで13ゴールだったのに対し、第2ステージは6ゴールと数字が落ちました。
「シーズンの後半戦というか、ラスト終盤にグッとギアを上げられなかったことは課題です。チームにも迷惑をかけましたし、そこを反省材料にして、来季にどうつなげていくかが大事になってくると考えています」

―この経験をどう生かしていきますか?
「シーズンが始まる前から、こういうシーズンになることを見越して準備することですね。今年は年間で70試合近くこなしましたが、それより(試合数が)減ることはあっても、増えることはないと思うので。それぐらいあると思って体を作っていく、そういう想定の下に日々を過ごしていくだけでも全然違ってくると思います。シーズン前から自分のコンディション、自分の体と向き合っていくことが大事ですし、シーズン中の過ごし方や体のケアもより意識する必要があると思います」

―ヨーロッパのトップクラブも同じように過密日程を戦っていますね。
「ヨーロッパの場合、ターンオーバーをするクラブも多いですが、僕はそれぐらいの短いスパンで試合をしたいと思うタイプですね。疲労があっても、体がきつい中でも、爆発的な結果を出していくというのが理想なので、むしろそれに体を慣らしていきたいですね」

―日本代表のハリルホジッチ監督からは『体脂肪率を落とせ』という話もありましたが、1年を通して取り組んだ肉体改造の成果はいかがですか?
「体重も落ちましたし、体脂肪も落ちました。ただ、それをシーズン中にやるのは賭けというか、タブーなのかなとも思います。本来であれば、シーズン途中でそこまで劇的に変えるということはしないほうがいいと思いますし、そこもパフォーマンスに影響した部分はあったのかなと。でも、ようやく自分の体も落ち着いて、今は来季へ目を向けていますし、継続して取り組んできたおかげで、自分の体のベースとなるものを少なからずゲットできたことは、来季につながるのではないかと考えています」

―ハリルホジッチ監督の下で日本代表デビューも飾り、ハリル体制下での全13試合に出場しました。日本代表に定着して、あらためて感じたことはありますか?
「もっと成長しないといけないなと。もっと成長して、代表の中でもっとド真ん中にいられるようにならないといけないなと思いますね。そのためには日程がどうであれ、コンディションがどうであれ、常に結果を出さないといけない。ある種のプレッシャーを抱えながらサッカーをすることは自分の身になっていると思いますし、メンタル的な面でも良い経験になっていると思います」

―香川真司選手や本田圭佑選手らが長く日本代表を引っ張っていますが、日本代表における世代交代についてはどう考えていますか?
「超えていかなきゃいけないし、超えていけるとも思っています。すべてが自分次第だと思うので、自分のクオリティーとポテンシャルを発揮できれば、確実に超えていけるという自信はあります。世代で考えたことはないですが、僕より若い選手もそう思えば良いと思いますし、自分は自分がどう超えていくかしか考えていないです。他の選手のことを考える余裕もないですし、考えるつもりもないですね」

―3月31日のウズベキスタン戦で代表初ゴールを決めたあと、同世代の柴崎岳選手と抱き合っている姿が印象的でした。自分たちの年代が引っ張るという意識はありますか?
「世代で意識したことはないですね。『プラチナ世代』と言われますが、僕らがそれを感じたことはないですし、あのとき(柴崎)岳が来てくれたのも、たまたま近くにいたからだと思います(笑)。個人個人でどうレベルアップしていくかを考えながらやっていると思います」

―23歳になりましたが、日本代表における現在の立ち位置についてはどう考えていますか?
「基本的に自分の立ち位置に関しては常に理想と現実のギャップがあります。何とか理想に追いつこうとしている感覚ですね」

―ハリルジャパンが戦った13試合のうち、12試合がアジア相手の試合でした。ロシアW杯を見据えたとき、世界との差を見極めるには難しい1年だったのではないでしょうか。
「ああやって10人で守る、キーパーも入れれば11人全員で守ってくるような相手をどう崩していくかは課題でもあると思いますが、僕らがやろうとしているスタイルは、相手にもっと来てもらわないと生かしにくい面もあります。そういう意味では、格上のチームと対戦したときのほうが自分たちの力を発揮しやすいと思いますし、実際、少しでも前に出てくるような相手になったら大差で勝ったりもしています。例えば、(4-0で勝った6月11日の)イラク戦もそうですが、イラクは引いて守るというより前に出てきてくれたので、その中で自分たちのやろうとしているサッカーが出しやすいという感覚はありました」

―今後、アジアの強豪や世界と戦うことを考えたとき、選手たちは楽しみな部分も感じているということですか?
「そうですね。相手がすごく強くて、ボールを支配されたとき、その中でどれだけ自分たちがやってきたことを出せるのか。速攻もそうですし、遅攻も通用すると思います。上のレベルの相手にどれだけやれるのかというのは、みんながワクワク感を持っていると思います」

―ハリルホジッチ監督は宇佐美選手のことをかなり気にかけているようにも見えます。宇佐美選手にとってハリルホジッチ監督はどんな監督ですか?
「対話を大事にするというか、選手にすべてを伝える監督ですね。(言葉で伝えずに)感じさせようとする監督もいますが、ハリルホジッチ監督の場合はすべて直接話してくれますし、コミュニケーションからスタートするという感じですね。自分のことを気にかけてもらっているのは感じますし、期待されているというのも感じます。それにしっかり応えていきたいと思っています」

―スパイクに求めるフィット感というのは宇佐美選手にとって、どんな感覚でしょうか?
「足を包んでくれる感じですね。(足とスパイクの間に)ちょっと空間があるほうがいいですね。3mmから5mmぐらい。ボールが当たったときに(衝撃を)ちょっと吸収するぐらいの感覚がいいですね」

―宇佐美選手はスパイクへのこだわりが非常に強いですよね。
「僕は敏感なほうですね。新しいスパイクをそのまますぐに試合で使うことはないですし、いきなり練習で履くこともないです。まずはボールを使わないウォーミングアップで履いて、徐々に慣らしていって、やっと練習で履けるようになって、そこからですね。試合で履くまでに1か月ちょっとは欲しいですね」

―今の中高生がスパイクを選ぶときにどんなところに気を付けてほしいですか?
「選手それぞれのスタイルがあると思うので、一概には言えないですね。ボールに多く触る選手なら、僕と似たような感覚を持っているかもしれませんが、それぞれ好みに合ったスパイクを履くことが大事だと思います。スパイクに対するこだわりは絶対に持ったほうが良いと思いますが、どういうこだわりかは人それぞれ違って良いと思います」

―宇佐美選手は子供のころからこだわっていたのですか?
「小学生のときからスパイクのことを話すのが好きでしたね。練習帰りに地元のスポーツショップに寄って、そこの店員さんとスパイクの話をするのが好きでした。“このメーカーならこういう特徴がある”とか、“でも、このタイプのスパイクはこうだから”とか。1、2時間ぐらい話してから家に帰るというのが決まりになっていましたね(笑)」

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(取材・文 西山紘平)

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